先週末の僕のミッションは、今週木曜日に北海道の自宅から、長崎県五島市に向けて配信するオンラインセミナーのPPTスライドを完成させることだった。
90分間の講演スライドは9割方できていたが、その最終チェックとまとめを行い、何とか昨日までに最新の虐待防止セミナー用PPTスライドを無事完成させることができた。

この講演は、2018年の7月に、五島市の社会福祉法人・明和会さんの法人発足20周年式典の記念講演講師としてご招待いただいたご縁からつながっている。(参照:五島の天の川 ・ 五島の青い海)
その際にお世話になった特養・ゆうゆうの郷の門原施設長さんから、「他法人の保育園長から介護系の先生でも良いので、虐待関係の講師を紹介してくれないかと依頼された」という連絡をいただき、仲介いただいた結果、実現に至ったオンライン講演である。
ということで木曜日のセミナーは『みどり丘保育園』の保育士さんが受講するオンラインセミナーであるが、明和会さんとの合同セミナーという形なので、結果的には幼児保育の専門家と高齢者介護の専門家の両方の方々に向けた虐待防止セミナーということになった。
みどり丘の園長先生には、門原施設長が僕の著作を紹介してくださり、それを読んでもらったうえでの講演依頼なので、取り上げる事例は高齢者が中心となることを承知していただいている。しかし僕自身は人間の尊厳を護るという意味では、幼児・児童・大人に関係なく伝えなければならないものもあると思っているし、保育士さんに向けたセミナーも過去に経験しているので、内容を組み立てるにあたって戸惑うことはほとんどなかった。
虐待防止の勉強を行う意味は、そこに発生している虐待事例をなくすという意味合いではなく、保育や介護という対人援助においてあってはならない虐待を、未然に防ぐための知識を得て、体制を整えおくという意味合いが強い。
それは対人援助に関わる全ての人が、必ず一度は受講しておかねばならないセミナーだ。なぜなら虐待は、虐待しようという意志や意識が無い人によって行われることが多いからだ。虐待と無縁だと思っている人にも受講してもらい、もしかしてあのような行動や行為が虐待につながるかもしれないということに気がついてもらう必要があるのだ。
虐待は、「心理的虐待」・「身体的虐待」・「ネグレクト(放棄・無視)」・「性的虐待」に区分されるが、かつては児童・高齢者ともに身体的虐待の件数が最も多かったものの、ここ5年ほどは心理的虐待の件数が増加し、児童では全体の約半数を占めている。高齢者の場合は、ネグレクト(放棄・無視)の増加も目立っている。
身体に被害は及ばないものの、人の心を傷つける虐待行為の中には、虐待している当事者が、「そんなつもりはなかった」という無意識の虐待も数多く含まれてくることになる。
しかし虐待される側が受けるダメージは、意識・無意識に関係なく大きなものであることに変わりなく、虐待を完全になくすためには、何が虐待行為なのかということを根本から理解するとともに、悪意がなくとも、デリカシーのない対応で傷つけられる人が生まれないようにすることが非常に重要となるのである。
その為には幼児であっても、「ひとりの人間」として認めて接する態度が欠かせないし、対応する職員は必要なことをする前にその人に伝えたり、承認を得るプロセスを踏まなければならない。プライバシーに介入する場合、その人の尊厳を損なわないように関わることに最も注意が必要となる。
このように虐待防止の根源的考え方については、幼児虐待も高齢者虐待も変わりないわけである。
そして援助者は自分の感情を自覚し、自分の感情をコントロールして援助する必要性も、両者とも変わらないわけである。
感情をコントロールするために、アンガーマネジメントなどの訓練も必要と言われるが、その前提は自己覚知であり、統制された情緒関与の原則であることにも変わりなく、こうした知識や援助技術を伝えるのが虐待防止セミナーである。
それは、「虐待はあってはならない」という精神論ではなく、自らの行動が虐待につながることがないように、どのような知識を基盤として、どういうふうに援助を行うのかという技術論・実践論でなければならない。
虐待を行わないサービス事業者が良い事業者という訳ではなく、利用者を虐待しないサービス事業というのは極めて当たり前であると言った意識、ストレスは誰もが抱える可能性があるものだが、そのはけ口を利用者虐待という形に求めることは、「当然」でもなければ、「よくあること」でもないことを意識したうえで、職場の組織環境と実践法が虐待を未然に防ぐのだということを理解していただくセミナーとしたいと思っている。
なお昨日から、「介護施設等の人員配置基準緩和(削減)に関するアンケート」を行っている。その結果はこちらからも見ることができ、すでに多くの方々の協力を得ているが、引き続き介護実務に携わる人の生々しい声を集めたいと思っているので、投票がお済でない方は是非協力をお願いしたい。
※登録から仕事の紹介、入職後のアフターフォローまで無料でサポート・厚労省許可の安心転職支援はこちらから。
※リスクのない方法で固定費を削減して介護事業の安定経営につなげたい方は、「介護事業のコスト削減は電気代とガス代の見直しから始まります」を参照ください。まずは無料見積もりでいくらコストダウンできるか確認しましょう。




北海道介護福祉道場あかい花から介護・福祉情報掲示板(表板)に入ってください。
・「介護の誇り」は、こちらから送料無料で購入できます。
・masaの最新刊「看取りを支える介護実践〜命と向き合う現場から」(2019年1/20刊行)はこちらから送料無料で購入できます。