次期介護報酬改定議論の中で、地域包括ケアシステムの推進として<看取りへの対応>が取り挙げられている。

そこでは、「 人生の最後まで、どう尊厳が保持され、本人の意思がいかに尊重されるかということが非常に重要。人生の最終段階における意思決定を行う上で、4つの倫理原則に基づく意思決定支援の在り方を重視していくことが必要ではないか。現場で実行可能で、本人の意思を尊重できるよう、具体的かつ丁寧なガイドラインが必要ではないか。」という課題が挙げられている。

このような観点から平成30年度介護報酬改定においては、訪問看護や看多機等において、「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」等の内容を踏まえた対応を行うこととされたところであるが、次期報酬改定でも「人生の最終段階においても、利用者の尊厳を保持し、本人の意思に沿ったケアを進める観点から、どのような方策が考えられるか。」というテーマに沿う形で、看取り介護・ターミナルケアの評価が行われることになる。

ところで本人の意思尊重過程で重要であることが示された4つの倫理原則とは何かがすぐ思い浮かんだ介護関係者はどれほどいるだろうか?

それは以下の4原則だと思う。
1.自立尊重原則(クライエントの自由に独立して考えた事を尊重しこれに従う事)
2.善行原則(クライエントに対して善行を行なう事=クライエントが考える最善の利益も考えに入れた判断を行うこと)
3.無危害原則(人に危害を及ぼすような行動をしてはならない)
4.正義原則(社会的な通念の正義を全うする事)

この原則は生命にかかわる全ての分野で基礎とすべき倫理とされているが、医療関係者には馴染み深いものの、介護関係者にはあまり浸透していない考え方だと思うので、これを機会にその原則を理解していただきたい。なぜならこの4原則は、今後の人生会議では頻繁に使われる言葉となってくるものと思え、その理解がないことが医療関係者との意思疎通の障害となる恐れがあるからだ。

どちらにしても超高齢・多死社会における看取り介護は、そこに至る過程で必要とされる人生会議(ACP)が重要であることが強く意識され、報酬改定もその考え方に沿った内容にシフトしていくと思われる。

いうまでもなく人生会議(ACP)とは、本人と家族が医療者や介護提供者などと一緒に、現在の病気だけでなく、意思決定能力が低下する場合に備えてあらかじめ、終末期を含めた今後の医療や介護について話し合うことや、意思決定が出来なくなったときに備えて、本人に代わって意思決定をする人を決めておくプロセスを意味するものだ。

人生会議という過程を踏むことによって、対象者の人生観や価値観、希望に沿った将来の医療及びケアを具体化することを目指しているのである。

人生会議に携わる介護関係者も、その本来の目標を見失わないようにしてほしいし、同時に人生会議の中で、その目標を達成できる情報提供やアドバイスを行なえるようなスキルを身に着けてほしい。

そうしたスキルがなければ、人生会議に携わっても、ただ単にそこに居るだけで、医師や看護師から指示・命令されるだけの存在になりかねないからだ。それでは介護関係者として人生会議に携わる意味がなくなるのである。

看取り介護対象者に必要とされる治療を含めた医療については、不必要な延命治療を行わなくても良いのではないかということを含めて、医師から説明され、その際にほかに取り得る医療サービスの在り方も示されるものと思える。この部分について、介護関係者から対象者本人や家族に示すことのできる情報等はほとんどないだろう。

しかし終末期に必要な暮らしの支援について、介護関係者という立場で情報提供を行うことは非常に重要である。しかしその情報とは、何をするか・どうするかという押し付けではなく、看取り介護対象者や家族が選択しうる情報でなければならない。

自宅で看取る際に使いうる介護サービス情報のほか、どこのどんな場所で、どんなふうに看取り介護が行われ、それは残された遺族にどのような影響を与えているのかという情報も貴重な情報だ。介護関係者は、そうした地域事情に精通して人生会議に臨みたいものである。だからこそ今以上に地域の介護資源情報を集め、精通しておく必要があるのだ。

特に居宅介護支援事業所の介護支援専門員は今以上に、どこでどのような看取り介護が行われているかという情報集めに努めていただきたい。看取り介護と称した、「施設内孤独死」が存在していないのか、看取り介護中に職員のマナー意識のない言葉遣いと対応に遺族が傷ついたり、トラブルになったケースはないのかということには特に注目してほしい。

その前に介護関係者には、看取り介護とはどのような介護なのかということを含めて、基礎からその勉強をしていただきたいと思う。その際にはぜひ僕の看取り介護講演も聴いていただきたい。

そんな看取り介護講演については、僕にとって嬉しい情報がひとつ入ってきた。今年1月、京都府老施協の看取り介護講演(入門編)として2日間で6時間の講演を行なったところ、その内容が大評判となって、来年も同じ講演を行うことが決まったのである。ただし次回は2021年1月〜2月まで1回2時間の講演を計3回、オンライン講演で行う予定にしている。

今後の看取り介護講演は、「withコロナ」の視点を取り入れて、新しい情報と知識も伝える予定なので注目していただきたい。

このようにオンライン講演も随時受け付けているので、興味のある方はメール等で気軽に相談いただきたい。

さて6日(日)から、「介護施設等の人員配置基準緩和(削減)に関するアンケート」を行っている。その結果はこちらからも見ることができ、すでに多くの方々の協力を得ているが、引き続き介護実務に携わる人の生々しい声を集めたいと思っているので、投票がお済でない方は是非協力をお願いしたい。
リスクのない方法で固定費を削減して介護事業の安定経営につなげたい方は、電子ブレーカーで電力料金を賢くコストカットしませんか?をクリックしてください。
まずは無料見積もりでいくらコストダウンできるか確認しましょう。

登録から仕事の紹介、入職後のアフターフォローまで無料でサポート・厚労省許可の安心転職支援はこちらから。




※別ブログ
masaの血と骨と肉」と「masaの徒然草」もあります。お暇なときに覗きに来て下さい。

北海道介護福祉道場あかい花から介護・福祉情報掲示板(表板)に入ってください。

・「介護の誇り」は、こちらから送料無料で購入できます。

masaの最新刊看取りを支える介護実践〜命と向き合う現場から」(2019年1/20刊行)はこちらから送料無料で購入できます。