次期介護報酬改定議論の中で、介護ロボットやICT等の機器を活用することを条件に、職員配置基準を基準を緩和して、少ない人員配置でより多くの利用者への対応を可能にしようとする考え方について、介護の場で実際に働いている人や、介護事業経営者の方などがどう考えているのかを確認するため、「介護施設等の人員配置基準緩和(削減)に賛成ですか?反対ですか?」というアンケートを9/6〜9/20までネット配信していた。
おかげさまで、たくさんの皆様のご協力を得ることができ、わずか15日間で549人の方から回答をいただいた。このアンケートは、一つのPC、タブレット等から1度きりの投票しかできないので、この数字は実数に近い数字と言えると思う。
ありがたいことに244人もの方がコメントを書き込んでくださった。この場を借りて深く御礼申し上げたい。
アンケートの結果は、文字に張り付いたリンク先にまとめているので是非参照していただきたい。
コメントはすべて貴重なご意見だと思ったので、漏らすことなく全員分を掲載している。この際、明らかに誤字だと思える部分については、管理人の判断で訂正しているが、文章自体は全く手を加えていないので、ニュアンスの変更などは行われていないことも併せてご了承いただきたい。
ご覧のように8割の方が、配置基準を減らして、一人の労力でより多くの利用者に対応することに反対している。
一方で賛成意見の方のコメントを読むと、将来の可能性も含めて、機器活用を否定すべきではないという意見も多かった。その通りだと思うが、今現在仕事をしなければならない介護職員の方々が、それでつぶれてしまわないかという疑問はやや残る。
僕が総合施設長を務めていた社会福祉法人の特養は、従来型施設で、看護・介護職員:利用者の配置は3:1で良いことになっていたが、実際には2:1の職員を配置していた。そうでないとシフトが回らず、業務に支障を来す状態になりかねなかったからである。しかしその状態でも夜勤者は5名で100名の入所利用者+12名のショート利用者に対応していたのだから、夜勤者は実質一人で22名以上を対応しなければならない状態で、業務負担はかなり重かったと言ってよいと思う。進化した見守りセンサーは、この状態をどれだけ改善できているかは甚だ疑問である。
「介護ロボットなどの活用と人員配置基準の緩和はサービスの効率化を図るために必要」と主張する人に問いたいことがある。
介護ロボットの活用と簡単に云うが、活用できる介護ロボットとは具体的に何を想定して言っているのだろう。
配置基準を緩和できるほど、人間に替わって働いてくれる介護ロボットは、どこにあるのだろう。
介護ロボット・ICTの活用して職員を減らした場合、一人の職員が担当しなければならない利用者数が、日中で20名、夜で5名ほど増えることが想定されているが、それだけの利用者のケアが増える分を代替してくれるロボットやICTって何のことなのだろうか?
なるほど確かに見守りセンサーの性能は抜群に向上しました。それによって夜間の巡回回数や巡回スペースは減らすことが出来ています。しかしその業務負担が減ったからと言って、それは夜勤業務のわずかな軽減にしかならない。
夜間巡回が減っても、夜間の排泄ケア・体位交換は減っていないのです。それを人に替わって行ってくれるロボットは存在しないのです。コール対応だって減りません。センサーが反応して対応するのも夜勤者である。
そんなことを言っても生産年齢人口が減り、労働者の数が少ないのだから、配置基準を緩和しないと事業は回らないと主張する人は、緩和した基準配置しかしない事業者に職員が張り付くと思っているのだろうか。
介護職員が売り手市場であり、全国どこでも簡単に転職先が選べるという状況は変わらないのだから、そうであれば今後、介護の仕事をする人は、より働きやすい場所を選ぶ傾向も強まってくる。配置基準が緩和されたことを喜んで、基準以上の職員を配置する努力を怠る事業者には人は集まらなくなる可能性も高まるのではないだろうか。
そうであれば配置基準緩和は、従業員にも経営者にも利はなく、配置基準を緩和して喜ぶのは、職員を減らす分の給付費を減額できる理由を手にする国側だけではないのだろうか。
先日もお知らせしているが、このアンケート結果は明日中に、「CB news」の有料サイトに僕が連載している、「快筆乱麻!masaが読み解く介護の今」の最新記事、「介護報酬改定議論の注目点」に掲載されることになっている。
介護保険制度改正・介護報酬改定をテーマにした、僕の講演でも取り上げて、全国の皆さんにコメントに書かれている意見なども紹介したいと思う。国の関係者にも、こうした意見があることを伝えていきたいと思っている。
アンケートに投票いただいた方には、この場を借りて改めて感謝申し上げて、本日の記事を締めたいと思う。どうもありがとうございました。
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アンケートにも回答させて頂いたものです。
そもそも、ですが、従来型とユニット型という法律名称に差別(悪意)を感じます。
従来の古くさいやり方と過去を全否定していることが問題を複雑にしているともいえないでしょうか。ユニットに近い、従来型個室という選択肢があることをもっと考えるべきかと思います。
そう考えると、従来型という名称を、グループ型とかモジュール型 とかの名称に変更することも同時の検討して頂きたいです。
masa
がしました