日本経済の状況を見渡すと、コロナ禍によって低迷していた個人消費に下げ止まりの動きがみられるものの、企業部門においては休業自粛要請の解除後も業績は悪化し、景況感は大きく落ち込んでいる。

好景気の恩恵を受けることが少ない北海道内の企業への影響は特に大きく、5月の売り上げ減の幅は8割 にも及んでおり、小規模事業者ほど影響大であるという調査結果も示されている。

そうしたことも影響してか、僕が住む登別市内を管轄とする「ハローワークむろらん」が7月31日に発表した6月の有効求人倍率は、前年同月を0.31ポイント下回っている。しかし介護事業者の求人倍率は下がっていない。

つまり介護事業以外の業種で倒産や解雇件数が増えている中で、介護事業者の求人に応募する人が増える可能性が生まれているのだ。実際に求人に応募してくる人の数が増えていることを実感している介護事業者の求人担当者の声も聴こえてくる。

しかしそこで一気に人員不足を解消できると手放しで喜んでもいられない。応募者の中には介護職には向かない人も含まれているし、教育の手が及ばないスキルの持ち主もいるからだ。

しかも現在の状況から云うと、他に仕事がないから、「とりあえず求人がある介護職でもしておくか」という風に、介護の仕事を腰掛け程度にしか考えていない人も応募者には含まれている。そういう人は、介護事業者に就職して将来に備えてスキルを磨こうという動機づけも持たず、他に良い仕事があったらすぐに転職しようと考えて、まともに仕事を覚えようとしなかったりする。

そういう人を一たび採用してしまうと、他の職員に負担がかかるだけではなく、頑張っている職員の足を引っ張り、職場全体のモチベーションを下げるという、「人罪」となりかねない。そうなると良い人材がバーンアウトして、結果的に今以上に人材確保に困ることになるのだ。

介護事業者の理念やビジョンに共感できない人は、組織の秩序を壊す要素にしかならないのである。

だからこそ経営者や求人担当者は、今だからこそしっかり人を見極め、良い人材だけを採用するように努めなければならない。

同時に採用面接だけで人材を見極めることは難しいのだから、一定期間の試用期間を定めて、その期間は教育期間であると同時に、正職員としての適格性を判断する期間であると認識すべきである。

勿論、試用期間と言えども労働契約自体はすでに成立しており、事業者都合で勝手な解雇はできないが、試用期間中の解雇については、通常の解雇よりも広い範囲で解雇の自由が認められており、合理的理由により使用者が解約権を行使でき、「能力の大幅な不足」や「勤務態度の不良」での解雇は認められるので、その間に見極めるという考え方も必要だ。

しかし介護の経験が全くない人であっても、思わぬ才能を発揮する人もいるので、今の状況はそういう人を見出し、将来の戦力となる、「人財」として活躍してもらうチャンスでもある。そのためには人材育成のシステムがなければならない。それはどういうシステムなのだろうか。

人材が育たない職場には大きな特徴がある。それは経験を積んだ職員であれば、誰でも新人教育ができるという勘違いをしているという特徴だ。そのため新人職員を現場に放り出して、今いる職員が仕事を教えればよいとするだけの行為を、「職員教育」と勘違いしているから、職員が育たないし定着しないのである。

なぜなら、新人教育を現場に丸投げするやり方では、仕事の手順しか教えることは出来なくなるので、業務内容がどのような意味で、そうなっているのかという根本を覚えることができずに、仕事に疑問や不満を感じて辞めていく人が多くなる。辞めないとしても、将来の人財となるようなスキルは獲得できないという状態になる。

そもそも「見て覚えろ」は教育の質を担保せず、育つも八卦・育たぬも八卦という状況しか生まれないのである。教育者には、「教える資質」が必要なのである。教える現場で教育者がやってはならない行為も存在するのである。それらをきちんと教えて教育係を育ててるのかが問題だ。

それらの問題や課題を解決するためにどうしたらよいのだろう。その答えを示すために、今月から内田洋行主催の、「UCHIDAビジネスIT オンラインセミナー(福祉・介護事業者向け)」を開催する。初回は8/19に行う予定になっているが、全4回シリーズの内容は以下のようなテーマと内容を予定している。
UCHIDAオンラインセミナー
セミナー名にリンク先を張り付けてあるので、受講希望者はそちらからお申込みいただきたい。

収録は秋葉原のスタジオで行う予定になっており、僕は約3月ぶりの道外移動となるが、ウイルスに感染しないように気を付けて行動したいと思う。
オンライン福祉セミナー
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