次期介護報酬改定に伴う基準改正時に、各サービスの運営基準にハラスメントの防止を盛り込むという話を僕が耳に挟んだのは9月の終わり頃であった。

そのことをどう考えるかと某氏から意見を求められ、「今の時代だからそれは必要なことですよね」という話をしたと記憶している。

しかしその際に僕の念頭にあった、「ハラスメント」とは、介護事業者の中で従業員がパワハラ・モラハラ・セクハラにあう被害のことであった。それらの被害を防ぐために、各事業の運営基準に職場内でのハラスメント防止策を取ることを盛り込むのだと思ったのである。

しかしそれは大きな勘違いであることが後に分かった。

今回のハラスメント防止の規定というのは、介護サービスを提供する従業員が、利用者やその家族からハラスメントを受けることがないようにするための規定であったのである。

そのことは9日の介護給付費分科会資料の11頁以降に詳しく書かれている。

今回の防止案では、施設・事業所の運営基準を見直し、仕事中のセクハラ、パワハラをできるだけ防ぐ観点から、国のマニュアルに沿った対策をとるなど適切な就業環境維持(ハラスメント対策)を求めることを事業者に促す規定を設ける方針だ。

しかしそれらの運営基準は、介護事業者が守るべき基準であって、利用者や家族がその基準に従わなければならないなどという効力はない。

それにもかかわらず運営基準にハラスメント防止のための対策を盛り込むという意味は、「労働基準法等に基づく取組は求められているものの、基準省令等で明記したほうが、自治体、事業者双方に対してより丁寧ではないか。」という考え方に基づいている。

そうなると今後は、運営基準に基づいて、事業者にハラスメント防止とハラスメントが起きたときの対策を取る義務を課して、必要な対策を講じることを義務付けるということになろう。

例えば、特にひどいハラスメントケースについては(※何を持って特にひどいとするかなども問題にはなってくるが)、サービス提供の拒否を検討できることも含めて、契約締結時の重要事項説明の際にその説明を徹底することをなどが運営基準に明記される可能性が高い。

ハラスメント対策委員会の設置と定期的なハラスメント検討会の開催、ハラスメントの理解や、その対応に関する研修も義務付けられるかもしれない。

そうなるとハラスメントと認知症の人の行動・心理症状との線引きをどうするのかなど、様々な新しい問題が起きる可能性は否定できない。だからと言ってハラスメント防止は、従業員を護るうえで必要な対策なのだから、新たに生ずる疑問や問題を、一つ一つ解決しながら良い方向につなげていくべきである。

新しい基準の中で、最大限従業員が護られて、より働きやすい環境を作るような努力が介護時事業者すべてに求められるとともに、ハラスメント規定を拡大解釈して、事業者にとって都合の悪い利用者の排除につながらないかなどの監視システムも必要になるのではないだろうか。

この部分では市町村などの行政に、相談と対策の窓口がなければならなくなるだろう。

また利用者や家族からのハラスメント防止の意識は、職場内での様残なハラスメントの防止意識にもつながってくるのは間違いなく、上司の部下に対する叱り方も、パワハラと言われないように注意しなければならない風潮が強まるだろう。

だからこそ職場である程度の地位にある人たちは、ハラスメントという認定される行為とは、どのような行為かなども勉強しておかねばならない。

パワーハラスメントとは、職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える、または職場環境を悪化させる行為であり、モラルハラスメントとは、言葉や態度によって相手の人格、尊厳を傷つけ、精神的な苦痛を与える職場での行為である。そしてセクシュアルハラスメントとは、性的な言動の嫌がらせであるなどという理解は当然しておかねばならない。

例えば、利用者のプライバシーに関連する情報をSNSに書き込んでいる部下に、上司が「いますぐにツイッターをやめろ」と命令するのはパワハラと認定される可能性が高い。

なぜなら「ツイッターをやめろ」という命令は個人のプライバシーに踏み入っており「個の侵害」になるからである。よってこの場合、パワハラにならない注意・指導をしたいのであれば、かける言葉は「不適切なツイートを削除しなさい」となる。

こうしたことにも気を使わねばならない時代である。上司という立場も、気楽にはやっていられない時代なのである。

どちらにしてもハラスメント防止策を徹底するこを否定できる何ものもないのであるから、これを機会にハラスメントに対する理解と、その防止策の啓もうに努めるとともに、利用者と家族からのハラスメントだけではなく、職場内のすべてのハラスメントをなくす努力をしていただきたいと思う。
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