先に内閣が示した、「経済財政運営と改革の基本方針2020 について」(骨太の改革2020)を読むと、例年と異なって社会保障費の自然増を5.000億円程度に抑制するという数値目標が書かれていないように思う。

それが僕の見落としでないとしたら、コロナ禍の影響で感染対策費などの支出も増える中で、その数値の達成はますます困難であるという意志が働いたのかもしれないと思ったりしている。

だからと言って骨太方針が国の予算支出を必要不可欠な領域に重点化し、それ以外の予算支出をできるだけ抑制させるための方針であることに違いはないので、そのことで介護報酬のアップが期待できるというものではない。

しかし社会保障費の削減数値が消えたことをポジティブに捉えて、次期報酬改定のプラス改定に向けた関係者の期待値は、少しだけ増しているというところだろうか。

どちらにしても社会保障費自体は、まだまだ増え続けるのだ。介護給付費だけを見ても、2018年の10兆円から2028年には20兆円になる。そこに保険外の周辺費用を含めると、介護市場は2025年には100兆円と言われる巨大なマーケットとなるのである。感染対策費の上乗せ分を考え合わせると、この数字はさらに上方修正ができるものと思える。

そのため今後の介護サービス市場において、顧客のハートをつかんでサービスを利用してもらえるのであれば、介護事業者には今以上の大きな収益が期待できるのである。

だからこそ顧客のハートをつかむ知恵と工夫が必要だ。日本の高度経済成長を支えてきた段階の世代の方々に選ばれるサービスは何かを考えて、介護戦略は常に更新していく必要がある。

ホテルサービス並みの顧客対応を日常化できる事業者には、付加価値に対する保険外の収益を得るチャンスが広がり続けるだろう。お客様に対し日常的に、「○○様。かしこまりました。」という対応ができる事業者だけに、大きな収益は生まれるのである。サービス利用者に対して、「さん付け」で十分だろうと考える事業者であってはならないのだ。

ましてや、「ちゃん付け」や「ニックネーム」で顧客を呼ぶ事業者は、顧客が離れる前に、簡単に撮影される映像がネットに流出して、その言い訳と謝罪に多くの労力がとられていくだろう。

顧客に向かってタメ口対応を批判され続ける介護事業者が存在することは、それを踏み台として利用できるという意味になるかもしれない。サービスマナー意識に欠ける事業者のサービスの品質を批判しながら、その対岸に向かうことができれば、劣悪な事業者との対比を売りにして大きな「財」を獲得できるのだ。その財とは人財も含めての話である。それはサービスマナー教育にお金と時間を掛けない事業者には得ることができない財である。

そのような中で、感染予防への先進的取り組みは、顧客確保の売りになり得るものだろう。昨日の記事で指摘した、新生活様式に沿った面会対応ができるための設備も、顧客ニーズにマッチして選ばれる要素の一つにあり得る。他の施設で導入していない、新たな面会の導線確保という建築アイディアも捨てたものではないのである。地域介護・福祉空間整備等施設整備交付金や感染症対策支援事業(感染対策かかり増し経費の補助)を活用して、いち早く設備改修に取り組む必要性はここにある。

同時に新しい時代の経営として、固定費の削減に取り組む必要性も経営戦略として欠かせない。電気というエネルギーが、介護経営に更なる比重を占める現状で、その経費削減に取り組むことも未来を見据えた経営だ。(※電力の見直し増えてます!【電力料金削減はプロにお任せ!】


愚者は過去を語り・賢者は今を語り・狂者は未来を語るという言葉があるが、それは未来を語る人間が狂っているという意味ではなく、未来を見据えて新しい道を切り拓こうとする者とは、常に時代の常識からは外れて見られ、時には狂者でしかないと思われるという意味でもある。

賢者と言われている人も、今を語るだけであれば、明日は昨日という過去を語る愚者に陥るかもしれないのである。今を語っているつもりの自分が、いつの間にか過去を語っている状態になっていないかを常に確認しなければならない。

未来を切り拓かんとするものは時に狂人にならんと欲すべし。その精神を忘れてはならない。
無題
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