昨日(11/13)衆院厚労委員会で介護人材不足に関連する質問を行った立憲民主党の中島克仁議員に対して、田村厚労相は来年4月に控える次の介護報酬改定について、「(介護職員が)やりがいと誇りをもって働けるよう、必要なものはしっかりと要求していきたい」と述べ、引き上げへの意欲をみせた。
2日の財政制度等審議会では財務省が、「今は国民への更なる負担増を生じさせるようなプラス改定にする環境にはない。」と主張していたが、そのことに対抗する心強い発言であると思う。
これから約1月後には改定率が示されるが、それに向けて表と裏で様々な攻防戦が繰り広げられることになるが、昨日の大臣発言はそれに対する宣戦布告に聴こえなくもない。
介護関係者は昨日の大臣発言を拠り所にして、プラス改定に期待を寄せたい思いだろう。くれぐれも、「必要なものはしっかりと要求した。その結果改定率はゼロ%になった」なんて言うことにはならないようにしてほしい。
さて次期介護報酬改定では、訪問介護の論点の一つに、「通院等乗降介助の見直し」がある。
昨年3月のサービス提供分でみると、通院等乗降介助の利用者は全国でおよそ8万3600人であり、訪問介護全体の20.0%を占めている。しかし通院等乗降介助は、出発地もしくは到着地が利用者の住まいでないケースでは使えないという問題がある。
つまり病院と病院の間の送迎は保険給付の対象とならないのである。
しかし高齢者の場合、複数の慢性疾患を抱えて、掛け持ちで医療機関受診を行わねばならない人も多い。そして受診という行為は時間を使う行為であるのだから、複数の医療機関を受診する場合には、なるべく効率的に時間を使うという意味で、同一日に受診したいと思うのはごく当たり前のことだ。
だが今のルールで言えば、通院等乗降介助を利用する場合に、A病院とB病院を同一日に受診する場合、自宅からA病院まで通院等乗降介助を利用し、受診後に再び通院等乗降介助を利用して家まで戻って、そこから三たび通院等乗降介助を利用してB病院に受診し、そこからその日4回目の通院等乗降介助を利用して家にも戻るなんて言う、手間と時間とお金の無駄が発生してしまうわけだ。
これがルール変更で、自宅〜A病院〜B病院〜自宅の間のすべての送迎が通院等乗降介助の対象になるのだから、これは利用者にとっても事業者にとっても喜ばしい改正であるし、上に示した2つの例を見てもわかるように、病院間の送迎が可となれば、一旦家に戻る通院等乗降介助がいらなくなり、それは給付費の削減効果にもつながるので、国にとっても悪いことではないと言える。
ルール変更後の要件としては、利用者の住まいが始点、あるいは終点となることを前提として、病院から病院への移送やデイサービスから病院への移送なども対象に含めることになりそうだ。
だからショートステイを連続して複数の事業所で利用する場合に、C事業所のショート利用後に、病院受診を行って、D事業所のショートを利用する際には、通院等乗降介助は利用できないことになる。
さらにショートもしくはデイ利用後に、受診後に自宅に戻ることを前提にして、介護事業者から病院に通院支援をしたにもかかわらず、そのまま緊急入院となった場合は保険給付されないのかという疑問が生ずるが、それはQ&Aで考え方が示されるまで解釈できない問題になるだろう。
だがこれによってショートステイやデイサービスの利用前後の受診の際にも、通院等乗降介助が利用できるのだから、多様な利用者ニーズに応えられることになることは間違いない。
ただし機械的にショートステイやデイサービスの前後に通院支援を組み込む計画が増えると、いらない規制強化につながる可能性が高まるので、計画担当者はくれぐれもニーズと、利用者の利便性に沿った計画作成に努めていただきたい。
この通院支援のルールが、「通院等乗降介助」に限られるのか、「身体介護」の通院支援も対象になるのかは、今後の情報待ちであるが、是非身体介護にも適用されてほしいと思う。
さて話は再び変わるが、今週はこのブログ外の別なサイトに、二つの記事がアップされている。
「看取り介護・最期まで人間としての尊厳を保障し命のバトンを繋ごう!」と「コロナ禍第3波の備えと対策は出来ていますか?」も是非参照いただければと思う。
それでは皆さん、良い週末を迎えてください。
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