昨日の夜TBSで放映された、「爆報THEフライデー」の、「カリスマ監察医事件簿・1枚の写真で完全犯罪を見破れ」を見た方がいると思う。
そこで取り上げられた事件の一つに、老人ホームの暴行死事件があった。その老人ホームで複数の利用者が病死とされていた事件は、実は一人の介護職員の暴行による殺人事件であったというものだ。
その事件は6年前に起き、次の記事に取り挙げた、「フラワーヒル入居者死亡事件」ではないかと思う。【参照:「もっと褒められたかった」と利用者を殴り殺した事件の背後に潜むもの】(※確信はないので、間違っているかもしれない。)
その事件は、犯人が被害者の胸をこぶしで数回にわたって殴打し、胸骨骨折などの傷害を負わせ、心不全または出血性ショックにより死亡させたとされるものだ。
検察側が地裁裁判の冒頭で陳述した犯行動機は、事件の数日前に別の入居者の容態が急変して死亡したのを発見したところ、犯人が当時の施設長に大いに誉められ、この経験からさらに異変が起きてまた発見者となれば、犯人の介護職員としての評価がさらに上がるものと考えて入居者を殴ったというものである。
一方で弁護側は、暴行の原因は犯人の適応障害によるものとして情状酌量を求めたが、1審では求刑10年に対して懲役8年の刑が言い渡されている。
その際の判決で裁判長は、「事件の前、入居者の容体の異変にいち早く気がついて褒められた経験があり、職場での自分の評価を上げるため、異変の発見者となろうと無抵抗の被害者に一方的な暴力を加えた。本来介護士として被害者を守る立場にありながら動機は身勝手で強い非難に値する」と指摘した。検察側の動機説明を是認した形になっている。
しかしこの事件の本当の恐ろしさとは、裁かれた罪以外の罪悪がまだ闇に潜んでいるのではないかという疑いがぬぐえないことだ。
事件が起きた特養では、犯人が勤務を始めた直後の2010年2月15〜18日の4日間で、入居者3人が相次いで亡くなり、そのほか別の1人がけがをしている。埼玉県警は判決が言い渡された事件のほか、84歳の女性への傷害容疑と、78歳の女性への傷害致死容疑でも立件したが、さいたま地検はいずれも不起訴処分(嫌疑不十分)とした。また死亡したもう1人については事件化されていない。証拠が不十分だったからであろう。
このことについて、遺族として法廷に立てなかった死亡利用者の家族が無念の思いを訴えたりしているが、その思いはどこにも届かない・・・。
この事件は感覚麻痺とかいうレベルではなく、自己顕示欲のためだけに人として許されない行為を行うという悪行でしかない。その事件に更なる被害者が隠されているとしたら、それはとても恐ろしいことであるし、決して許されることではない。
もし犯人が裁かれた容疑以外にも犯行及んでいるとしたら、その罪は一生自分が背負って、その贖罪のために生きていかねばならないということを知るときが来るだろう。それもとても悲惨な人生と言えるのではないだろうか。
昨日番組を観ながらこの事件のことを思い出したときに、昨今の介護事業者における職員採用の状況と、職員教育の問題点が改めて頭に浮かんできた。
本件のように、本来対人援助の仕事に就いてはならない人が、人材不足の中でますます低くなっている採用のハードルを潜り抜けて、介護の仕事に就いてしまうケースは多い。だからこそ採用時の人物評価は最も重要になるし、採用基準のハードルは下げてはならないのである。そして採用時に見抜けない適性の無さについては、試用期間中にしっかり見抜くようにOJTを活用すべきである。
さらにこうした人物に影響を受ける輩を創り出さないように、介護事業経営者や管理職の方々には、採用後の計画的で定期的な教育システムは最重要であることを自覚してほしい。そしてその教育とは、「人間性の向上」につながるものでなければならず、単に知識や技術を教えるだけのものであってはならないことも忘れないでほしい。
そうした人間教育を介護事業者内のシステムとして組み込む不断の努力が求められるのである。
そしてそれは実効性があるものではないと意味がないので、常に研修・教育システムが形骸化していないか、アリバイ作りの無意味な研修になっていないかという検証作業をし続けなければならない。
それは経営者や管理職に求められる最も重要な役割である。
昨日の番組で取り上げられた事件が本件であるか否かは別にして、その番組を観ながら改めて、人材選びと人材教育をおざなりにしてしまうと、大変な社会悪を生んでしまいかねないのが介護事業であると考えたりした。
そうしないためにも、介護の使命は何かということを伝えること、誇りを持って介護の仕事を続けられる実践論を伝え続けることは、今後も求められるのだと思った。
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