このブログでは何度か、国が進める介護事業者の文書削減について、結局は国が取り組む事務書式の削減だけに終わっており、介護事業者が本当に必要とする、看護・介護職員等の直接処遇職員の記録文書の削減にはつながっていないと指摘してきた。(参照:厚労省の書類半減策は現場の意識と乖離

そして事務書類・事務書式は、それらを作成するために雇用されている事務員の本道の仕事であるのだから、そんな事務書式の削減を議論しても始まらないとも言ってきた。

しかし事務員だとて、決して仕事が暇なわけではないので、文書作業が増え続けていくのではかなわない。削減できる文書は削減したほうが良いに決まっている。

ところが事務文書の削減が進められる一方で、削減された文書以上に新しく作成しなければならない文書が増えているような気がしてならない。それはコロナウイルス禍という特別の状況があることによって、やむを得ない事情であるのかもしれないが、介護事業者の事務担当者にはこれから新たな事務作業が次々と強いられることになる。

一番近直に求められる事務作業は、コロナウイルス対応に関連した慰労金の支給申請事務である。

昨日、「介護サービス事業所・施設等における感染症対策支援事業等及び職員に対する慰労金の支給事業」についてが発出されたが、これがまた事務職員泣かせの煩雑な業務負担となっている。

慰労金の申請は、現に介護サービス事業所・施設等に従事している者(派遣職員や業務委託による者も含む。)については、原則として、介護従事者等が勤務先の介護サービス事業所・施設等に代理受領委任状(様式4)を提出して、一括申請することになっているので、事務担当者はこれから対象となる全職員に向けて、このアナウンスと委任状の取りまとめをしなければならない。

そのうえで慰労金受給職員表(様式3)を取りまとめ、都道府県に給付申請することになる。なお事業者の口座に慰労金を受け入れて、職員に給付を行うことが制度的に出来ない場合(公設の地域包括支援センターや特別養護老人ホーム等)には、当該介護サービス事業所・施設等が介護従事者等をとりまとめて給付申請を行い、当該介護従事者等への給付は、都道府県が直接行うこととなるそうである。

他の事業者から同一人物の申請がされていないかの確認も含めて、申請書類を作成するのだから、これから事務担当者はハードな仕事をこなさねばならない。申請期間は今年度末なので、それまでゆっくり事務作業を進めようと呑気に構えている人もいると思うが、支給対象期間は6/30までであり、今後中途退職者が出ることや、対象者にできるだけ速やかに支給する観点から言えば、事務作業の許す限り、早急の支給に努めるのが、管理者や管理職、事務担当者の務めだと思う。大変だろうが是非頑張ってほしい。

ちなみに社福の総合施設長を長年務めてきた僕ではあるが、恥ずかしながら特養が、「口座に慰労金を受け入れて、職員に給付を行うことが制度的に出来ない」ことは知らなかった。一体どの法令がこのことを規定しているのだろう・・・誰か教えてください(笑

この慰労金は、既に退職している支給対象になっているが、その対象者は都道府県に直接給付申請ができる。しかしこの場合も勤務していた介護サービス事業所・施設等から勤務期間の証明を取得することが原則とされており、何らかの理由で円満退職出来なかった人にとってはハードルとなっている。

例えばクラスター感染が発生した施設の職員の中には、感染を恐れて電話連絡をしたその日に施設を辞めて、十分な退職手続きや引継ぎができておらず、気まずい思いを持っている人もいると思う。そういう人は証明を取るのをためらってしまうケースもあるだろう。この場合は給与明細等でも確認ができれば差支えがないとされているので、明細書で勤務日数がわかるかどうかを確認してほしい。

できない場合は証明を得なければならないが、どちらにしてもここは双方大人の対応で、きちんと支給申請ができるように対応してほしい。なお退職した職員への介護事業者からの慰労金支給に関する告知義務はないので、退職者はあくまで自らの意思において支給申請をしなければならないことに注意が必要だ。

