コロナ禍の影響を受けて、仕事が減ったり解雇されるという憂き目に遭う人たちが増えている。

ホテルや飲食店の従業員の方々、タクシー運転手や運転代行の方々など、社会の広範囲にわたって職を失う人が増え、来春の新規採用を控える企業も続出している。

そのような中で、慢性的な人手不足が続いている介護事業者の求人応募者が増えているそうだ。地域によってはかつてないほどの応募者増加が見られ、人員が充足したと一安心している介護事業経営者の声を聴く機会が増えている。

しかし問題は新規採用した人たちが介護事業者の戦力となって、長く働き続けてくれるのかということだ。コロナ禍が終息し途端に、それらの人たちが介護業界から雲散霧消してしまうという結果になっては何の意味もないのである。

新たに募集に応募した人たちの多くは、介護事業とは異業種・異職種に勤めていた人達だろうと思う。コロナ禍という状況で職を失って、初めて介護職に就くという人が多いのではないかと思う。

そういう人たちがファーストキャリアとなる場所で、しっかりと介護の基礎技術を覚え、安心して働きながら介護職の魅力を感じ取れずに、短期間で辞めてしまう結果になれば、職員の充足は一時的なものになるだけではなく、仕事を覚えきれないうちに辞める人が多くなることによる別の弊害が生じてしまう。

職員の充足が一時的なものに終わって、退職する職員が増えるということは、今いる職員に新人教育という業務負担を増やすにもかかわらず、結果的にその教育が無駄となるという意味だ。それは今いる職員に徒労感を負わせるだけの結果にしかならず、場合によっては知識と技術のある職員のバーンアウトにつながりかねない問題である。

だからこそ基礎教育をしっかり行い、根拠ある方法としての介護技術を身に着けるように指導し、安心して働くことができるようにしなければならない。そのうえで介護の魅力を伝えていくことが大事になる。

ひどいところになると介護未経験者の新人職員に対し、食事介助技術の基礎を教えることもなく、就業初日からいきなり食事介助をさせるという蛮行にでるところがある。基礎指導もなく先輩の食事介助を見て覚えろというのは、あまりにも乱暴だ。食事を食べさせるくらい誰でもできる行為と思われているから、そのような蛮行が行われるのであろう。その結果介護の場では、ここ十数年間食事介助中の窒息死がゼロになった年はない・・・。
危険な食事介助
その一番の原因は、いまだに立ったまま食事介助を行っていることだ。食事介助は座って、利用者と目線を合わせて行なわねばならないという基本技術を教えていないのである。

OJTに入る前に、介護マニュアルによる指導を行う必要があるのに、そのマニュアルがないとか、あっても使われていないとかいう問題を解決せねばならない。使われる介護マニュアルを作って、OJTという現場指導に入る前に、マニュアルを使った座学による基礎技術学習機会を作らねばならない。
食事介助マニュアル
これは僕が作成している介護マニュアルの食事介助に関する部分であるが、このように食事介助一つとっても、単に食べさせるという行為のみならず、準備行為から後始末としての口腔ケアまで様々な注意点があるのだ。こうした基礎をしっかり学んだうえで、OJTはその座学で得た知識を、技術として生かすことができるような指導として行なわれるのが本来である。

内田洋行オンラインセミナー基礎座学やOJTをはじめとした職員教育については、明日もオンラインで情報配信する予定がある。

9/16(水)19:00〜20:00まで行われる、「UCHIDAビジネスITオンラインセミナー〜介護施設における人材育成のポイントは?」は、どなたでも無料で参加できるセミナーで、今からでも申し込み可能である。

明日の配信分は、すでに録画されたものであり、前後の紹介等を除くと、僕の講演自体は賞味45分程度の長さになっているので、あっという間に聴き終えることができると思う。
(※第1回の人材確保策の講演後のアンケート結果は文字リンクをクリックして参照ください。)

9/16の第2回と10/6(火)の第3回セミナーのテーマは、「人材育成」である。10/6は生配信なので、チャット形式の質問も受けつけることにしている。9/16が経営者や管理職向け、10/6は介護リーダー・一般職員向けとなっているが、できれば管理職も一般職の方も、両方のセミナーを続けて視聴していただきたい内容になっている。

配信ツールはユーチューブなので、多くの方が使い慣れ、操作に苦労することもないと思う。送られてくるURLにアクセスするだけで簡単に視聴できるので試していただきたい。

異業種・異職種から職員募集に応募し採用した人が、一日でも早く戦力となれるように、きちんと根拠に基づいた指導をしたいものだ。しかしそれができない介護事業者は、今後必要な人材を確保して事業を継続していくことが益々難しくなるので、早急にそうした体制を整えておく必要がある。

それと同時に、せっかく採用した人が、短期間で辞めないように介護という職業の魅力も伝えていく必要がある。介護の職業は他の仕事と比較して、決してお金持ちになることができるような職業ではない。しかし他の仕事にはない魅力が確かにある。

それは何か、それをどのように伝えていくのかについては、明日のブログ記事で語りたいと思う。乞うご期待。
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