コロナ禍で職を失うなどして、他業種から介護事業者に職を変えた人の中には、介護の仕事を、「腰掛け」程度に考えている人も多い。

就職先を探す過程で、たくさんの介護事業者が職員募集をしていることが目について、そこは資格も経験も必要なく働くことができる場所だと知って応募し、面接を受けてみると、思ったより簡単にその場で採用が決まり、都合の良い日からすぐに出勤してほしいと言われたので、とりあえず就職することにしたと言う人も多いはずだ。

その人たちは、働いてみて自分に合わないと感じたり、自分が本当にしたい仕事ではないと感じた途端に辞める人かもしれない。そうではなくともコロナ禍で失われた元の職業に、コロナが終息した後に戻りたいと考えている人かもしれない。

そういう人たちの中にも、昨日書いた記事で指摘したように、きちんとした知識を与え、技術指導を行うことで、介護の職業にプロ意識を持って臨めるようになることが、介護の職業を続けようとする動機づけの第一歩となる。

きちんとした指導方針があって、時には厳しい指導を伴い、結果を求める学習過程で零れ落ちる人が出てくるのは、介護の職業に向かない人を振るい落とすという意味で意味があることだ。この過程をおざなりにして、「あまり厳しいことを言って、すぐにやめてしまっては困る」と教育・指導責任を放棄してしまう事業者には、「人材」より「人罪」がはびこる結果となり、介護の質が低下するだけではなく、人間関係をはじめとした職場環境が悪化し、別な意味で人員不足が生ずることになる。

だからこそ新人教育は、職場環境を良好な状態に保つためにも必要となるのだ。

しかしそれだけで職員は定着しない。対人援助の場では、自分が獲得した知識や技術によって、利用者が喜んでくれて、暮らしぶりがよくなることに多くの人は喜びを感じ、自分が就いている仕事の意義を見出し、仕事が面白いと感ずるのである。

他業種から転職して介護職に応募する多くの人たちは、その仕事がどんな仕事であるかという実情を正確に把握していない場合が多い。漠然としたイメージとして、介護の仕事は人のお世話をする仕事で、人の役に立つ仕事なんだろうと考えて募集に応募するのだ。

軽い気持ちであったとしても、資格も経験もない自分が人の役に立てるかもしれないという動機づけを持って募集に応募してくる人が多いのだ。

サイコパスのような特殊な例外ではない限り、最初から介護の場で、人を傷つけてやろうと思って就職しようとする人はいないし、一獲千金を狙って介護職の募集に応募する人もいないのである。

多かれ少なかれ人の役に立ちたいと考える人たちが、介護の仕事を自分の天職だと思えるようになるためには、介護サービスが人の幸福に寄与する仕事だと実感できることが重要だ。自分がそこで働くことによって、利用者の暮らしを支えているという実感を持てるかどうかが、介護職員の定着率の向上には重要な要素になるのである。

人の役に立つ仕事に就きたい思って就職した先で、職員が利用者に対しデリカシーのない言葉かけをしたり、乱暴な言葉と態度で接する姿を見て、「介護の仕事って人の役に立たない」と心を折る新人職員は多い。

丁寧な対応ができる職場で働きたいという動機づけを持っている人は、考えられている以上に多いにもかかわらず、将来「人財」となる素質を持つ若者が、先輩職員のタメ口にストレスを感じて辞めてしまうという例も多い。

例えば昨日の記事にコメントがつけられているのでリンク先を参照してほしいが、そのような施設に就職した人は、介護の仕事に面白みなど感ずることができないまま、惰性で働き続けるか、辞めてしまうかの2択しかなくなるだろう。そうなると、たとえ惰性で働き続けたとしても、その職場の介護サービスの品質など良くなろうはずがなく、永遠に職場環境は良くならない。そんな場所に人材が張り付くわけがないのである。

だからこそサービスマナー意識は必要不可欠なのである。マナーのある職員対応から介護サービスの品質は創られ、そこではマニュアルでは決して創ることができない、ホスピタリティの意識が芽生えるのである。

そうなると自然と介護サービスの品質も向上し、利用者に笑顔が生まれ、その笑顔を見て職員も気持ちよく働くことができるのだ。

そういう職場で働くのは、おもしろいし楽しいだろう。だからこそ介護サービスの品質を向上させ、職場環境を良好にする、「サービスマナー教育」は何よりも重要になるのである。

それが証拠に、利用者への接し方が丁寧で、傍から見ても気持ちよく、しかも介護技術が丁寧で、利用者からも信頼を寄せられている介護職員がいる介護事業者は、介護福祉士養成校の学生に人気がある。実習中に丁寧に利用者対応している介護職員の姿に触れて、「あの人に学びたい」という理由で募集に応募する学生は多いのである。

是非そのことを念頭に置いてほしい。職員募集に応募してきた人を闇雲に採用して人材確保ができたと思い込まず、募集に応募者が増えている今だからこそ、きちんとした採用基準を定めるとともに、対人援助としてのスキルを伸ばすことができる職員教育・指導のシステムを作り上げないと、介護事業を安定して続けられなくなるという危機感を持ってほしいと思う。

単なる人員のままで、指導も教育もおざなりにしていると、その人員は決して人材となることはなく、人罪として職場をかき回し、荒廃させるもとにしかならないことを心してほしい。
知恵
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