介護サービスを利用する人に、直接サービスを提供する場所を、「現場:げんば」と表現することがある。

この表現に嫌悪感を抱く人がいて、「工事現場じゃないんだし、介護は物ではなく人に対して提供するサービスであり、その介護を展開する場所なのだから、現場という言葉を使わないでほしい」と言われた経験がある。

しかし現場とは、実際に作業が行われている場所という意味であり、管理部門に対する実務部門をいうのだから、介護サービスを提供する仕事の場は、「介護の現場」であり、それは人を物扱いする表現ではなく、決して不適切とは言えない。管理部門の職員と実務部門の職員に上下関係があるわけでもない。(※ちなみに作業とは仕事を行うことであり、介護という仕事を行うことを作業と表現することも不適切ではない。)

職員が現に頑張っている場所だから、「現場」で良いのである。

表現方法にこだわりを持つことは否定しないし、こだわった表現に徹するという哲学を持つことも否定しない。しかし自分のこだわりを他人に押し付ける態度はいただけない。

明らかに差別的な表現とか、不適切で人を傷つけてしまうような表現は戒(いまし)めてよいし、否定されてよいだろうが、ごく一般的に使われている言葉を、自分の価値観では許されない表現方法であるというだけで否定することは、「言葉狩り」そのものであり、それは許されない。

なぜなら、「言葉狩り」こそが偏見と差別を生み出す元凶となるからである。介護という職業から最も排除すべきは、差別意識と物事の真実を覆い隠す偏見であるのだから、差別と偏見を生み出す価値観の押し付けはあってはならないのである。

ところで、「事件は現場で起こっている」という有名なフレーズがあるが、まさに介護事業者でも事件は現場で起こっている。介護施設では利用者の居住スペースで、通所介護では利用スペースで事件は起こっているのである。

その事件は、現場で利用者と職員が相対する場面で起こっていることもある。利用者同士の間で起こっている事件もある。利用者と環境との関連で引き起こされる事件もある。まさに介護の現場は、事件の現場でもあるわけだ。

しかしその事件は、現場だけでは解決しない場合もある。現場とは別な場所で、現場にはいない人たちによって解決されなければならないことは多々ある。介護サービスであれば、看護職員や介護職員と利用者が相対する場所以外で、直接サービスを提供しない職種の人たちによってしか解決できない問題は多々ある。

暮らしを支えるのは、直接の介護行為だけではなく、経済的支援や家族関係に対する支援も大事な要素なのだ。それを支える仕事は、現場の職員からは見えにくいが、どちらかが大変で、どちらかが大変ではないという種類の問題でもないし、どちらも必要な暮らしの援助なのである。

ウイルスと戦っている現場の職員が、感染を恐れず働きやすい装備を行うために、感染予防のための正確な情報を獲得していく役割は重要になる。例えば空間除菌に効果があり、クラスター感染を防ぐために必要不可欠な次亜塩素酸水の噴霧について、「次亜塩素酸水は新型コロナに効かない。空間噴霧すると毒性がある」というフェイクニュースが大手を振ってまかり通っている。それを否定する正確な情報を掴む職員がいるか・いないかという差は大きい。(参照として緊急包括支援交付金の実施要綱が示されました。の後半部を読んでください。)

感染対策装備品を準備して現場に提供する管理部門も、ともにウイルスと戦う仲間である。彼らが居ないと現場の職員は安心して利用者対応ができないのである。

今、介護事業所の事務部門は大わらわである。ウイルスとの戦いの中で生ずる感染予防対策の経費増加と収入減に対応するために、国や都道府県の様々な補助の情報を集め、申請や需給に必要な手続きに走り回っている。それだけではなく、様々な特例対応の情報が毎日流されてくるので、それに対応すべき情報処理も行わねばならない。それらは通常のルーチンワークに上乗せされた仕事である。

そもそも介護事業者では、管理部門とされる事務職員等も、「現場意識」を持っている人は多い。看護職員や介護職員のように、直接利用者に対するサービスは行わない職員であっても、介護行為を支える様々な役割を担っていることが多く、そのことを誇りに思っている職員は多い。それは何にも替え難い使命感である。

介護サービス事業者では、誰か一人が大変だということではなく、みんなが大変だし、みんながそれぞれの役割を果たすことが大事なのだ。

こうして各自の職種に応じた様々な責任や任務をそれぞれが果たすことが、「多職種協働」の意味である。しかしこの多職種協働の意味を間違って捉えている人がいる。

そういう人たちによって介護の現場は、愚痴と不満と不平にあふれた場所に変わってしまっていたりする。手足を動かさずに口だけを動かし、罵声や不満の声が飛び交う職場に働き甲斐は生まれない。仕事に対する誇りも存在しなくなる。

どんな職場がそんな状態に陥っているのか、そうならないためにどうしたらよいのかということを書こうと思ったが、長くなってしまったので、この話題については日を改めて近日中に書こうと思う。
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