スーパーコンピューター「富岳」で新型コロナウイルス対策を研究する神戸大や理化学研究所のチームは11月26日、「カラオケボックスでは換気口の下に立ち、マスクをして歌うと飛沫(ひまつ)の拡散が抑えられる」とのシミュレーション結果を発表した。

多くのカラオケボックスには換気機能が付いており、換気口の下に立ち、マスクやマウスガードを着けて歌うと室内に微小な飛沫が拡散するのを抑えられ、さらにエアコンで空気をかき回すと、飛沫が漂い続けるのが抑えられたとしている。

だからカラオケボックスに行く場合は、エアコンを回して換気口の下でマスクやマウスガードを着けて歌うのが良いとでもいうのだろうか・・・。

このニュースに触れて僕は決して、「なるほど」とは思わない。馬鹿馬鹿しいなと思う。感染第3波が拡大している今この時期に流すニュースかよと思ってしまうし、この時期に感染リスクがゼロにならない、カラオケの飛沫感染リスクを少なくする研究に時間を費やす人間も、相当暇でやることがない人間なんだろうと思ってしまう。

今そんな方法を探るより、カラオケは控えたほうが良いと思うからだ。そもそもカラオケをしなければ日常生活が立ち行かなくなるなんていう状況は想定できないのだから、この時期はカラオケボックスへ行くことを我慢したって罰は当たらない。

少なくともカラオケボックスに行って唄うのであれば、自分一人で行くことだ。複数の仲間とカラオケボックスで唄うのであれば、どのような対策をとっても、感染リスクはカラオケボックスに行かない日常を送るよりも高くなることは間違いないし、世の中にカラオケ以外の愉しみとか、ストレス発散方法がないわけではないのだから、他に楽しみを探せと言いたい。

コロナ禍では、いろいろな日常や普通の概念が変わらざるを得なくなっているのである。昼カラオケは、高齢者の愉しみとして浸透しているのだから、それを守ることも大事だという考え方もあるだろう。しかしそれ以外の安全な楽しみを見つける試みがあっても良い。スマホアプリがこれほど普及しているのだから、高齢者もそれを利用できるようにすれば新しい可能性も生まれようというものだ。

既にカラオケをサービスメニューから外している通所サービス事業所が多くなっている。(参照:通所介護に関するアンケートの集計結果について

カラオケに替わる新しいサービスメニューを創り出すヒントとして、通所サービスに通う高齢者の方々の新しいニーズに着目して、新サービスメニューを創り出す通所サービス事業所は、顧客から選ばれる事業所につながる可能性もある。

例えば通所サービスに通う高齢者で、ガラケイからスマホに変えたいと思っている高齢者は意外と多いし、スマホをもっと使いこなしたいと思っている高齢者も意外と多い。それらの方々にスマホを使いこなす教室をサービスメニューに加えてはどうだろう。またスマホを持っていても、電話機能しか使っていない高齢者に、アプリの使い方やSNSを使えいこなす方法を教えることは、脳若サービスとして人気が出るだろう。

それはすべて通所介護計画の中で、個別機能訓練計画として位置付けてよいものだ。

そうした新しいサービスメニューを開発する中で、大声を出して飛沫感染につながるカラオケは、コロナ禍が収まった後でもデイサービスのメニューから消えて行っても問題ないだろうと思う。

ところで先日も指摘したが、通所サービスの利用者の家族が感染拡大地域と往来した後に、利用者自身も最低2週間はサービス利用をさせないとしている事業所がある。

新型コロナは、ウイルスに感染後、発症まで5〜6日間(幅は2〜21日間)の潜伏期間があり、発症の2日前から感染力が強くなって10日間前後、他者へ感染させる状態が続くようである。そして発症前2日からの1週間が特に感染力の強い期間とされる。だから潜伏期間と感染リスクが高い期間を見込んで、2週間の自宅待機というルールを定めているようだが、それはどれほど感染予防に実効性があるのだろうか?

上に記したように潜伏期間は最大21日間とされているのだ。さすれば2週間の自宅待機で感染を完全に防ぐことは出来ないし、そもそもGoToトラベルを適用している地域と往来した家族がいるというだけで、利用者に利用制限をかける権限が通所介護事業所にあるのだろうか。それは極めて疑わしく、人権侵害とされる危険性も否定できない。

そもそも利用者には、家族が感染地域を往来したことを通所介護事業者に申告する義務なんかなくて、それをサービス利用条件とすることもできないはずだ。せいぜいそれはお願いレベルにとどまるだろう。さすれば家族状況を通所介護事業所が完全把握することなど不可能だと言えるわけで、そのような利用制限ルールによる感染予防対策とは、実効性が極めて低いと言わざるを得ない。

だからこのブログで何度も指摘しているように、まずは通所介護事業所の感染予防の対策を、環境面も含めて整えておくことが大事だ。(参照:コロナ禍第3波の備えと対策は出来ていますか?

利用者の検温は事業所についてからでは遅いと理解し、送迎者に乗り込む前の自宅玄関先で、非接触型体温計を用いて運転手による検温は当たり前にしなければならないし、そのためには運転手が事前に利用者の平熱を把握しておく必要もある。送迎もできる限り、「密」防ぐ運行計画を視野に入れることが必要だ。(※限界があることは理解できる)

利用者にはマスク着用を励行してもらい、病状等でマスク着用ができない人のために、フェイスシールドを事業所備品として通常装備するのが当たり前になる。

サービス提供時間中は、冬でも定期的に複数回の換気を行う必要もあるし、ウイルスは乾燥を好むのだから、常に湿度を50%〜60%に保つよう加湿対策を施すことも大事だ。エアロゾル感染対策として空間除菌も当たり前に行う必要がある。

おやつ作りなど、みんなの口に入るものづくりはサービスメニューからなくなっていかざるを得ないし、おやつとしてお菓子を提供する場合は個包装のものを個別に提供する必要がある。それらの対策をしっかり取ることが一番大事なことなのだ。

どちらにしても、感染地域で多人数と飲食やカラオケをした家族がいるならともかく、そうではない家族状況に対する制限ルールは、ほとんど実効性がないし、通所介護の権限が及ぶ問題ではないと言えるのではないだろうか・・・。
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