2021年度の介護報酬改定のテーマの一つは、「認知症への対応力向上に向けた取組の推進」である。

そのために訪問系サービスに認知症専門ケア加算を、多機能系サービスに認知症行動・心理症状緊急対応加算を新たに創設することとしているほか、介護サービス事業者の従業員について、認知症の人に対する実践スキルを引き上げる方策を取ろうとしている。

例えば介護福祉士や介護職員初任者研修(ホームヘルパー2級)資格を持たない介護職員については(現在、介護職のうち6.1%の方が該当するとされている)、来年度からの経過措置3年間の中で、「認知症介護基礎研修」を受講しなければならない義務が課せられるのもその一つだ。

とは言っても、「認知症介護基礎研修」はわずか6時間の研修で、これをe-ランニングで受講できるようにするのだから、介護事業者にとっても、資格のない介護職員にとっても、そのハードルは決して高いとは言えないだろう。

職場単位でe-ランニングのビデオを、受講対象者が手すきの時間や勤務外に観ればよいだけの話である。

しかしこの程度の義務を課して、果たして認知症の対応スキルが上がるのかという疑問も生ずる。仕事に疲れた人が、居眠りしながら義務受講終了というケースも多くなると思える。ないよりは、あった方がマシという研修でさえない、効果のない義務と化す可能性が高いと思う・・・。

もう一つ、居宅療養管理指導を除く全事業者に課せられる義務として、「認知症に係る取組の情報公表」がある。

来年度以降、認知症に関連する研修の受講状況等、認知症に係る事業者の取組状況について、介護サービス情報公表制度において公表することが求められているのである。

ということで認知症の理解等をテーマとした職場内研修は年度ごとに最低1回は開催しておく必要があるということになる。既に多くの事業者ではその実施を図っていると思えるが、改めてその体制を整備することになろうと思うが、どうせ時間を使って認知症について学ぶのならば、実際の介護の場に生かすことのできる実践論を学びたいものだ。

アリバイ作りだけのために、日常介護に役立たない研修は時間の無駄でしかない。今職場で認知症の人に対するケアに関して、何に困っていて、何を知りたいのかという現場職員の声を拾いながら、研修受講した後に、即実践できる方法論を学ばせる必要がある。

職員が一番困っていることは、いわゆる行動・心理症状(BPSD)への対応である。それは多くの場合、混乱から生ずる行動であるが、その混乱は具体的に何が原因で、どういうふうに困ったり、パニくったりしているのかを明らかにする必要がある。

特に昼夜逆転は、そのこと自体が混乱要素だ。昼に歩き回ったり、声や音を立てても問題にならないことが、夜であるからこそ、人の迷惑になってなじられたりすることがある。しかし認知症の人は、他人に迷惑をかけようと思って歩き回ったり、声を出しているわけではないので、自分が何もしていないのに、他人になじられるとして、そのことがさらなる混乱につながることが多い。行動・心理症状がそれにより悪化するのである。

そういう意味では、生活リズムを整えて昼夜逆転を防ぐことは、認知症の人が落ち着いて生活できることにつながる大事な視点だといえる。しかしそのために睡眠コントロールを眠剤で行おうとしても、うまくいかないことが多い。それは何故か。どうしたらよいのかという具体策を伝える認知症研修でなければならない。
認知症の理解スライド2認知症の理解スライド
このスライドは、一昨年東京都葛飾区で介護事業所の職員さんや、一般市民の皆さんに向けて作った僕の講演スライドである。そこで伝えてきた方法とは、教科書に書いてあった方法論ではなく、僕が介護の場で、僕の仲間たちと一緒に取り組んで、良い結果を引き出した実践論そのものである。そしてその実践は今でも積み重なって、随時更新されていくものでもある。

認知症について、ケアに手が届くところはどこまでなのか、それは何故なのかということも含め、認知症の理解・ケアの方法論をわかりやすく伝えることもできるので、認知症をテーマにした研修の講師お探しの方は、是非声を掛けていただきたい。勿論、オンライン研修も可能である。

まずはこちらのサイトに掲載しているメールアドレスに連絡いただければ、条件等の検討を行うことができるので、依頼するかどうかは別にして、問い合わせしていただきたいと思う。
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