介護報酬の改定率が示される可能性があるとアナウンスしていた2日の介護給付費分科会は、結局運営基準等の改正案が示されただけに終わった。読者の皆様には先走った考え方を提示してしまい申し訳ありませんでした。

さてその資料から、GHの基準変更に触れてみたい。

報酬改定に伴う基準改正で、全国グループホーム協会等の関係者が一番強く要望していたことは、GHの夜勤基準の緩和であった。

制度開始当初の基準では、2ユニットのGHでは、夜勤者1名+宿直者1名という体制が認められていたが、相次ぐGH火災事故を受けて、避難誘導体制を充実させるなどの観点から、この基準が見直され、現在はユニットごとに夜勤者を1名以上配置しなければならなくなっている。

この基準を見直して、見守り機器などを設置することを条件に、2ユニットのGHにおける夜勤者1名+宿直者1名基準を復活させてほしいと要望されていた。

このことに関連して7月に書いた、「GHの夜間配置規準見直しの要望について」という記事の中で僕は、「複数ユニット経営の推進や、原則2ユニットしか許されていないGHの規模拡大議論に結び付けていくべきではないかと思う。」という意見を書いているが、今回の基準改正では2ユニットのGHにおける夜勤基準緩和は見送られたが、僕の要望するGHの規模拡大と、3ユニットの夜勤基準緩和は認められることになる。

来年4月以降は、特例ではなく通常指定として3ユニットの認知症対応型共同生活介護事業所が認められることになる。さらにサテライト型小規模多機能型居宅介護の基準を参考に、グループホームのサテライト型事業所の基準を創設し、この設置も認められることになる。

そして夜間・深夜時間帯の職員体制について、安全確保や職員の負担にも留意しつつ、人材の有効活用を図る観点から、3ユニットの場合であって、各ユニットが同一階に隣接しており、一体的な運用が可能な構造で、安全対策(マニュアルの策定、訓練の実施)をとっていることを要件に、夜勤2人以上の配置に緩和することを可能とするとしている。

つまり2ユニットのGHの夜勤配置基準は現行通りとされたものの、3ユニットのGHについては、条件付きで2ユニットのGHと同じ夜勤配置で良いとされているわけだ。

2ユニット18人のGHより、3ユニット27人のGHの方がスケールメリットが働き、収益率が向上することは容易に予測できることであるが、夜勤配置基準が2ユニットと3ユニットで変わらないなら、この部分でもスケールメリットが大きく働くことになる。

さらに今回の基準改正では、認知症グループホームにおける介護支援専門員である計画作成担当者の配置について、事業所ごとに1名以上の配置に緩和するとされているのだから、2ユニットでも3ユニットでも、介護支援専門員は1名配置で良いわけだから、当然3ユニットの方が収益が挙がることになる。

勿論こうした考え方は、経営上の考え方でしかなく、働く当事者である介護支援専門員や介護職員等は、今現在より対応すべき利用者数が増えて大変になるという意見が出てくるだろう。それは極めて当然の反応であり、間違った意見でもない。

ただしGHの現在の基準は、一人の夜勤者の担当利用者上限が9名である。一人の介護支援専門員の担当利用者上限も9名だ。この基準は他の居住系施設と比べると、非常に少ない利用者上限基準と言える。

例えば特養等の介護施設の場合、夜勤者一人が対応すべき利用者数は20名を超えているし、介護支援専門員は100名まで担当できる基準である。それと比べた場合、今回の基準改正で過重労働に陥るという論理は、あまり説得力を持たないと言えるのではないだろうか。

どちらにしても今後の新設グループホームは、3ユニットが当たり前になるだろうし、既存の2ユニットのグループホームも、3ユニットに拡充を目指していくことになるだろう。

1ユニット単独のグループホームや、2ユニットのグループホームは、ごく小さな地域に限定的に残っていくだけで、いずれ我が国のグループホームのスタンダードは3ユニットになっていくのだろうと予測する。なぜなら今後はますます経費及び人材確保の両面で、スケールメリットを生かした経営戦略が必要不可欠になるからだ。

このほか基準改正では、無資格の介護職員に、「認知症介護基礎研修』の受講を義務付けるが、この経過措置が3年になっている。

また感染症や災害が発生した際の現場の対応力を今より強化していくために、有事に備える業務継続計画(BCP)の策定やシミュレーション(訓練)、研修の実施を全ての事業者に義務付けることになり、この経過措置も3年とされた。

これだけ経過措置期間が長いと、経過措置の間に方針変更があり得ると考えるべきで、各事業者はこれらの新基準への対応については、慌てずゆっくりと対応したほうが良いと思う。
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