ケアマネジャーは、様々な関係者から便利使いされやすい職種である。

独居の高齢者が通所介護利用中に急病で受診が必要になった際に、ごく当たり前のように担当ケアマネジャーに連絡が来て、病院受診させるように言われたりする。サービス利用中の急病対応は、第一義的には利用最中のサービス事業所の責任であるという常識さえ吹っ飛ばして、ケアマネに対応を強要する人は少なくない。

家族が受診同行できない認知症の人の病状説明を、ケアマネジャーが受けるように求めてくる医療機関もある。代理権のないケアマネジャーに、そのような個人情報を伝達されても戸惑うしかない。

ましてや成年後見人さえ同意する権利がない医療侵襲行為について、ケアマネにどうするべきかを尋ねられたって答えられるわけがないのである。身寄りのない人の手術同意を、それがないと手術はできないからとケアマネを脅迫するようなケースさえ報告されているのだからどうしようもない。

だからと言ってそれほどケアマネという職種が信頼されているかと言えばそうでもない。むしろ面倒くさい責任や義務だけをケアマネに押し付けて、肝心なチーム支援が必要な場面では、ケアマネを蚊帳の外に置くというケースもみられる。

その状況に拍車をかけるかのような国の対応もみられる。

例えば、たびたび問題になっているアベノマスクの配布でもケアマネジャーは便利使いされている。訪問系、通所系など居宅サービスの利用者については、居宅介護支援事業所のケアマネがその配布責任を負わされているのである。

その配布第3弾については、マスク不足が解消されている状況で一律配布するのは国費の無駄遣いであるという批判を受け、希望者だけに配布することになった。

ケアマネの中には、「希望者に配ると言っているが、希望していないのに届いている。」という人もいるが、今届けられているのは一律全員に配られている第2弾の配布遅れが生じている分である。第3弾は希望を受け付けて、これから配布手続きに入るもので、今現在手元に届いている分はないのでお間違いの無いようにしていただきたい。

この第3弾の配布希望申請について、訪問系、通所系サービスの事業所には原則として職員の分だけ申請するように求め、訪問系、通所系など居宅サービス利用者が配布を希望している場合は、居宅介護支援事業所から一括して申請することになっている。

マスクの発送先も居宅介護支援事業所にするとし、引き続き担当ケアマネジャーが利用者の手元に届ける役割も担うよう求められているのである。

これによって居宅介護支援事業所のケアマネは、自分の担当利用者全員のマスク希望の意思確認と、希望者の申請代行という業務負担が強いられるわけだ。そのうえで送られてきたマスクを希望者を確認して配ることになるのである。

だがこの業務に対する費用は一切発生せず、無償の奉仕行為とされるわけである。毎月の利用者宅への訪問義務があるからと言って、ついでに行うことができる業務量とは言えない仕事を強いられながら、それに対する対価はもらえないのである。ケアマネはただ働きで良いのだろうか?いや良いはずがない。国は何らかの対価を居宅介護支援事業所に支払うべきだと思うが、そんな動きは一切ない。

こんなふうにケアマネは誰かにとって都合の良いように、便利使いされているとしか言えない状態がそこかしこで見られているのだ。「ケアマネはつらいよ」と言いたくなるのももっともだ。

だからこそ次の報酬改定では、ケアマネジャーの処遇改善が議論の俎上に上っている。先日の介護給付費分科会では、処遇改善加算、特定処遇改善加算のリソースの配分をめぐり、事業者でつくる団体から経営サイドの裁量を拡大するよう求める声が複数団体から挙がってきた。事業者裁量を拡大して、処遇改善加算の配分をケアマネをはじめとした他職種へ広げる要望が出されたのである。

これとは別に、ケアマネだけを対象にした処遇改善加算を新設すべきとの意見も公の場で検討されることになっている。

しかしそうしたケアマネの処遇改善を求める声の中には、特定加算等で給与改善された介護職員より、介護支援専門員という専門職の給与が低くなることには問題があるという意見を述べる人がいる。

そのような主張は百害あって一利なしだ。ケアマネの給与・処遇改善の必要性をそういう理屈で正論化しようとしてはならない。それはケアマネジャー自らがヒエラルキー意識を創り出すことにほかならず、介護職員をはじめとした他の職種の反感を買うだけの結果にしかつながらない。

無差別平等の精神を、誰よりも護るべきケアマネジャーが、階層意識に縛られた主張をしてはならないのだ。

そうではなく、自分たちの社会から求められている役割や、その仕事ぶりに見合った対価が支払われていないということを根拠にして、処遇改善の必要性を訴えるべきではないだろうか。

利用者中心のサービスをお題目にせずに、実践しているケアマネジャーであるなら、その主張は正論とみなされて行くだろう。是非そうしてほしい。

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