厚労省老健局は8/26付で、「介護サービス事業所・施設等に勤務する職員に対する慰労金支給に係る協力の依頼について(令和2年度新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金(介護分))」という通知を3つの課名で発出した。

今更言うまでもないがこの慰労金は、介護の仕事に携わっている事業者で働いている人に広く支給されるものである。支給額は感染症が発生した施設もしくは濃厚接触者に対応した介護施設・介護事業所に勤務していて利用者と接する職員に対しては20万円、その他の施設・事業所に勤務して利用者と接する仕事をする職員に対して5万円と区分されているが、支給対象事業は介護保険サービスに限っていない。さらに支給対象となる利用者に接するという範囲も広くみており、調理員や清掃員・事務員等も支給対象となるなど、基本的に利用者が存在するスペースの中で勤務する職員すべてに支給されるものであり、派遣労働者、業務受託者、対象期間に勤務実績がある退職者にも支給されることになっている。(※ボランティアは対象外)

ところがこの慰労金の申請を事業所・施設がしてくれないという相談が増えているというのだ。今回の通知はその為に発出されたものだ。

なぜだろう?現在、介護サービス事業所・施設等に従事している人は、原則として介護従事者等が勤務先の介護サービス事業所・施設等に代理受領委任状を提出して、事業所・施設の事務担当者等が支給申請手続きをすることになるが、この部分がなぜ滞るのか不思議である。

事業所・施設の事務担当者にとってこの申請手続きは、コロナ禍で初めて生じた業務であり、通常業務に上乗せされる業務負担ではあるが、仕事の性格上それは従業員の福利厚生と言えるもので、事務担当者の本来業務であると言ってよい。

それを行わない事業所・施設があるとは思えない。代理受領委任状を取りまとめる手間があると言っても、申請業務自体は何人分であろうとまとめて行うことに問題はなく、申請数の多さが過重労働となって業務の支障になるとも思えない。ここは事務担当者に頑張ってもらいたいところなのである。

コロナウイルスの感染リスクにも負けずに今まで働き続けてくれた職員が、今後も手を取り合って働き続けてくれるためにも、一日も早くもらえる慰労金を届けようとするのが、事業経営者に求められる姿勢であり、そのために事務担当者等を励ましながら、職場が一体となってこの申請業務に取り組む姿こそが、介護事業としてごく当たり前の姿でなければならない。

そうであるにもかかわらず実際には、「希望しているのに事業所が申請してくれない」という相談者がいるという意味は、事業経営者や申請事務担当者等が意図的に誰かの申請をはじいているということしか考えられない。

それって明らかに、「いじめ」でしかないと思う。派遣労働者や業務受託者の労働者も現に勤務する介護事業所等から請求することとなっており、その義務を果たさないとしたら、それも差別としか言えない。

そんなことが実際に行われているとしたら、それを命じている人間・諾々とそれに従っている人間双方の品性が問われる問題である。

そんな事業者が人の暮らしを護ることができるとは思えない。

そうした事務手続きの停滞は、社会から道義的責任が問われてもやむを得ない問題だ。ネット上に事業者名が挙がって糾弾されるような事態になれば、それは大きなイメージダウンで、人材不足にさらに拍車をかける事態になりかねない。

申請事務が停滞している状態とは、それほどの大事件につながりかねない問題だという自覚はあるのだろうか。何らかの事情で事務手続きが滞っている事業者の事務担当者は、危機感を持って一日も早い事務処理に取り組むべきである。

慰労金をいまだに支給申請してくれないところに現に働いている人は、ただ嘆いたり不満を口にするだけではなく、自分の将来のことを含めた身の振り方を考えるべきである。一日も早くそのような不誠実な職場を辞めて、労働者に対し誠意のある対応をしてくれる新しい職場を探した方がよいのではないだろうか。

退職しても慰労金は支給対象から外れることはないし、むしろ退職すれば個人で直接都道府県に支給申請ができるようになる。この際には退職事業者の証明をもらわずに、雇用契約書、労働契約書、辞令、給与明細、源泉徴収明細、勤務表(出勤表)のいずれかがあればよいので、そうした方向性も考慮に入れるべきだ。

たった5万や20万の問題で、退職という大ごとを考えるのはどうかという声もあるかもしれないが、このことは金額の多寡が問題なのではなく、姿勢の問題である。この慰労金の支給に関する姿勢とは、事業者が真剣に従業員の福祉や待遇を考えているのか、従業員の暮らしにまで目を向けていくれているのかという問題である。

慰労金を速やかに対象となる全従業員に届けるという姿勢のない事業者は、将来的にも従業員も守ってはくれない。そんなところで自分の能力をすり減らす必要性は少しもないのである。
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