居宅介護支援費はケアマネの待遇改善につながる改定になるのか(前編)より続く】
ケアマネの処遇改善を実現するために、その原資となる収益確保が不可欠である。

その為次期報酬改定では、居宅介護支援費の基本サービス費が引き上げられるのではないかと予想するが、それと併せて収益を増やすルール改正が行われようとしている。

既に決定されたこと、現在検討されていることを項目別に検証してみよう。

まずは居宅介護支援費の逓減制の緩和である。居宅介護支援費は現在、常勤換算でケアマネ1人あたり40件以上になると半減する仕組みとされている。このルールについて例えば逓減する人数を40より多く設定したり(50人までは通常算定できるようにし、逓減は51人目からなど)、逓減する場合の算定単位を現在より増やすことを検討している。

ただしこの場合、担当件数が増えることでサービスの質が低下しないように、ICTの活用事務職の配置などで業務の効率化を図ることを要件とする方向で詰めることにしている。

ICTの活用については、サービス担当者会議や毎月のモニタリングなどをリモートで行うことを認める運営基準改正とセットで進めるという意味だろうが、それはもともとケアマネの業務負担軽減という方向から議論されていたことである。しかしこのルール改正を逓減性の緩和とリンクさせることになると、ICT利用で会議や面接業務が削減されても、それによって担当件数が増えることでケアマネ業務自体は増えることになる。そうであればケアマネ業務の軽減という当初の目的はどこかに吹っ飛んでしまうことなる。

事務職の配置については、そんなことをすれば人件費がかかるのだから、逓減性の緩和による収益増はそちらに回ってしまい、ケアマネの処遇改善原資にはならないと思う。それではほとんど意味がない緩和になりかねない。おそらくこれは併設施設・事業所の事務員が居宅介護支援事業所の事務を兼務することを想定しているのだろ。そうであれば収益増部分をケアマネの処遇改善の原資に回すことは可能になるだろうが、兼務する事務員は業務負担が増える分、手当などが増えるという保障はなく、どちらにしても誰かが業務負担を負うことになる。

担当件数に関連する問題としては、介護予防支援事業所(地域包括支援センター)が作成する予防プランの作成費の引き上げもほぼ決定されている。これにより居宅介護支援事業所に対する予防プランの委託費も引き上げられることによって、地域包括支援センターの予防プラン作成業務負担を軽減することで、地域包括支援センターの本来業務を充実させるのが目的であるが、この部分でも居宅介護支援事業所の収益を増やそうという訳である。

しかしこのことは逓減性がどこまで緩和されるのか、緩和されても予防プランに回せる余力があるのかという問題がある。そもそも予防プランの額を高くしても、介護プランより安いことに変わらなければ、予防プランより介護プランを作成したほうが良いと思うのは人情だ。介護プランを立てなければならない人が増えている現在、国の思惑通りに予防プランの受託が進むかは不透明な部分があると言ってよいだろう。

どちらにしてもこの2つの変更は、居宅介護支援事業所の収益増につながったとしても、ケアマネが今より多くの業務負担を担って、馬車馬のように働くことを前提にしており、責任と業務負担の増加に疲弊し、押しつぶされてバーンアウトする危険性を伴うものである。ケアマネとしてはそれが自らの処遇改善につながったとしても、手放しで喜ぶことができる状態とは言えない。

次に考えたいことは費用算定のルール変更である。

大きな変更点は、担当ケアマネが利用者の通院に同行する場合に報酬を算定できることになることだ。現在何らかの事情で利用者の通院に同行しても一切の費用算定は出来ず、その部分は奉仕の状態となっているの。それを費用算定できることは収益増加につながると言ってよい。しかしそのことで、通院同行がケアマネ業務と勘違いされて、通院に同行するのが当たり前に思われ、ケアマネの業務負担が増えることになればやぶ蛇だ。

通院同行が医療・介護連携の強化につながるという意見もあるが、こんなことでしか連携強化できないケアマネはろくなものではない。まともなケアマネは、こんなことがなくともキチンと医療機関等と連携しているはずだ。そもそもケアマネは頻回に通院同行できるほど暇な仕事ではないのであるのだから、通院同行しないケアマネがきちんとした仕事をしないケアマネと勘違いされないように、通院同行についてはくれぐれも必要性を勘案して慎重に対応してほしいものだ。

このように必ずしも諸手を挙げて歓迎できないルール変更が多い中で、唯一全面的に賛同したいのが、一定のプロセスを踏んだ場合に、実際のサービス利用につながらなくても居宅介護支援費を算定できるようにするルール変更である。

現在居宅介護支援費は、アセスメントを行いケアプランを作成しても、何らかの理由で利用者がサービスを利用しなかった際には算定できない。つまり利用者が急病などでサービス利用ができなくなった月は、ケアプラン作成に費やした仕事がただ働きになるのである。このルールを変更して、アセスメントに基づく計画作成などの一定のプロセスを踏んだ場合は、サービス利用がなくとも報酬を算定できることにすることが、10/30の介護給付費部会で検討課題に挙がっている。

実際に業務負担を強いられているケアマネが、利用者都合でサービス利用をしなかったという理由で、その業務が奉仕とされてしまうのは理不尽だ。適切な業務負担に対する対価を得ることができるように、是非このことの実現を図ってほしい。

また退院・退所加算の見直し議論に対しては、注文したいことがある。

居宅介護支援の退院・退所加算は、利用者の在宅生活への移行にあたってケアプランの作成や居宅サービスの調整を進めるプロセスで、病院・施設の職員と面談して本人の状態を把握することなどが要件とされてるが、10/15の介護給付費分科会では、ここに福祉用具専門相談員らの関与を明示することが検討された。(※特養などの「退所前連携加算」も同様。)

しかし福祉用具専門相談員との連携が必要ではないケースもあるのだから、この要件を加算算定の絶対要件として、それがないと加算算定ができないというふうにするのはおかしい。

むしろ退院・退所加算等に、福祉用具専門相談員の関与があった場合の上記区分を新設して、より高い加算を算定できるようにすべきではないかと思う。その実現を強く要望するのである。

さて前述したように、厚労省が描く居宅介護支援事業所の経営モデルは、ある程度の規模を持って、特定事業所加算を算定できるようにケアマを複数人数配置しておくモデルである。それは一人の担当ケアマネが病気等で利用者の担当を外れても、事業所内で担当の振り替えができることで利用者支援に支障を来さなくて済むという理由からである。そして特定事業所加算を算定することで、安定した経営ができるというもので、できれば特定事業所加算気鮖残蠅靴董安定経営を図るように促している。

しかし加算気蓮⇒弉雜3以上の利用者の割合が全体の40%以上であることが要件となっており、このハードルが高いために算定率1.05%と加算の意味をなさないほど低い水準になっているという問題があった。さらにこの要件をクリアするには、居宅介護支援事業所が利用者を選別しなければならないという問題もある。

次期報酬改定ではこの要件にもメスが入り、要介護3以上の利用者の割合を下げることが検討されている。具体的な数字は今後示されるが、このことは居宅介護支援事業所にとって朗報と言えるのではないかと思う。

以上、ざっと今現在決まっている居宅介護支援事業の改正点、検討点を検証した。参考になれば幸いである。
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