政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身茂会長は20日、東京都内で開かれた日本感染症学会の学術講演会で講演し、感染状況について「全国的にだいたいピークに達した」との認識を示したうえで、「どんなに注意しても、100%完全な予防は不可能。事例から学び、社会経済生活への影響を最小限にすべきだ」と語った。
また早ければ2021年初頭にも供給が始まる可能性があると言われるワクチンについて、21日に開催された新型コロナウイルス感染症対策分科会では、診療に当たる医療従事者や重症化リスクの高い高齢者、持病のある人から優先して接種する方向で合意されている。
昨日も国内の新規感染者は1.033人となっている状況を考えると峠はまだ先にあると言えるし、決して油断はできないが、少しずつコロナ後、あるいはWithコロナを見据えた動きが始まっていると言ってよい。
介護業界でも来年4月からの介護報酬改定に向けて、その詳細が秋にもまとめられるのだから、いつまでもコロナウイルス対応だけに追われているわけにはいかない。来年4月以降の3年間の収益を左右する報酬改定と基準改正の情報をしっかりと把握して、中長期の経営戦略を見直していく必要がある。
その為に経営陣・管理職はいち早く正確な情報を手に入れて、分析する必要がある。専門家の見方と予測も参考にする必要もあるだろう。
また報酬体系がどう変わろうと揺るがないものがある。それは介護サービス事業者が生き残るためには結局のところ、「サービスの品質」が決め手になるということだ。これをおざなりにして消えていった小規模通所介護事業者は多いが、その波は今後、大規模法人にも及んでくる。その波をよけきれるのか、飲み込まれるのかという境目は、人材確保と育成にかかってくる。
骨太の方針によって、社会保障費の自然増分を抑制する政策は続いているのだから、増え続ける高齢者や要介護者一人一人にかけるべき国費の単価は減るのである。それでも介護保険サービスの利用者数は増え、介護給付費は2028年までに20兆円に増えるのだから、顧客数を確保しさえすれば、介護サービス事業者にはまだまだ成長の芽はあるということになる。
そこでは客単価は減っても、それ以上に顧客を確保することで事業収益は挙げられるというシンプルな考え方が必要だ。今の顧客数を維持するだけでは先細りになり、事業経営が立ち行かなくなることをしっかり念頭に置いて、選ばれるサービス事業者になるための体質改善が必要になる。そうして生き残れる先に大きな収益もついてくるのである。
だからこの部分にはお金をかけてよい。先行投資を十分行っておくべきなのである。
そこで必要となるのは、サービス利用者の中心となる団塊の世代の人々に、どうやって自社のサービスをアピールして、サービス利用してもらうのかという戦略である。
しかし介護サービスは対人援助なのだから、その品質はシステム以前にサービス提供者たる、「人間の資質」に由来する部分の比重が高くなってくる。この個人の資質をどう鍛え、どう伸ばしていくのかは、ひとえに教育にかかってくるのである。
このように情報確保とスキルアップの機会を常に確保することは、「コロナ禍」でも「コロナ後」でも「Withコロナ」でも常に必要になるわけである。
だからこそ職員研修はおざなりにできないが、実際にはコロナ対応に追われ、事業所内研修もおざなりになっているサービス事業者が多いのではないか。それは事業者の将来を脅かしかねない問題だ。
職員教育を外部研修に頼りきっていた事業者は特に深刻だ。コロナの影響で各種職能団体が主催する研修会は軒並み中止や延期となって、職員教育は自社内で行う必要があるのに、その初歩的ノウハウもなく、呆然と手をこまねいているだけになってしまえば、コロナ後に情報と知識の部分で大きく取り残されて職員も利用者も、「そして誰もいなくなった」というふうになりかねないのである。
だからこそ先行投資として、そうならないための教育へお金をかけるべきであり、研修費用は大胆に支出しても決して無駄にはならないと考えるべきである。
研修が滞っている事業者の職員は、周りを見渡して、この時期でも職員教育に力を注いでいる事業者への転職を考えたほうが良いかもしれないとさえ思う。
感染を恐れて職員研修ができないという状態を放置する事業者に風は吹かないからだ。
逆にこの時期に内部研修をより充実させて、情報を素早く正確にキャッチし、職員のモチベーションとスキルを上げる研修機会を設けることができれば、他事業者との差別化を図ることができ、場合によってそれは、他事業者で働いている人材を含めた、新たな人材流入の流れをつくることにつながるかもしれない。
そこで求められているのがオンライン講演である。
僕は先日、東京の秋葉原からユーチューブを通じてオンライン講演配信と録画を行ってきたが、今日は自宅からZOOMを使ったオンライン講演、「感染対策下の看取り介護〜Withコロナの人生会議(ACP)」を午後6時から120分間配信する予定になっている。
4月緊急事態宣言が発令されたことによって延期されていた福岡県大宰府市の介護事業者の講演も、オンラインを通じて行うことで調整中だ。10月以降の講演も、集合方式・会議方式の研修会も予定しているが、その場合でも参加人数を絞らねばならないので、集まって講演を聴く方式とオンラインを通じて講演を聴く方法を組み合わせて、受講者が講演を聴く場所を分けて研修実施する機会が増えている。
オンライン講演は、ユーチューブやZOOMの他、Microsoft Teamsなどを使って行うことができるが、どのツールを使おうが、受講する側に特別な機器準備や技術は必要ない。お金もかからない。使うツールを無料でダウンロードするだけでつなぐことができるからだ。
ネット環境さえあればPCやタブレット、スマートホンなどで簡単に受信できるのがオンライン講演なので、受講や配信を希望される方は、是非気軽に相談していただきたい。
日程や内容も希望に沿って設定し、ツールの使い方(とはいっても非常に簡単であるが)もアドバイスできるので、まずはメール等で相談の連絡をいただければありがたい。
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