先週末、地元の地方新聞を読んでいると驚くべき記事を目にした。
その記事とは、とある医療でタブレットを利用したリモート面会を始めたという記事だ。
何が驚くことかと言えば、この時期までに面会制限を続けているのはともかく、面会制限を行う中でリモート面会に踏み切る時期が今であるということに驚くとともに、そんなニュースが新聞紙面に掲載されるということに二度驚いた。
医療機関や介護施設等で面会制限が行われるようになったのは、おそらく2月からだと思う。それからすでに半年近くが過ぎようとしているこの時期まで、漫然と面会制限だけを続けているというところはおそらく少数派で、多くの介護施設ではリモート面会の仕組みは整えているはずである。
僕の知る限りでは、早いところでは2月の面会制限と同時にシステムを整えていたし、4月中にはそのシステムがあるのが当たり前という風潮になっていたはずだ。
遅くとも緊急事態宣言が解除されたころには、多くの介護施設はリモート面会を行なえるようになっていた。医療機関はそうではないのだろうか・・・。
むしろ現在は、面会制限をいつまで続けるのかということや、リモート面会だけで良いのかという議論が、面会制限中の各機関で行われなければならない時期である。
特に、「看取り介護」の対象者については、面会制限をしている中でも、例外的に直接面会を認めるようなルール作りに取り組まねばならない。
施設内での家族の宿泊はできないことには理解を求めながら、面会は予約制として、人数や時間を限った面会は認めるべきだ。その際に、複数の利用者に複数の家族が同時に面会をする時間が出ないようにするなど、施設側が面会スケジュールを管理する必要はあるだろう。
同時に面会者の2週間以内の健康状態の聞き取りを行うとともに、面会当日の検温を必須として、平熱より少しでも体温が高い方には面会を遠慮していただくことに加え、感染症多発地帯からの訪問は避けていただくようにお願いする必要もあるだろう。
また面会者の導線を、施設利用者と区分することが大事であり、面会の際は非常口等から出入りして他の入居者と接触しないよう個室に入るなどの工夫をする必要もあるだろう。
ここで大切なことは、面会させないことが前提ではなく、できるだけ面会できる方向で考えることだ。「特例」をめったにないことと考えるのではなく、特例を適用できる条件をできるだけ柔軟に考え出すことである。そのためには機械的にルールを定めるのではなく、個別の事情に配慮した特例を、ケースごとに検討することも大事だ。
人生の最期の時間を過ごす人との、お別れに時間を持つことは、逝く人・残される人、双方にとても重要なエピソードなのだから、そうしたエピソードをつくる機会を奪わないという考え方が必要で、できる限り最大限の努力を行うべきであり、知恵を絞るべきである。
少なくとも、「規則ですから」という冷たいフレーズだけで、最期の別れの時間を奪ってはならないと考えるべきだ。そこは、職員が外から自由に通ってきている場所でもあるという一面も考慮すべきである。
ところでコロナ以前は、介護施設の面会といえばフリーが当たり前であった。特養の場合は、面会時間を制限することさえ、暮らしの場の論理に反するとさえ言われたものだ。
そのため日曜や祝日には、多くの家族が施設に訪れ、いつもより施設内がにぎやかになるのも当たり前であった。複数の家族が多人数で、同時間に施設に滞在する光景も当たり前に見られた。しかしコロナ禍が落ち着きを見せたとしても、この風景は復活しないかもしれない。
面会の場所制限や、時間・人数制限は、今後のwithコロナでは、当たり前のルールとなっていくのではないだろうか。面会者用のフェイスシールドも常備しておく必要があるだろう。

さすれば施設建設時にその対応に即したハードの工夫も必要になる。
多床室の新築・増築は難しくなるだろうし、施設基準にはない家族との面会室も設置する施設が多くなるだろう。看取り介護を行うことが前提の施設は、外から居室に直接入ることができる出入り口を設置しておく工夫も行われてよいはずだ。
介護施設が、家族や親族・知人や地域住民と切り離されたブラックボックスになってはならないが、利用者の命と暮らしを護るための、「安全と安心」が失われてはならないので、withコロナの新生活様式のルールやシステムづくりを急がねばならない。
そのためには今から知恵を絞って、何が必要で何が必要ないのかという議論が不可欠となるが、私たちが創り出すルールとは、人の暮らしに直結するものであり、人の暮らしと心を護るためのものであるという基本を忘れてはならない。
そのためにも、血の通った情(なさけ)のあるシステムを作り上げるという考え方が必要ではないだろうか。
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