介護事業者の事務担当職員は、現在、「新型コロナウイルス感染症緊急包括支援事業(介護分)」の申請手続きや、その準備のために忙しい思いをしていることだろう。

まずは勤務する職員に対する慰労金の支給事業に関連して、代理受理委任状を集めたり、退職した職員の求めに応じて就業証明書を発送するなどの事務作業を進めているはずだ。

それに加えて、感染症対策支援事業の支援対象経費を算出しながら、事業種別ごとに定められた支援額を受給できるように申請事務を進めていることと思う。そうした業務が通常必要となる事務作業や、ルーチンワークに加わっているのだから大変だろう。

そんな事務担当者には、さらに酷な要求になるかもしれないが、もう一つの感染対策事務として、自分の所属する施設・事業所が、持続化給付金の対象にならないかという確認と、対象になった場合の申請も忘れないようにしてほしい。

持続化給付金とは、感染症拡大により、営業自粛等により特に大きな影響を受ける中小企業(資本金10億円以上の大企業を除く企業)や、個人事業主の事業の継続を支えるため、事業全般に広く使える給付金を支給する国の事業であり、給付額は企業の場合200万円、個人事業主で100万円が上限になっている。

支給対象事業者には、医療法人・社会福祉法人・NPO法人等も含まれているので、介護事業者のほとんどは対象事業者となっていると考えられる。

その詳細は、中小企業庁のHPに持続化給付金の特設ページに掲載されており、電子申請が基本となっている。

支給要件は2020年1月以降、新型コロナウイルス感染症拡大の影響等により、前年同月比で事業収入が50%以上減少した月があることとされている。(※ただし主たる収入を雑所得・給与所得で確定申告した個人事業者については、【前年の総売上÷12】の額より50%以上減少した月があることが条件)

緊急事態制限が出されている時期に自主的に営業を自粛した事業者等で、前年の同月より売り上げが50%以上減少している介護事業者は少なくないと思う。特に単独経営の通所サービス事業者は、大部分がその対象になるのではないだろうか。クラスター感染が発生した施設も対象となる確率は高いと思う。(※法人決算で見るため、事業所単独で該当月があっても、法人全体で該当しなければ給付対象事業者とはならない)

この事業のメリットは、前年同月より売り上げが50%以上減少した月が1月でもあれば給付対象になることであり、その1月の減少額によっては、給付上限の200万円の給付を受けられることである。

しかも今後収益が回復して、結果的に今年度の売り上げが前年度より増加したとしても返還する必要はなく、給付された費用の使い道も限定されていないということだ。そういう意味で、非常に使い勝手の良い給付金なのである。

既に滞りなく事務作業を終え、200万円を給付されている事業者も多い反面、該当月があるにもかかわらず、まったく申請作業に取り掛かっていない事業者も存在する。資金繰りが苦しくない事業者にとっては、来年3月までに支給申請を行なえばよい問題だから、それはあまり急がなくても良いということだろうとは思うが、くれぐれもうっかり申請忘れということはないようにしていただきたい。

この持続化給付金は、フリーランスと呼ばれる自由業の人も対象になっている。

前述したように申請は電子申請が原則だが、中小企業庁のHPに持続化給付金の特設ページには当初、『中小法人等』と『個人事業者等』という申請ボタンしかなく、個人事業主はその収入を、「事業収入」で確定申告している人しか申請できない状態で、主たる収入を雑所得・給与所得で確定申告した個人事業者は対象外ではないかと言われていた。

しかし4月の中旬に経済産業大臣がすべての個人事業主を対象にすることとして、5月の末に特設ページに主たる収入を雑所得・給与所得で確定申告した個人事業者の申請ボタンが設置され、現在では何の問題もなくそこから申請できるようになっている。
持続化給付金の上限100万円がもらえる基準
この画像は、個人事業主が持続化給付金の給付申請を行う際の参考資料だ。前年度の収入がいくらの場合、50%以上の売り上げ減の額がいくらで算定上限の100万円をもらえるかを表にしたものだ。例えば前年度の売上高(収入)が550万円の場合は、売り上げが40万円以上減った月があれば、上限の100万円の給付を受けることができるし、前年度の収入が150万円しかなかった場合、売り上げが5万円以上減った月があれば、上限の100万円の給付を受けることができることになる。

限度額の給付までに収入減少額が達していない人は、今後どれだけの減少が予測できるかなどを考えながら、今時点で申請したほうが良いのか、まだ待った方が良いのかを考えるうえで参考にしてほしい。

申請には証明書類の添付が必要だが、それも証明書類をスキャンしてPDF化したものを特設ページから添付して送るようになっている。僕の場合で必要書類は以下の通りであった。
確定申告書第1票の控え(※印鑑のあるものならそれだけで良いが、僕の場合市役所で確定申告を行ったため印鑑のない第1票だったので、これに加えて納税証明書の添付が求められた。)
健康保険者証の写し
対象月の売上台帳(※手書きでもよく、商工会議所にある手書き書式に当日記入しても可)
預金通帳の写し(振込口座確認用)
本人確認書類(運転免許証の場合は、表・裏両方の写し)
源泉徴収票・支払調書・支払明細書のどれか一つ(昨年度支払いを受けたどこか1社分で良いので、再発行をお願いした。)
上記の支払いを受けた実績が読み取れる預金通帳の写し
以上である。

電子申請になれておらず、一連の作業に不安のある人や、申請方法そのものに疑問がある人は、特設ページに申請サポート会場の案内があるので、そちらに予約して申請を手伝ってもらうと良いと思う。サポートしてくれるのは各市町村の商工会議所であるが、事前予約の際に申請に必要な書類を確認し、予約日に必要書類を持っていくと、サポート窓口でPCへの必要事項入力から申請までをすべて完了することができるので便利で安心だ。

かくいう僕自身も、先週金曜日に6月を該当月として、登別市商工会議所のサポートを受けながら申請手続きを終えたばかりである。個人事業者にとって100万円という金額は結構大きな額だから、ありがたいことに違いはない。

しかしこれらの交付金は、後々税金という形で我々国民負担になり、長いスパンで見ると結局自分の懐から出ていることになるのだろうと思ったりもしている・・・。
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