26日に行われた第194回社会保障審議会介護給付費分科会の資料のうち、【資料7】自立支援・重度化防止の推進を読むと、国が創った介護データベース・CHASEへの情報収集がいかに重視されているかが見て取れる。

利用者ごとの計画書の作成とそれに基づくケアの実施・評価・改善等を通じたPDCAサイクルの取組に加えて、 CHASE・VISITへのADL、栄養、口腔・嚥下、認知症などに関連するデータ提出とフィードバックの活用により、更なるPDCAサイクルの推進・ケアの質の向上を図ることについて、既存の個別機能訓練加算、口腔衛生管理加算、栄養マネジメント加算などの評価に加えるというものだ。
CHACE
上の表には、「加算等による評価の有無に関わらず、すべてのサービスにおいてVISIT・CHASEによるデータの利活用を進める。」としているところで、加算対象サービスは施設系サービス、居住系サービス及び通所系サービスとしているが、他のサービスについても情報提出を求め、将来的には全サービスにCHASEへの情報提出義務を課していくのは間違いがないところである。

ところで上記の表で気づいた人がいるかもしれないが、現在通所介護の評価となっている、「ADL維持等加算」は、対象サービスが施設サービスの部分にも記載がある。これは間違いではなく、同加算の対象範囲が広げられるという意味である。

このことについては論点3で、「機能訓練等に従事する者を十分に配置し、ADLの維持等を目的とするようなサービスにも拡大する」としているので、対象サービスは、特養特定施設に拡大されることになる。

そのうえで算定単位のわりに算定要件のハードルが高いという批判に応える形で、下記の3要件の緩和を図ることを検討している。
・総数が20人以上
・要介護3以上が15%以上
・初回の要介護認定の月から12ヵ月以内の人が15%以下


さらに5時間以上のサービスを基本とするよう求める要件は撤廃する方向で検討するとしているが、いずれも実現するだろう。問題は緩和がどこまでかということだが、それは年明けに示されることになる。

しかしここでも、「CHASEを用いて利用者のADL値を提出し、フィードバックを受けることを求めてはどうか」という検討課題が挙げられており、データ提出が要件化される可能性がある。

問題はこの加算の単位数である。現在の貨幣価値を無視したかのような低い現行単位が、いくらになるのかは年明けではないとわからないが、単位によっては対象サービスを拡大し、要件を緩和したとしても、算定率は低いままだろう。

新たに加算が新設される特養や特定施設も、その単位を見て、手間に比して低すぎるとなれば、手を出すことはないように思える。どちらにしても単位数に注目である。

そのほか論点2では、リハビリテーション・機能訓練、口腔、栄養ケアの取組の一体化として、計画書の様式検討と各種専門職の会議等への関与の明確化が挙がっている。

論点4では、施設サービスについて、口腔衛生管理体制加算は廃止し、同要件を一定緩和した上で、全施設の基本サービス費の要件とするとし、口腔衛生管理加算については、CHASEへのデータ提出とフィードバックの活用による更なるPDCAサイクルの推進・ケアの質の向上を図ることを評価する上位加算を新設するとしている。

論点5は、次の6点が挙がっている。
・介護保険施設の栄養マネジメント加算は廃止し、同要件を基本サービス費の要件とすること(経過措置を設ける)
・人員基準に栄養士に加え管理栄養士を位置づけるとともに、運営基準においても、入所者ごとの栄養管理を計画的に行うよう努めることを明記。
・低栄養リスクが高い入所者全員への丁寧な栄養ケアの実施や栄養ケアに係る体制の充実を図っている場合の評価を新設したうえで、CHASEへデータを提出し、フィードバックを受けPDCAサイクルを推進することを要件とする
・栄養ケア計画標準様式の見直す
・管理栄養士の配置要件については、常勤換算方式に見直す
・経口維持加算の原則6月とする算定期間や褥瘡マネジメント加算と栄養関連加算を併算不可とする要件を見直す


論点6は、介護保険施設における看取りへの対応を評価する加算及び褥瘡マネジメント加算において、関与する専門職として、管理栄養士を明記することが挙げられている。

論点7は、通所サービス・地域密着型サービスに、口腔スクリーニング加算を新設するとともに、新設加算を栄養スクリーニング加算の取組と併せて提供することとしている。

しかし栄養士が配置されていない通所サービスにおいて、この併算定要件はネックになって、算定率が挙がらないように思える。

論点8は、通所事業所の管理栄養士(外部委託可能)と介護職員等の連携による栄養アセスメントの評価(CHASEへデータを提出も要件)を新設することと、栄養改善加算について、通所事業所の管理栄養士が必要に応じ居宅を訪問しての栄養改善サービスの取組を進めることも挙げられている。

論点9は、グループホームの管理栄養士(外部との連携を含む)が介護職員等に利用者の栄養・食生活に関する助言や指導を行う体制づくりを行っている場合の評価を新設することを挙げている。

論点10は、施設サービスにおいて定期的に全ての利用者に対する医学的評価と、それに基づくリハビリテーションや日々の過ごし方等についてのアセスメントを実施するとともに、ケアマネジャーやその他の介護職員が、日々の生活全般において適切なケアを実施するための計画を策定し、それに基づいて日々のケア等を行う仕組みを導入し、これを評価するとしている。これもCHASEへデータを提出も要件となっているが、従前からの施設サービス計画との関係がどうなるのかが問題だ。別立てということにはならないと思うが、かなりの手間が増えそうである。

論点11は、3月に一度が算定上限となっている褥瘡マネジメント加算を毎月算定できるようにするという内容だ。この際、現行の褥瘡管理の取組(プロセス)への評価に加え、褥瘡の発生予防や状態改善等(アウトカム)についても評価を行う(統一した評価指標を用いる)とともに、CHASEを活用してPDCAサイクルを推進するとしている。

論点12は、特養と老健の排せつ支援加算について、全ての入所者に対して定期的な評価(スクリーニング)の実施を求め、事業所全体の取組として評価とするとともに、現行6か月間に限って算定が可能とされているところを、6か月以降も継続して算定可能とするとしている。勿論、ここでも、CHASEを活用してPDCAサイクルを推進することが求められることになる。

以上であるが、全体として職員の業務負担がさらに重くなる内容になっていると感じるのは僕だけだろうか・・・。
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