コロナ禍の影響で、毎年何度も訪問していた地域に、今年は一度もお邪魔できていなかったりする。
愛媛県も今年一度も行っていないが、来年2月に久万高原町で講演を行なうことになり、久しぶりで松山空港行きの航空チケットを手配した。・・・ところがである。コロナ禍の影響を受けて、航空会社も減便しているために、新千歳〜松山空港の直行便がなくなっていた。
仕方なく2月は行きが伊丹経由、帰りが羽田経由の乗継便で予約した。早く通常運行に戻ってほしいものである。
さて話は変わるが来月8日に、佐賀県老施協・デイサービス委員会主催のオンライン講演、「今後の時代の変化に対応するための情報収集と検討〜コロナ禍における通所介護事業の展開〜」を自宅から配信予定になっている。
この講演は、次の4つのテーマを主として情報提供する内容になっている。
・コロナ禍特例の確認と対応
・緊急包括支援金や持続化給付金、無担保・無利子の貸付事業の活用について
・Withコロナの通所介護のサービス提供の在り方を考える
・来年4月に迫った介護報酬改定の通所介護に関連する最新情報
講演時間は2時間であるが、その後に質疑応答の時間も30分とっており、事前質問も既に送られてきている。
その中には、「デイ利用者やその家族が○○県や感染者が多い地域へ行けれたりしたら、デイ利用を控えるような対策をしておりますが、 ご利用者や家族からしたら熱もなく、納得いかない家族もあるかなと思いますが、この対応をどのように思いますか?」・「濃厚接触者を洗い出し、過去2週間の体温、行動履歴を洗い出す対応は必要か」・「年末年始等に職員の実家等に感染流行地から帰省してきた家族と接触してしまった場合は14日間の出勤停止となるか。また、数日の自宅待機をしてもらうのか。」・「職員がコロナに感染した後の、職場復帰出来る時期はいつか。」などという内容の質問がある。
しかし医師でもなく、コロナウイルスの専門知識が世間一般の人以上にあるわけでもない僕が、この質問に答えるのは無理だ。感染予防策としてどう対応するのかは、国が示したガイドラインを参考に、個別のケースについては、保健所に問い合わせてくださいと答えるしかない。
また感染者が多い地域に、デイサービス利用者の家族が旅行や出張で出かけた場合の対応については、家族が帰宅後に利用者が何日自宅で待機すべきかは、国も保健所も明確に基準を示しておらず事業所が判断するしかない。
そもそも感染者が多い地域という基準はあいまいで、他地域からの往来を自粛するように行政機関が要請している地域でない限り、はっきりどこが対象とは言えなくなる。
また新型コロナの潜伏期間や、2次感染の可能性がある期間について、エビデンスがない以上、2週間とか14日間という期間にも根拠があるとは言えない。
他の感染症の潜伏期間は最大2週間を観ればよいという前例からそれを判断しているとしか思えない。
厚生労働省新型コロナウイルス感染症 対策推進本部 感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律第 18 条 に規定する就業制限の解除に関する取扱いについて (事務連絡 令和2年5月1日)によれば、新型コロナウイルス感染症と診断された患者さんはPCR検査をしなくても発症から14日経てば職場復帰が可能となるとしているが、デイの利用者の家族が、感染多発地域から帰ってきて、無症状であるけど、利用者と濃厚接触しているために、利用者は2週間自宅で待機しなければならないなんて基準はどこにもないのだ。
例えば次のような研究結果もある。
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台湾で、新型コロナウイルス感染の確定診断がついた100人に濃厚接触した2761人について、濃厚接触者が最初に患者に接触した時期と、感染の有無との関係について調べた。患者のうち9人は無症状であった。濃厚接触者の内訳は、家族が219人、病院関係者が697人、その他が1755人である。
2761人の濃厚接触者のうち、二次感染したのは22人(0.8%)であった。軽症患者よりも重症患者に接触した人の方が、感染するリスクが高かった。無症状の患者に接触した91人のうち、二次感染をおこした人はいなかった。
二次感染した22人のうち、10人は患者に症状が出る前の接触歴があり、9人は症状が出た日から3日以内、3人は4日目あるいは5日目だった。すなわち、発熱やせきなどの症状が表れてから6日目以降に接触しても、感染することはなかったのだ。(2020/5/17配信 朝日新聞デジタルより抜粋)
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この調査結果を信じれば、感染したとしても無症状者からの感染リスクは極めて低く、かつ感染し症状が出てから6日目以降の人と接触しても感染しないということが言えるわけであり、デイ利用者の家族が感染多発地域から帰ってきて無症状であれば問題ないともいえるわけであるから、最長1週間程度の待機で、感染症状がみられない場合はサービスを再開しても良いとも考えられる。
そもそも夏ころまでのように、PCR検査ができない状況ではなくなっているので、旅行から帰った家族が検査を行なって、陰性の判定が出た時点では利用者に制限をかける必要ななくなると思う。
それらを総合的に勘案して判断する以外ないのが現状だ。
現在、感染拡大第3波で対応を追加する動きが出ており、19日に厚労省は、介護施設の入所者・職員に熱が出たら、必ずコロナウイルス検査をするように通知を出すなど、動きが慌ただしくなっている。しかしあまりナーバスになりすぎると、にっちもさっちも行かなくなると思う。通常の感染予防策をしっかりとっておくことがまず大事だ。
ただし一つ言えることは、クラスター感染を防ぐためには、環境除菌・空間除菌が必須だということだ。次亜塩素酸水の噴霧は健康被害につながるというデマに惑わされて、いまだに空間除菌を行っていない施設・事業所が多過ぎる。しかしそれはクラスター感染の最大のリスクである。
また介護施設・事業所の職員の感染を防ぐためには、マスクだけでは不十分であることにも注意が必要だ。目の粘膜からの感染を防ぐための対策として、フェイスシールドやゴーグルを日常介護場面からきちんと着用すべきだ。
これらのことは、「コロナ禍第3波の備えと対策は出来ていますか?」・「次亜塩素酸水による空間除菌の必要性」・「介護事業者に通常装備が求められるフェイスシールドとマウスシールド」でも情報提供しているので、今一度確認して、一日でも1分でも早い対応を行っていただきたいと思う。
感染予防で重要なことは、空間の定員をできるだけ下げることだ。通所介護も単位分けしなくとも良いから、1単位の中でサービスメニューを複数に分けて、グループごとに空間も分けることができればベストだ。
それができない場合でも、機能訓練やレクリエーションなどの際は、利用者同士の間隔を広く取ることが大事だ。手を横に伸ばしたときに、隣の利用者の体に触れるような距離は適切ではなく、前後の間隔も同じくとるように心掛けてほしい。
加えて大声を出すサービスメニューも避けたい。カラオケは通所サービスメニューには必要ないと考えて、それがなくとも楽しめる大人のサービスメニュー開発が求められる。
12/8は、このあたりの具体策も示すことになるので、受講者の方には楽しみにしてもらいたい。
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