このことに関連して昨日、新型コロナウイルス感染症緊急包括支援事業(介護分)に関するQ&A(第1版)も発出されており、慰労金については11頁〜25頁に疑義が示されている。

それによると慰労金の支給対象となる利用者と接する職員とは、対象期間に利用者と接触する日が1日でもあれば対象となることが示されており、接触とは身体的接触に限られるものではなく、対面する、会話する、同じ空間で作業する場合も含まれ、事務職員、給食調理員、リネン業務員、運転手についても対象となるなど、広く認めてよいことが示されている。さすれば施設の外構営繕・芝刈りなどが主業務の職員も利用者との会話機械などがあるのだから対象にできると考えられる。

要するに利用者が存在する建物に、デスクなり休憩室がある職員は、職員であっても派遣職員であっても全員対象にできるのである。(※外部の業者やボランティアは対象外)なおその判断は最終的には都道府県で行うが、第一義的には各事業者で行うこととしているので、第一義的な窓はできるだけ広くして、支給できる理論武装をしておくべきだ。

また訪問介護事業所等において、感染症対策に配慮したサービス提供をヘルパー等と一体となって実現している場合には対象となり、対象期間に訪問サービスを提供していないサービス提供責任者やヘルパーについても同様の取扱とする旨も示されている。かなり細やかなQ&Aとなっているので、関係者は必ず確認をしておいてほしいと思う。

ところでこの慰労金を巡っては変な問題が起こっている。兵庫県の井戸敏三知事が6日の会見で、新型コロナウイルスの流行を受けて国が支払うことに決めた介護職への慰労金について、全員を対象とした一律の支給は行わない方針を表明している問題である。

国が全介護事業者の、利用者に接する可能性のある全職員に支給すると決めた慰労金にいちゃもんをつけて、自分の価値観に合わないからというだけの理由だけで、勝手に支払い範囲を狭めるというのである。このことは僕が管理する表の掲示板のスレッドでも問題になっているが、知事の主張と兵庫県議会の対応はあまりにも理不尽だ。

井戸知事は、「何にもしていないのになんで慰労金を出すのか。全く説明がつかないような税金の使い方は、兵庫県としてはやる気はない。慰労金だからなんでもいいやという話にはならない」と会見で述べているが、この発言に対して兵庫県の介護関係者は大いに怒り、抗議活動を行うべきではないかと考える。

この時期に介護のサービスの場で、何もしなかった人間がいるはずがない。目に見えないウイルスの脅威に日々怯えながら、利用者の生活の質が下がってはならないと戦ってきた人たちに、この発言はあまりに失礼だ。こんな理屈で慰労金が受給できなくなる兵庫県の介護関係者はあまりにも可哀想だ。

このじいさん、すでに老害でしかない。こんな知事はほおっておいてはならない。井戸知事に対するリコール運動こちらのサイトで行われているので、介護関係者は是非今すぐに賛同のクリックをお願いしたい。

それに加えて僕から井戸知事には、ゆずの「午前9時の独り言」という唄の、次のフレーズを贈っておこう。
政治家のおじいちゃん・・・大きな力を持った権力者諸君
自分の地位や名誉や金のためではなく
どうかこの国を考えてください


なおこの唄を聴きたい方は下記を視聴ください。曲の出だし迄、数秒のあきがあるので曲が流れるのを少しだけ待っていただければ幸いです。

登録から仕事の紹介、入職後のアフターフォローまで無料でサポート・厚労省許可の安心転職支援はこちらから。

リスクゼロで介護事業者のランニングコストを抑える、電力の見直し増えてます!【電力料金削減はプロにお任せ!】はこちら。まずは無料見積もりでいくらコストダウンできるか確認しましょう。




※別ブログ「masaの血と骨と肉」と「masaの徒然草」もあります。お暇なときに覗きに来て下さい。

北海道介護福祉道場あかい花から介護・福祉情報掲示板(表板)に入ってください。

・「介護の誇り」は、こちらから送料無料で購入できます。

masaの最新刊看取りを支える介護実践〜命と向き合う現場から」(2019年1/20刊行)はこちらから送料無料で購入できます。