介護の職業に就きたいと思う人の動機は様々である。

しかし介護福祉士養成校の入学者の志望動機で毎年1番に挙がってくるのは、「介護職という人の役に立つ仕事に就きたい」という動機だ。

そうはいっても彼ら・彼女らに介護職に対する相応の知識があるわけではない。人に役立ちたいというイメージも漠然としたものである場合もある。しかしその志(こころざし)は良しとせねばならないし、その気持ちをなくさないように、志を実現できる人を大切に育むという役割が教員には求められてくる。

介護実習などで関わる介護関係者にもそのことは理解してほしいし、その志をつぶさないようにしてほしいと思う。されど現実には多くの学生たちが、介護実習という場で志をつぶされたり、くじけさせられたりしている。

だからこそ僕は、介護事業者に勤める全ての職員が手本にはならないと指導せざるを得ない。反面教師として見なければならない職員もいるので、そんな姿を見習う必要はないと教壇から生徒たちに訴えなければならない現実を、すべての介護関係者が恥ずべきことだと認識してほしい。

そんな指導を受けている学生たちは、介護実習の場からいろいろなものを持ち帰ってくる。ポジティブで励みになる指導を受けて、大切な思いを持ち帰る者もいるが、残念ながらそういう生徒は決して多くはない。

某専門学校の介護実習発表会アンケートによると、「利用者をまるで物のように扱って、仕事も全部流れ作業のようになっている」・「人生の先輩に対する口の利き方を知らない〜赤ん坊や幼児に対する言葉かけをする人がいるのに、誰も注意しない」・「理想と現実は違うと注意されるけど、あなたの現実って、そのレベルでいいのと言いたくなる」という批判の言葉が連ねられており、その現実に愕然とせざるを得ない。

しかし多くの学生たちが、そのようは批判の言葉を書きながら介護事業者に就職しているのにもかかわらず、そういう学生たちによって介護現場が変えられたという例は少ない。

志を高く持って卒業していった人たちが、介護の現状を何も変えられずに、批判した現状に甘んじているのは何故だろう。その理由は、それだけ現実のバリアが高いということであり、先輩職員の負の圧力に抗しがたくなってしまうということだろう。

特に介護事業者の現場リーダーの意識が低く、権力だけを持つような状態だと、新人が現場を変えられないうちに現実に流されて、自分が批判していた先輩職員と同じ姿になるか、退職して別な職業に転職するかのどちらかの結果になってしまっているのだろう。

例えば、「介護の恥」で紹介しているような介護リーダーがいる施設に就職してしまった職員は、自分だけが利用者に丁寧に接し続けることは難しくなるだろう。そういう施設に就職してしまった志の高い人は、一日も早く自分の志が生かせる施設に転職するしかないと思う。

希望を失い、自分自身がそのリーダーのような醜い姿になってしまう前に、居場所を変えなければならない。残念ながら、そういわざるを得ない一面を持つのが、介護事業の現状でもある。

志の高い職員がその志を失わずに、その場で成長していく職場には、それなりのスキルを持ったリーダーが必要なのだ。

介護の場におけるリーダーは、利用者対応において誰よりも手本となるサービスマナーを持った顧客対応スキルを身に着けていなければならない。その姿を見ることで、若い人や新人職員は介護の本当のあり様を学び、自身の就いた職業と職場に誇りを抱くことが出来るのだ。

それが介護を職号とする人々の希望につながっていくことを決して忘れてはならないし、リーダーとはそうした、「希望を配るという役割」であることも忘れてはならないのである。
リーダーは希望を配る人
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