改定率が0.7%と決まった2021年4月からの介護報酬。この数字は給付費を11兆円と仮定すると、年間でおよそ770億円が新たに介護現場へ投入されることを意味するそうである。
今回は処遇改善加算の部分では新加算単位が新設されることもなく、処遇改善加算の下位2区分の廃止が正式に決まった。
特定加算については支給ルールが変更された。経験ある介護職員への平均支給額については、その他の介護職員の2倍以上にしなければならないというルールを、その他の介護職員への平均支給額より、経験ある介護職員への平均支給額が上回ればよいことになった。
この支給ルール変更は、特定加算の算定率が今年6月時点で65.5%と低調で、その理由が介護職員間の給与差が開くことの不公平感が壁になっていると言われていたため、その差を少しでも減らせるように、その他の職種に配分する額を増やすルールに変更したものである。
そのうえで両加算の単位については変更されないと思われる。
このことに関連して、17日に行われた麻生太郎財務相と田村憲久厚生労働相の折衝でも、介護職員の処遇改善が取りあげられ、報酬改定後の動向を見て更なる処遇改善加算の追加や変更を検討するとしている。要するに、「加算単位は上げないけれど、介護給付費をアップしたんだから、その分から事業者努力で介護職員の更なる待遇改善を図りなさいね。私たちはその結果を見ているよ。」という意味だろう。
しかし今回の報酬改定で、さらに介護職員の給与のアップさせるなどの待遇改善を図るためには、事業収益を挙げてその中から各職員に手当てしていくしか方法はない。わずか0.7%の増額の中から
その費用をひねり出すためには相当の経営努力が必要だ。だがそうしないと事業に必要な職員を安定的に確保することは難しくなる。
介護事業者で最も不足しているのは介護職員である状況に変わりはなく、人材確保が困難な状況はさらに深刻化している。その中で人材確保を人材紹介会社に頼る事業者も増え続けているが、その紹介手数料も年々上がっている。
手数料高騰にもかかわらず、紹介された人材の質や定着率は高くないとして、介護事業者の人材紹介会社に対する満足度は、「とても不満」が30.0%、「やや不満」が48.6%。あわせて78.6%が不満を持っていると福祉医療機構(WAM)が報告している。そうであるのに、そうした不満一杯の人材紹介に頼らざるを得ないことが、介護事業者の深刻な人材不足の一端を表していると言えよう。
介護事業経営者にとって人材確保は引き続き、頭の痛い問題として存在し続けるわけである。
だからこそ、できるだけ給与の改善を図りながら、働く環境の改善を図って、従業員が気持ちよく、自分の仕事に誇りを持って働き続けられる環境を創っていくことが大事だ。経営者や管理職があらゆる場面で従業員を大切に思い、従業員の暮らしを少しでも豊かにする努力をしているのだという姿勢を示していくことも重要である。
そうした厳しい状況で、人材を集める必要があるのもかかわらず、一部の介護事業者で、特定加算を算定できるのに算定しなかったり、感染対策に関連した慰労金を申請せず、受け取る権利がある職員に届けなかったりしている実態があるのは、なんとも不思議である。
何が不思議かというと、そのように従業員を大切に思わない経営姿勢の事業者に、従業員がどうしておとなしくとどまっているのかという疑問がわくからだ。理不尽な経営者の搾取については、労働者として正当な抗議の声を挙げるべきだし、そうした権利はあるのだ。
ましてや介護業界は、働き手の売り手市場であるのだから、経営者の理不尽な態度に怯えながら、そこで働き続けなくとも、転職先はどこでもたくさん見つかるはずだ。
例えば、「咲く場所を変えて大輪を咲かそうとしている花のその後」で紹介した若手の介護福祉士のように、職場を変えた結果、やりがいと生きがいを持って介護の場で働き続けることができた人もいる。
ブラックな職場でじっと我慢して、環境が変わるのを待つのは期待薄だ。ブラックな思考回路の経営者が簡単に考え方を変えられるわけがないんである。
介護職員の努力を無視して、経営陣が甘い蜜吸ってるような職場は、介護職員の方から見放すべきである。
ただ転職に際して、紹介・派遣会社に頼るのはリスクも大きい。紹介・派遣会社は、給与面での待遇からしか紹介先を見ないからである。もっと職場の環境とか、転職希望者が何をしたいかという、「働き甲斐」に目を向けた転職サポートが必要だ。
下記に文字リンクを貼っている転職支援サイトは、そういう意味で安心して推薦できるサイトである。(参照:置かれた場所で咲きなさい、というけれど・・・。)
ブラックな介護事業者から飛び出したいと思っている人は、ぜひ下記サイトを利用してほしい。
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