いくら優秀な人間であっても、能力が高い人であっても、一人で問題を抱え込んで考え込むと、煮詰まってしまって身動きがとれなくなってしまうことがある。迷路に迷い込んだようににっちもさっちもいかなくなる時があるのだ。
簡単な答えがそこにあるのに、それに気が付かない状態に陥ることは誰しも経験していることと思う。
そんな時に第3者が何気なくつぶやいた言葉がきっかけになって、霧を払うように前途を明るくしてくれることがある。
三人寄れば文殊の知恵というが、凡人であっても三人集まって考えれば、すばらしい知恵が出ることは現実にあるわけである。
だからこそチームを組んで、いつでも誰かに相談出来たり、意見を交わし合ったりする仲間と繋がっていることは大切なのである。
ところで介護保険サービスでは、多職種連携のチームケアが重要とされている。しかし居宅サービスにおけるその連携とは、多くの場合お互いが違う職場に所属する人たちの連携である。
指揮命令系統が違う職場で働く人たちが、居宅サービス計画担当者である介護支援専門員の号令でチームを組み、目標を共有し同じ方向を向いて仕事をしなければならないのだから、同じ職場でルーチンワークをこなしておれば自然と情報が共有される流れや仕組みとは異なっているのだという意識を持って、大事な情報漏れがないように伝える努力が求められる。
これで良いだろうと勝手に決めつけるのではなく、これで良いですかという問いかけがより重要になるのである。そうした日ごろのコミュニケーションが、実効性のある連携につながり、それが利用者に対するサービスの質向上に結び付くのである。
ところがこのコミュニケーションがうまく取れずに、必要な情報が伝わらずに終わってしまうケースも多い。
先日僕とFBでつながっている奈良県の介護事業経営者のJさんが、次のように書き込みされていた。
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デイで急変して、救急車を呼んで、入院されました。
それから半年。家族からも、ケアマネからも、
なんの連絡もありません。
入院中なのか。施設に入所されたのか。亡くなったのか。
最終的な顛末が知りたいなぁ。
今月末に1人、住宅型有料老人ホームに入所される方がいます。
昨日の夜ケアマネから電話がありました。
青天の霹靂でした。
入所に向けて動いていることを僕たちデイは知りもしませんでした。
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これはチームケアができていないというより、担当ケアマネにチームを組んで利用者支援を行っているという意識が無いというべきケースだろう。
こうした状態は、利用者の総合支援の視点から居宅サービス事業所の担当者を蚊帳の外に置くことにほかならない。サービス担当者は、お金をもらえないサービス担当者会議に参加して、せっせとサービス情報を送っているのだから、それはあまりにも理不尽だ。
デイサービス利用中に急変した人について、入院後の支援をどうするのかということは最も重要な情報だ。退院・自宅復帰向けて動いているのか、その見込みがないのか、はたまた死亡してケース終了となったのかを支援チームに伝えないということはあってはならないことだ。
また現在支援している利用者の今後の方針として、在宅生活の継続を目指しているのか、施設入所を視野に入れているのかは、支援チームの全員が共有していなければならない情報である。
通常デイサービスを利用している人について、通所介護事業所の担当者は、ケアマネから施設入所を視野に入れているという情報が伝えられない限り、在宅生活を継続するために頑張って通所介護を利用しているのだと考える。そのため機能訓練を効果的に行ったり、家族のレスパイト機能を充実させ、在宅生活継続を目標に効果を高めようと努めているはずだ。その努力に水を掛けるような、情報の途絶はいただけない。
勿論、施設入所の準備を進めているという情報が伝達された場合と、伝達がなかった場合で、デイサービスで行うことに変わりはないかもしれない。しかしチームで大事な方針を共有できていないということは、意思疎通が不十分=信頼し合える関係性になっていない、ということも云えるわけで、そこから水か漏れるように、暮らしの支援に支障が来す危険性を高めるというものだ。
居宅介護支援のために組むチームメンバーに上下関係はないが、その扇の要は担当ケアマネジャーとされており、サービス担当者会議も、ケアマネジャーが招集するのだから、ケアマネにはリーダーシップを発揮する役割も担う必要があるのだ。そのケアマネジャーにチームメンバーと情報共有するという意識が無いと致命的だ。チームケアが機能しなくなるのだ。
サービス担当者会議は、単に法令上開催が義務付けられているから開くという意識ではなく、貴重な時間をひねり出して開催している会議の場で、ケアマネジメントの方向性としての今後の方針なり、共有すべき情報なりをきちんと伝えることが肝になると考えなければならない。
次期介護報酬改定における居宅介護支援事業の論点としては、ケアマネの処遇改善と業務省力化のほか、ケアアンネジャー自身に医療と介護の連携の役割をより一層果たすことが挙げられている。
そでは入院治療は本当に必要な人のみとして、医療から介護への付け替えを進めるからである。療養の場は暮らしの場へ移行し、療養の場で暮らしを支援することにより、介護サービスに医療が深く食い込んでくる。そのために介護・医療連携が必然となるし、多様な利用者ニーズに長く応えていくためには、様々な領域の専門家が関わって、お互いにコンサルティングをしあいながら、チーム力を高め、在宅生活の限界点を引き上げていくことが求められる。
つまり居宅介護支援は、よりハイブリット化することが求められるわけで、そこではケアマネジャーの連携意識や、伝える能力の向上が求められてくるのである。
さらに、所属する母体が違うメンバーとの協働には、より細やかな配慮と気遣いが必要で、細やかな情報伝達というのは、なくてはならない要素であることを常に意識する必要があるのだ。
居宅ケアマネジメントはますます重要になるのだから、ケアマネジャーの皆様には、どうかそういう意識を強く持ってほしい。伝えられるケアマネジャーは、信頼される存在につながることを忘れないでほしい。
多職種連携に命を吹き込むのも、その命の炎を消し去るのも、ケアマネの姿勢一つにかかっていると言って過言ではないのだから・・・。
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