昨日行われた兵庫県の井戸知事の記者会見があらたな波紋を呼んでいる。

原則全ての介護職を対象に20万円(感染者が発生した、あるいは濃厚接触者に対応した事業所の職員)、もしくは5万円(感染者、濃厚接触者がいない事業所の職員)を支給するとした、「新型コロナウイルス感染症緊急包括支援事業」における慰労金について井戸知事は、「何にもしていないのになんで慰労金を出すのか。全く説明がつかないような税金の使い方は、兵庫県としてはやる気はない。慰労金だからなんでもいいやという話にはならない」と発言し、国の方針に従わずに一律支給をしない方針を示していた。(参照:兵庫県知事を迷走させる感染対応慰労金騒動

昨日の会見で同知事は、この方針について関係者から再考を求められ軌道を修正したとして、コロナ禍において、「一定の役割」を担った介護職にも慰労金を支給する考えを示した。

しかしそれは国の方針をそのまま受け入れるという意味ではなく、独自の対象者の範囲を定めて支給決定するというものだ。そこでは幅広い介護職が支給対象に含まれるようにするとはいっても、国の実施要綱より敢えて細かいルールを設ける形は維持した。

つまり兵庫県の独自支給基準を定めて、それに該当する職員のみに慰労金を支給するということであり、この基準から漏れた人に慰労金を支払わないのだから、兵庫県以外でこの慰労金の支給を受けることができる人と同じ条件でも、兵庫県では慰労金がもらえない人が少なからず出てくるということになる。

一旦、国の方針に従わないという形で、腕振り上げた拳の行き場所がなくなっては知事としての自分の面子が立たないということで、このような姑息なルールに変えたのだろう。まったくこの知事は往生際が悪いというか、性格がねじれているというか本当に救いようがない。

これによって受給漏れする介護職員等は、ますます不公平感を強く持たざるを得ない。他の県に住んでいれば受給できる慰労金を、知事の面子や対面だけのために受け取れない方々は、お気の毒でしょうがない。受給漏れに該当する方は強く抗議すべきだ。

しかし今回の方針変更で慰労金を受け取れることになった介護関係者も、その怒りの火は収まっていないだろう。

なぜなら兵庫県の介護関係者の怒りの根本理由は、お金が受け取れるかどうかという問題以前にあるからだ。それは知事が介護関係者について、「何にもしていない」と発言したことなのである。

そしてこのことは兵庫県の介護関係者だけの問題ではなく、全国の介護関係者が憤慨すべき問題である。井戸知事が慰労金支給の制限ができるのは、兵庫県の介護事業者に勤める人のみだが、井戸知事が、「コロナ禍に何にもしていない」と罵声を浴びせた対象は、全国すべての介護事業者職員であることに他ならないからである。

しかし介護事業者に勤めている人で、コロナ禍以後に何もしなかった人などいるはずがない。介護職員以外の様々な職員が、自分の職務の中で感染予防や感染拡大防止のために、新たな対応を毎日迫られたのである。介護事業者職員は好む好まざるにかかわらず、目に見えないウイルスと戦いの場に置かれていたのである。

それに加えて偏見とも戦わなければならなかった人も多い。介護事業者に勤めているというだけで、ウイルスに感染しているような目で見られるだけではなく、実際に配偶者が介護事業者に勤めている場合、その配偶者が感染していないと証明を求められたり、一定期間の自宅待機を求められたりしたケースも報告されている。介護職をしているというだけで、自分の子供が保育園に通うことを拒まれたケースもある。

休業補償や助成金の支給対象にならない休みを取らざるを得なかった介護関係者は、全国に数えきれないほど存在するのである。

そんな人たちにとって20万とか5万とかいう慰労金は、決してその労務に見合った価値の金額ではない。ほんのご褒美という程度の支給金額なのに、それさえも渋る兵庫県知事の傲慢で不遜な姿勢は、全国の介護関係者がこぞって糾弾すべきではないのだろうか。

そもそも昨日の会見では、このような混乱をもたらしたことも、介護関係者に対する件(くだん)の問題発言についても、その謝罪は一切していないのである。そんなことが許されて良いのだろうか。

本人はもういい加減に年でもあるし、多選批判も出てくるほど長く知事を務めているので、次の選挙なんて出なくても良いと考えて、言いたい放題のような感じがしてならない。

権力ボケなのか老害なのか、どちらにしても人生の晩節を汚す醜い姿しかそこには見当たらない。
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