僕が社会福祉の職業を選んだ理由に、高い動機づけがあったわけではない。

その理由や経緯は、自著「人を語らずして介護を語るな(THE FINAL) 誰かの赤い花になるために」の、『道標のない人生ー社会福祉援助者としての自分史を振り返りながら(書き下ろし)』という章に書いているが、高校卒業後にたまたま選択した道が、大学で社会福祉学を専攻するという道だったために、その一連の流れの中での職業選択が、特養の生活指導員(当時の職名)だったというだけである。それはあまり褒められた動機ではないといえるだろう。(※興味のある方は、文字リンク先から送料無料購入できるので、僕の著書を読んでいただきたい。)

今現在全国にたくさんおられる介護関係者の中にも、僕のようにあまり積極的ではない理由で、介護業界の仕事に就いている人も多いのではないだろうか。

そもそもこの業界の人の多くが、崇高な動機づけを持って介護の仕事を選んでいると思っている人がいるなら、それは大きな勘違いである。

介護の職業を選ぶ人が、すべからく特別な思い入れを持っていると思うのも大間違いだ。

勿論、熱い思いと動機づけを持って、介護の職業を選び携わっている人もいることは否定できない事実だ。しかしそういう人が介護の職業を選んでいる人の大多数を占めているわけではない。

多くの人は強い動機づけがない状態で、「なんとなく」介護の仕事を選んだり、偶然に介護の職業に出会ったりしている。

中には、介護の仕事は(訪問介護以外)特段資格もいらないし、募集もたくさんあるので、とりあえず介護の仕事でもしてみるかと、軽い気持ちで選んでいる人もいる。

それは決して悪いことではない。様々な動機付けがあってよいし、様々な理由で介護の職業を選んでくれた方が良いのだ。

問題は、介護の職業を選択する動機づけがどうあろうと、その人たちが定着し、スキルアップできる土壌や環境が存在するかということである。

決して積極的とはいえない動機づけによって介護の仕事を選んだ人が、初めて経験する介護事業の中で魅力を感じて、長く働き続けたいと思うようになり、さらに日常の仕事の中に使命感や誇りを見出して、自己研鑽してスキルアップしたいという、さらに高い動機づけに結び付けられるかどうかということなのである。

しかし介護の魅力とは何だろう。介護の職業にやりがいや面白さを感ずるとはどういうことなんだろう。

介護とは対人援助そのものである。介護サービスを受ける相手がいて初めて成立するのが介護という職業だ。そうした職業において、唯一やりがいや面白さを感じ取ることができるものがあるとしたら、それは介護という職業の中で、サービス提供した相手が良い状態になり、感謝の笑顔に出会ったり、言葉をもらえることではないだろうか。

勿論その意味は、「ありがとう」と言ってほしいとか、感謝の言葉を求めるということではなく、結果的に誰からも感謝される尊い仕事であるということを感じ取れるという意味である。

そういう職場になっているかどうかが問われるのだ。

人を幸せにしない介護の職場では、誰からも感謝されない。そのため誰も仕事にやりがいを感じないし、仕事が面白いとも思えない。そんな場所に人は定着しないし、おもしろくない状態で惰性で仕事を続けるから、サービスの品質は決して上がらない。そこでは不適切で人を不幸にする結果しか生まれなくなる。

そうなると利用者は暗い表情になるし、そこは悲痛な声と悲惨な状態があふれた場所になっていく。そうなると益々、そこでの仕事はやりがいのない、面白みのない、いつでも辞めてよい仕事になってしまう。

仕事に対する意欲が生まれない場所、意識が高まらない場所での仕事は腐っていくのだ。そこでは人間も腐らざるを得ない。誰も頑張らなくなるのが、そういう職場の末路だ。

しかし意識は自然発生するものではなく、場が育てるものであることを忘れないでほしい。

どんな理由であれ、縁あって介護の職業を選んだ人が目の前にいるときに、初めて介護の仕事をする場所で、その人たちの意識の芽を摘まず、育てる必要があるのだ。意識を高めないと芽は育たないのである。

上司や先輩や同僚が真剣に仕事をしている姿を見て、自分も頑張りたいと思う。人の思いが人を動かす。人を幸せにすることにやりがいを感じ、人が笑顔になることを嬉しいと思う先輩たちの姿を見て、自分もそうなりたいと思うのである。

介護の仕事が面白くて、ずっと続けたいと思える職場には、必ず、『ああなりたい』という先輩職員がいる。いつどんな時でも笑顔を忘れず、サービス利用者に対し丁寧な言葉遣いと、丁寧な態度で利用者に接する人の姿が、介護の仕事に初めて就いた人の心を動かし、意識を高めるのである。

介護のプロに徹している人の姿は凛々しいのである。だから憧れ・目指すのである。そういう人になり、そういう職場を創っていかねばならない。

いくらシステムがあっても、それが形骸化しては意味がない。研修を行っているから、人材育成ができていると考えるのはどうかしている。現に研修システムが整備されているのに、さっぱり人が定着せず育たない職場があるのは何故だろうか。人が魂を震わせるエピソードを生まない職場では、人の意識は変わらないからだ。

意識を育てる職場を創りたい方は、いつでもお手伝いをするので講演依頼などの連絡を気軽にしていただきたい。リモート講演も可能である。

それにしてもたまたま就職した場所が、人の意識を高めず、介護の仕事のやりがいを感じられない職場であった人は不幸だ。そういう職場だと気が付いたときは、積極的に職場を変えることも考えたほうが良いだろう。
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