介護保険制度創設から早20年という月日が流れた。

介護保険制度の誕生とは、戦後に創設された日本の社会福祉制度が初めて大改正され、全く違う制度に転換が図られたという意味である。それは社会全体に非常に大きな変化をもたらしたものでもある。

その誕生秘話・制度創設経緯等について詳しく知りたい方は、介護保険創設から10年目に書いた下記の参照記事を是非読み直してほしい。
参照記事
介護保険・夜明けの雷鳴1
介護保険・夜明けの雷鳴2
介護保険制度へと続く道
介護保険制度誕生前に吹き荒れた嵐

民間営利事業者が介護サービスに本格的に広く参入できるという改革も、この制度から本格的に始まっている。そのことによって介護事業が運営で済んだ時代から、経営をしなければならないに入ったともいえる。それだけ介護保険制度以前の介護事業経営は温(ぬる)かったともいえるわけだ。

その変革のなかで介護事業を起こした新しい経営者たちが、そろそろベテラン経営者となって、今ここに至るという意味が、介護保険制度誕生から20年の意味でもある。

そこでは様々な人間模様が繰り広げられており、それは明るくポジティブな人間模様だけではなく、裏切り・背信・欺瞞・不義・不実といったどろどろした人間模様や人間関係を数多く含んでいる。

制度開始間もないころ、別業種から転職して、初めて介護サービスに参入することになった経営者が、介護の専門家を片腕として現場の運営を任せ、顧客からも信頼される事業を展開し順調に経営を続けてきた。

介護事業経営を始めた頃、経営者の娘はまだ小学生であったが、時が流れ成長しやがて結婚した。その相手である夫が介護事業経営に興味を持ち、統括部長としてその事業所の経営陣に加わった。しかし創業からの片腕となってきた副社長と何かにつけ衝突するようになり、統括部長は副社長を疎ましく思うようになり、る出来事をきっかけにしてその功労者をまるでごみを捨てるように切り捨てて、自分で事業経営を取り仕切るようになった。その後その事業所からは顧客離れが顕著となり経営が傾いている。

そんな事業者が倒産しようとどうなろうと知ったことではない。しかし可哀そうなのは創業からその事業者に多大な貢献をしてきた副社長である。あまり大きな経営主体ではないから、退職金制度もなく裸一貫で放り出されるような状態になっている。そんなことで良いのだろうか。それが社会の厳しさだと割り切るべき問題なのだろうか。

事業経営はただ収益を挙げるだけに行うのではなく、社会に貢献するために行うものではないのか。そうであれば仕事を通して従業員を人として育てるという考え方があってよいし、その根底には従業員を護るという思想が必要ではないのか。従業員の暮らしを護り、人としての感性を育むということも経営者の責任として考えるべきではないのだろうか。

そういう意味では、功労者に対してあまりに冷酷な仕打ちは、経営者としての道義的責任を問われる問題ではないのだろうかと思ってしまう。従業員を駒のように切り捨てるのが経営能力ではないだろうと言いたい。

それにしても経営者の中にはいろいろな人がいる。尊敬できる優れた経営者も数多い。しかしそうではない、自分勝手なだけの経営者がいることは事実だ。そういう事業者に勤めている従業員は可哀そうを通り越して悲劇でさえある。

介護事業にとって人材は何よりも重要なのに、いくら有能な人材であっても、その才能は自分の懐を肥やすための才能であると勘違いしている経営者もいる。従業員をいかに安く長く使うかということしか考えていない経営者がいることも事実だ。

5本の赤い花たちとともに考えたこと」という記事の中でも指摘しているが、僕が育てている若者たちは、年齢も経験もスキルも似通ったレベルにあるが、所属事業者によって待遇差は非常に大きなものになっている。

そのスキルに見合った労働対価を得ていない者もいる。理想を掲げて事業経営に乗り出すのであれば、従業員の経験とスキルに見合った対価を得られるような事業戦略を同時に立ててほしい。少なくとも経営者だけが大きな対価を得るだけで、その対価が従業員の滅私奉公という状態で得られていることは許されない状態と思う。

僕は基本的に、職場を転々と変えることには反対の意見を持っている。介護職はどこでも仕事は見つかるが、ちょっとした不満で転々と職場を変えたとしても、決して理想に出会うとは限らないし、今いる場所で偉くなって、影響力を持って、職場を改革する方がポジティブだと思っている。

しかしそれも程度による。従業員を使い捨ての駒のように酷使するしか能のない経営者のいる場所に、いつまでも居座る必要はないし、対人援助としての誇りも使命感も持てない場所にも居続ける必要はないと思う。

例えば、福祉ジャーナリスト 田中 元氏がネット配信しているコラムの中で、『一部の施設等では不適切なケアが常態化しているケースもあります。そうした施設等で「面会中止」による閉鎖性が高まれば、さらに大きな問題が発覚することも想定されます。』と論評しているが、家族の面会が監視機能とならないと、ケアの品質を保つことができない介護施設などあってはならない。

そんなところで改革などできるわけもないのだから、志のある人は、一日も早くそうした職場には見切りをつけたほうが良い。そういう環境にいる人に対し僕は、信頼できる介護の転職支援サイトを紹介している。

このサイトは厚生労働省許可で、登録から仕事の紹介、入職後のアフターフォローまで一切無料でサポートしてくれるサイトである。

登録後、メールで情報だけ送ってくることに終始するサイトが多い中、こちらは担当のキャリアアドバイザーが直接電話連絡してくれて、丁寧に希望条件を確認したうえで、最適な職場を紹介してくれる。他では全く紹介されない未公開求人も多数紹介してくれるし、入職後の相談も無料で継続できるのだからさらに安心だ。

今すぐに転職を考えていない人も、まずはここに登録して、いろいろな介護事業者の情報を集めてみると良いのではないかと思う。そのことによって自分がいま働いている職場が、自分をどれだけ大事に護ってくれているのか、そうではないのかがわかろうというものだ。

最低でも一人に5万円が支給される、『慰労金』は全サービスの全職種が対象となるわけだが、それだけ国費がかけられる介護事業に対する国民の目は、今後より厳しいものになるだろう。その視線に耐えられるだけの、きちんとした介護事業者で、皆さんの才能を発揮してほしいと思う。

登録から仕事の紹介、入職後のアフターフォローまで無料でサポート・厚労省許可の安心転職支援はこちらから。
※3つ目のブログmasaの徒然草を始めました。こちらも是非ご覧ください。


※もう一つのブログ「masaの血と骨と肉」、毎朝就業前に更新しています。お暇なときに覗きに来て下さい。※グルメブログランキングの文字を「プチ」っと押していただければありがたいです。

北海道介護福祉道場あかい花から介護・福祉情報掲示板(表板)に入ってください。

・「介護の誇り」は、こちらから送料無料で購入できます。

masaの最新刊看取りを支える介護実践〜命と向き合う現場から」(2019年1/20刊行)はこちらから送料無料で購入できます。