昨日(6/1)開催された介護給付費分科会において、厚労省は全介護サービスの従業員に最低5万円を支給する「慰労金」について、事業所を経由して職員に配る方針を示した。
これに対して委員からは、「個々の職員に必ず行き渡るようにすべき」という声が挙がったが、そんな釘を刺すような発言をしなくとも、申請支給ルールが決められればそれに基づいて個人支給されるのは当たり前である。これだけ広く周知された慰労金が支給されなければ、もらえない職員が黙っているわけがなく、大問題になって事業経営に支障を来すだろう。
また「一刻も早く手元に届けて欲しい」と要望する委員もいたが、それは全く馬鹿げた要望だ。現に働いている人に配られる慰労金なのだから、失業して生活費に困っているような状況ではなく、そんなに急ぐ必要はない。逆に言えばわずか5万のお金を急いで受給しなければならない状況ならば、そんな職場はやばい。早々と転職先を探した方がよいだろう。
この慰労金の予算を含んだ2020年度第2次補正予算案について、政府は8日に国会提出し来週中の成立を目指すとしている。さして反対論もない予算案だから来週成立は間違いないだろう。
慰労金は感染者が発生したか、あるいは濃厚接触者に対応した事業所の職員には20万円、感染者、濃厚接触者がいない事業所の職員には5万円が支払われるもので、基本的に全介護サービスを対象とし、日頃から利用者と接する介護現場で働いていれば職種に制限はかけないし、勤務形態も問わないとされている。
よって派遣職員であっても、事業所から直接給与が支払われている人であれば対象となるだろう。問題は厨房委託などで、委託先から給与が支給されている人が対象となるかどうかであるが、それは予算成立後にしか確実なことは言えない。今後の流れに注目していただきたい。
どちらにしても通常国会は17日に閉幕することが確実になっているので、介護保険改正法案も参議院でさしたる審議なしに可決されることは確実だ。そのため今後の介護保険関連議論はいよいよ来春の介護報酬改定に軸足を移すことになる。
そこでは自立支援介護として、新たな成果型報酬の導入が確実視されているが、今後の感染予防対策費の上乗せ要望や、今回の慰労金も報酬改定に反映させてほしいという要望も挙がっている。しかしその足かせになる数字も示されている。それは特定加算の算定率だ。
昨年10月時点で特定処遇改善加算を算定した施設・事業所が全体に占める割合は53.8%しかない。これは従前の処遇改善加算より1割も低い算定率である。この加算は経験10年以上の介護福祉士がいない場合でも算定でき、その他の介護職員等にも支給できるものなのだから、算定率は少なくとも従前の処遇改善加算程度には上がってよいものだ。
それがこれだけ算定率が低いのは、算定開始直後の数字であるという影響があるのかもしれないが、恒常的にこの低い算定率が続けば大問題だ
例えば経験ある介護職員を優遇した支給方法に、事業所内の人事マネジメントがそぐわないという理由で、算定できる費用を算定せず、職員に渡していないとしたら、介護事業者には十分な報酬が行き渡っているので、加算算定をしないのだという理屈に結び付いてしまう。
新設費用をいくら作っても、自らの意思で算定しない事業所が多い現状は、介護報酬のアップは必要ないという結論にすり替えられていくのである。
そういう意味で、特定加算を算定できる環境にあるにもかかわらず、加算算定していない事業者の経営者は、怠慢であるという誹りは免れない。こんな状態で国に人材対策を求めたり、介護報酬のアップを叫んでも説得力がなくなることを理解すべきである。
またこの加算を算定せず、加算配分という恩恵を受けていない事業所の職員は、そこでそのまま働き続けてよいのかということを真剣に考えるべきである。
特定加算は賃金改善の方法等について職員に周知しなければならないことになっているので、加算算定され配分を受けている方で、配分額に不満を持っている方は、その周知内容を今一度確認するべきである。そのうえで配分方法が自分の納得できるものであるのかも熟慮してほしい。
もらえるお金の多寡だけで、自分が働く職場を考えるべきではないが、「金銭で出力するのがプロフェッショナル」でもあるというプライドも必要である。
自分の能力に自信がある人が、その能力に見合った職場を探すことを躊躇する必要はないのだ。そういう人たちが集まることのできる職場とは、即ち介護の品質も高い職場となるだろう。そうであればスキルの高い人が集まる職場が全体を引っ張ることで、介護業界の全体の品質アップにつながる効果もあるのだと期待している。
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発言の意味はいろいろ考えられますが、一つには処遇改善加算のように「事業者の裁量権」と認めてしまうと満額行き渡らない、という事が考えられます(これを危惧している方は少なくないです)
まあ、国民一人当たり10万円の定額給付金と同じく、満額給付されるべき性質のものと思いますから、事業者の裁量権など認められず、粛々と職員に配布されるルールとなるはずです。ルール破りには厳しいペナルティを課してほしいです。
masa
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