不足感が増す介護人材をどう確保するのか(中編)より続く》
介護事業者内に教育役としての現場リーダーを置き、OJTツールを使いこなして実地教育を行うことの重要性を書き連ねてきたが、それだけで人材が育成できるわけではない。

そこでさらに必要となるのは、個人のスキル差に目を向けた、「人間指導」の視点である。

マニュアルを機械的に覚えても、感情ある人間に相対するときに、マニュアル通りに事が運ばないことも多い。そのような状況の中で、自分で考え悩み答えを出すことができるスキルを得るためには、わからないことをわからないまま放置せず、その場で一つ一つの答えを見つけて解決していく必要があるし、答えのない問題についても、誰かと疑問点を話し合って、自分の疑問の所在や問題の所在を探す場が必要になる。

サービスの場での実務指導は、振り返りの機会があってこそ血となり肉となるのであって、誰かに質問や相談ができる環境を意図的に作ってやらねば、人材育成は躓くのである。

だからこそ一定期間は指導者が固定化されて根拠あるOJTが行われ、振り返りの相談指導や座学指導が必要である。その頻度は時期によって変えてよいが、1年間程度は新人教育としての座学時間と相談時間勤務時間の中できちんととる必要がある。

同時に指導者は、そうした機会や時間があるからと言って、指導対象職員から自動的に質問や相談がされてくると考えてはならない。

わからないことがあれば質問してください」というのは、駄目な教育の典型例である。

指導者は、質問する知識がない状態が新人職員であることを理解しなければならない。ましてや入職初日に介護技術に関する質問などできる人間はいるはずがないのである。

そもそも質問するというのは勇気がいる行為であり、職場の場合は人間関係がないと質問ができずらくなる。他業種からの転職者は、簡単な業務用語さえわかっていないのだから、自分が何をわかっていないかがわからない状態と言え、そんな人が質問できるわけがないのである。

だからOJTは、質問できない人に対して実施する教育指導だと考えなければならない。そのために必要になるのは、FAQ(よくある質問)である。あらかじめFAQとして想定問答集を作成することを僕は推奨しており、僕の講演ではFAQの作成方法等を示しているので、機会があれば是非受講していただきたい。

相談についても同じようなことが言える。指導者から、「いつでも気軽に相談してね」と言われたとしても、指導されている側としては何をどう相談してよいかわからない。しかも相談の結果、「そんなことも理解していないの」と叱られて終わりではたまらないのである。

また質問に対しては、必ず答えが必要であるのに比べると、相談に対しては答えが必要ではない場合があることを理解せねばならない。相談とは答えを指導者が示すことではなく、相談者と指導者が相談内容をともに考えて、相談者自らが答えにたどり着くことができるように手伝う過程であることを自覚する必要がある。

そのうえで相談の仕方を教えなければならない。良いアドバイスをもらうためには、相談相手に伝える情報と、その伝え方に注意する必要がある。伝える情報が足りなかったり、伝え方が悪かったりすると、よいアドバイスがもらえないのだからこのことは重要である。
(※相談の仕方については、僕の講演を聴いていただきたい。)

一昨日から人材確保や育成に関連した記事を書き連ねてきたが、これらのテーマを含めた内田洋行主催のオンラインセミナーを8月から4月連続で行う予定にしている。貼りつけたリンク先には、現在8月と9月分の案内が掲載されている。8月の人材確保策に続いて、9月は経営者・管理職向けの人材育成についてがテーマである。職員向けの育成実務は10月に予定しているが、管理職も職員もできれば9月と10月の両方を受講してほしい。

誰でも無料で視聴できるオンラインセミナーなので、リンク先から申し込みいただきたい。
無題
内田洋行オンラインセミナー第2回目
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