新型コロナウイルス感染症に対応するために、6/1〜通所系サービスと短期入所系サービスについて、報酬上の特例(上乗せ)を臨時的に認める措置について喧々諤々の議論が続いている。

上乗せ特例算定とは、感染拡大を防止する事業所の対応を適切に評価する措置として、通所サービスでは実際にサービスを提供した時間の報酬より2区分上位の報酬を毎月一定の回数に限り算定でき、ショートステイの場合は緊急短期入所受入加算を一定回数上乗せして算定できるとするもので、介護保険最新情報Vol842で示されていたところであるが、昨日その疑義解釈として、介護保険最新情報Vol847が追加発出された。

今回の通知では最初に、特例算定できるのは全事業所であることが明記されている。

特例算定が自治体から休業要請を受けた事業所や感染者が発生した事業所、もしくは利用者を減らした事業所など一部に限定適用されるものではないことを改めて強調している背景には、リンクを貼りつけた僕が管理する表の掲示板スレッド議論のNo.32に情報提供されているように、福島県など一部の地域で、休業要請などを受けず、自粛営業も行わずに通常営業している事業所への適用を認めないとしている自治体があるためであり、それは間違った解釈であることをと明確しようとする意思が感じられる。

この部分は国費の算定なので、ローカルルールの適用はあり得ないことを、介護事業者としても理解し、今後においてもおかしな解釈を行う自治体が残っていたならば、強く抗議するべきである。

前述したようにこの特例算定は6月サービス提供分から適用されるが、適用の終了日については現時点で未定であるとともに、請求時効は通常請求と同様の2年であることも示されている。

もともと6/1に発出された(第12報)では特例算定の前提条件として、『 介護支援専門員と連携の上、利用者からの事前の同意が得られた場合』とされていたが、昨日の通知では利用者の事前同意について、次のように同意の解釈条件を示した。

・サービス提供前に説明して同意を得ることが望ましいが、難しい場合は報酬の請求前までに得られていれば差し支えない
・通所介護事業所、居宅介護支援事業所、どちらが同意を得ても差し支えない
・必ずしも書面(署名捺印)による同意を得る必要はないが、説明者の氏名、説明内容、同意を得た日時、同意した者の氏名を記録しておくこと


通所介護・リハビリや短期入所という介護サービス事業所の算定同意を、居宅介護支援事業所がとるなんて言うケースはないのではないかと思われるが、これはおそらくサービス事業所と同法人内の居宅介護支援事業所のケアマネジャーが、通所介護等の職員に替わって同意を得るケースを想定しているものと思える。このことに関連して、同意の記録には同意を得た日だけでなく時間も書かねばならないので注意が必要だ。ここは同意書を利用者からとる必要がない分だけ、詳細な記録が求められているという意味だろう。

担当ケアマネジャーにとっては、居宅サービス計画書標の第6表、第7表などに係るサービス内容やサービスコードなどの記載の見直しが必要になるが、その作業はサービス提供後に行っても差し支えないので確認しておいてほしい。

前述したようにこの特例は、コロナ禍でサービスの利用控え、縮小が広がっていることを踏まえたもので、感染リスクを避けるため、介護事業者が普段より多くの手間、時間、衛生用品などを投入せざるを得ない実情が考慮されたものだ。つまり介護事業者救済措置の性格が強いが、問題は利用者負担が増えることである。

例えば通常規模型通所介護で要介護2の人が、「6-7サービス」を利用していた場合で、月4回の上位区分を算定する場合は、月の負担増は404円となる。この負担額が大きいか小さいかということは、人によって感じ方は異なるだろう。しかし実際に利用していないサービスの費用を支払うという意味では、「無駄な支出である。」と感じる人が多いのは当然だと思う。

そのため表の掲示板でも、事業者の報酬減を補うための措置なのだから粛々と手順を踏んで算定すべきという意見もある反面、利用者に使っていないサービスの負担を強いるのは問題で、利用者同意と言ってもそれは、極めて強制に近い状態で得られる同意であるのだから、納得できないという意見もある。

このように意見は分かれているが、それはどちらも正論だ。完璧なルールというものはあり得ないのだから、考えの軸足をどちらに乗せるかで、それぞれの考え方や結論は違ってくるのは当然でもある。

それは皆がこの国が良い方向に進むためにはどうすればよいかを真剣に考えている表れであり、正解のない問題だと思う。そのことは今後の制度の行方や報酬改定の方向性を見据える上では、大変有意義であると言える。だからこそ大いに議論を続けていただきたいと思う。

それにしても特例算定の費用だけ、利用者自己負担なしにすれば何も問題ないのになと思うのは僕だけだろうか・・・。
Webセミナーに参加しやすい時間帯を教えてくださいというアンケートをおこなっています。クリックして回答のご協力をお願いします。

介護事業者のランニングコストを抑える、電力の見直し増えてます!【電力料金削減はプロにお任せ!】はこちら。まずは無料見積もりでいくらコストダウンできるか確認しましょう。

登録から仕事の紹介、入職後のアフターフォローまで無料でサポート・厚労省許可の安心転職支援はこちらから。





※もう一つのブログ「masaの血と骨と肉」、毎朝就業前に更新しています。お暇なときに覗きに来て下さい。※グルメブログランキングの文字を「プチ」っと押していただければありがたいです。

北海道介護福祉道場あかい花から介護・福祉情報掲示板(表板)に入ってください。

・「介護の誇り」は、こちらから送料無料で購入できます。

masaの最新刊看取りを支える介護実践〜命と向き合う現場から」(2019年1/20刊行)はこちらから送料無料で購入できます。