介護施設等で働いている派遣職員の方々から、2次補正予算で支給が決定した介護施設等の職員に対する、「慰労金」は自分にも支給されるのかという質問が相次いでいる。
派遣先の介護事業者から、直接給与の支払いを受けている方については、この慰労金は問題なく支給を受けることができるので心配しないでいただきたい。慰労金という名目で支払われる今回の助成金は、身分や勤務時間・勤務形態に関係なく支給される種類のものなのである。
(※6/13追記:地域包括支援センター、福祉用具貸与、有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅も対象になります。ケアマネジャー、リハ職、事務職など皆が受け取れます。職種にも制限はかけず、正規職員か非正規職員かも問われませんが、法人本部のオフィスに勤務する人など現場から遠く離れて業務を行い、利用者と全く接しない人は対象外となります。近く通知されるので注目してください。)
それにしても今回のウイルス禍では、「派遣職員」の身分が不安定であることが改めて浮き彫りにされた。収益減で事業縮小を余儀なくされた事業者においては、「派遣切り」が真っ先に行われている。それによって派遣先の仕事を失った人も少なくはない。
そもそもこれだけたくさんの派遣会社が乱立できるほど、派遣という身分を選ぶ人が多い理由は何だろう。その理由はいくつか考えられる。
一つには、派遣職員の方が職場の人間関係のわずらわしさから逃れやすいということがある。過去に人間関係を理由に体調を崩したり、退職をした経験のある人は、組織にがっちりと身分を縛られずに、自分の希望によって派遣先を変えてもらえる派遣職という身分をあえて選ぶ人がいる。特に介護職という仕事は売り手市場なので、派遣先を探すのに困らないという事情がこの傾向を後押ししている。
単純に収入から派遣職を選ぶ人も多い。派遣会社は手数料(派遣料金)を取るだけではなく、派遣職員に直接雇用職員より高い給料を支払うことを紹介条件としてくるので、派遣職の方が月額給与が高くなり、しかも職場での責任は直接雇用職員より軽いということに魅力を感じている人も多い。
勿論、月給が高いと言っても、賞与その他の手当を含めた年収ベースでみれば、正規職員の方が待遇が良いというケースも多くなるが、直接雇用の正職員はその分責任や縛りが多くなるために、それを嫌って派遣職員としての身分から抜け出そうとしない人もいる。
このように一つの事業者に縛られない気楽さと責任の軽さが魅力として捉えられているのに加え、短期的には直接雇用職員より高いお金を稼ぐことができるという待遇が相まって、派遣職を選ぶ人が多いのだ。
しかし前述したように、「派遣切り」が行われかねない身分の不安定さや、福利厚生や退職金その他を勘案すると、決して派遣が直接雇用者より待遇面で恵まれているという現状ではないことを併せて考えると、派遣職員という身分のままで長期雇用されている状態は、決して恵まれた状態ではないと言える。
責任の軽さを魅力としている人は、自分が職場の中でただの人員にしか過ぎない存在で、決して人材とみられていないことを知るべきだ。それは自分の価値を社会から十分に認められていないという意味にも通じかねない。それでよいのだろうか・・・。
先日このブログに、派遣職員の方が次のようなコメントを書き込んでいる。「施設側に直接雇用を訴えたら、紹介料発生するから次回更新し無いと… 2年間務めてる施設なのに」
派遣職員の方を派遣期間中もしくは更新時期に直接雇用職員とする場合は、派遣会社に紹介料などの名目で一定の費用を支払わなばならないのが一般的な派遣契約である。この紹介料は施設が直接雇用した後、その職員が一定期間内で退職した場合には返還されることになり、その期間は3月に定められている場合が多い。
しかし3月以上働いた場合は、その後いつその職員が退職しても紹介料は返還されることはない。そのまま派遣会社の収益になるわけであるが、派遣会社から紹介を受けて直接雇用した職員で、この返還金が生じなくなった期間を過ぎてすぐに退職する人はかなり多い。
うがった見方をすれば、派遣会社は派遣できる人間がいなくなれば事業が成立しないのだから、直接雇用される人に対して、裏でこっそりと紹介料を返還しなくてよい時期を教えたうえで、その時期を過ぎたら退職して派遣会社に再登録することを促しているのではないかと疑いたくなる。
だからこそ介護事業者にしてみれば、派遣会社に紹介料を支払わなければならない人を直接雇用することをためらう心理が生じてしまう。特にコロナ禍で、他業種から介護事業者への就職希望者が少しだけ増えている現在の状況では、派遣会社から紹介される人より、直接募集に応募してきた人を優先的に雇用する傾向が強まっていることは事実だ。
こうした状況を踏まえたうえで、今派遣職という身分で働いている方々には、自分の将来について今一度考えてみてほしいと思う。あなたはこれから先もずっと派遣職員という身分に甘んじていて良い人なのであろうかと、自身の胸に手を当てて熟慮していただきたい。
将来的に長い期間、介護業界で働こうと考えている人であれば特に、派遣職という不安定で思ったほど収入にも恵まれているとは言い難い身分から脱して、信頼できる介護事業者に直接雇用されることを考えたほうが良いのではないだろうか。
勿論、直接雇用してもらえさえすればよいということにはならない。数ある介護事業者の中には、従業員から搾取することしか考えていないような、待遇も環境も劣悪なるブラック事業者も存在する。
だからこそ、「今いる場所で咲けないならば、咲く場所を探して居場所を変えて咲きなさい」という記事で示したように、転職先を探さねばならない人も多い。
そういう意味では、派遣職という身分を脱して直接雇用されたいと願う人は、今登録している派遣会社にそのことを依頼するのではなく、上記の記事の中で紹介しているような、就職後のアフターフォローまで無料で支援してくれる信頼できる転職支援サイトに登録して、条件や職場環境の良い介護事業者を探していただきたい。(※下記にもリンク先を示しておくので参照されたい。)
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>しかし3月以上働いた場合は、その後いつその職員が退職しても紹介料は返還されることはない。そのまま派遣会社の収益になるわけであるが、派遣会社から紹介を受けて直接雇用した職員で、この返還金が生じなくなった期間を過ぎてすぐに退職する人はかなり多い。
>うがった見方をすれば、派遣会社は派遣できる人間がいなくなれば事業が成立しないのだから、直接雇用される人に対して、裏でこっそりと紹介料を返還しなくてよい時期を教えたうえで、その時期を過ぎたら退職して派遣会社に再登録することを促しているのではないかと疑いたくなる。
↑私も以前からこのように思っていたところです。きっちり「3ヶ月で辞めます」とか、1ヶ月で辞められて紹介料が70〜80%しか返ってこない(20〜30%が無駄な経費に)ことは、とても多いです。最近では、派遣や紹介を利用する必要のなかった近隣県においても、派遣や紹介会社が台頭してきているようです。
老施協や老健協、介護福祉士会などはこの状況をどう捉えているのでしょうね。とても不信感を覚えます。
masa
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