北海道はそろそろ各地域で桜が咲き始める時期だ。
函館は例年より4日早く、今週初めにすでに開花宣言が出されているので、これから徐々に桜前線が北上してくる。登別の満開はこのGWの真っただ中になるだろうか・・・。
しかし今年のGWは例年と全く異なる様相を呈している。
登別市のホームページでは、小笠原市長名でGW期間中の登別温泉やカルルス温泉といった観光外への訪問自粛を呼び掛けている。テーマパークや旅館も休業しているところが多く、観光客もほとんどいない。
このため国道36号線から延びる登別温泉までの街道を彩る、「桜のトンネル」を愛でる人の数もめっきり少なくなると思え、今年は地元の人だけになるかもしれない。
北海道のお花見と言えば、桜の周りで『ジンギスカン鍋』がを囲む光景が定番だが、そうした花見も今年は難しいだろう。それも仕方のないことだと思う。来年の桜の時期に、世の中が平安になっていることを祈って、今年は遠くから桜の姿を愛でるだけにしよう。
ただし考えてほしいことがある。今、高齢者の方々は感染に怯え、様々な活動を控えていることだろう。そのような中でも在宅でお元気な方であれば、自分の動ける範囲で、安全な場所でストレスを発散する活動ができるかもしれない。
しかし介護施設などの居住系施設で、面会制限・活動制限を受けている人は、施設の方針が絶対命令になって、がんじがらめに日常生活を縛られてしまっているかもしれない。そういう状態が長く続けば続くほど予期しない問題の噴出が懸念される。感染予防は大事だが、そこに住む人々のストレス管理という側面を是非忘れないでほしい。
僕の経験に基づいていえば、特養の年間平均退所者割合は2割以上である。そのうち9割近くが死亡退所である。
そうであれば今年の桜を見逃したら、来年の桜を見ることができない人が特養には確実に2割程度いることになる。誰がその2割に当たるのかはわからないとしても、そういう人が確実にいるとわかっている場所で、今年の桜を愛でる支援努力をしないことは罪以外の何ものでもない。
制限の掛け声をかけるだけなら素人でもそれはできる。制限のある暮らしの中で、その制限の中で、できることを増やすこと、知恵と工夫によっていかに制限を緩やかにできるのかは、暮らしを支援する専門家の手腕にかかっている。制限やむなしという中で、制限さえしておれば自分の責任は果たせるという考え方だけはやめてほしい。
感染予防対策に厳しく臨むのはよいが、厳しさだけで愛情をなくしてしまったときに、人の心は邪気を持つ。そこで生まれるものは差別と哀しみでしかなくなる。それはやがて他者に対する無関心につながっていき、自分さえよければ他人はどうでもよいという意識につながりかねない。
巷では、保育所などが医療従事者の子どもの預かりを拒否する事例が報告されている。それはあまりに理不尽である。感染症対応の第一線で働く人が差別を受けるなら、感染対応者はいなくなる。実際にはウイルス感染者がいない医療機関の従業員も同じ差別を受けている現実を見ると、この風潮が広がる先には介護従事者やその家族も同じ扱いを受けかねない。そうすればこの国の医療も介護も崩壊だ。いやそれは単なる医療・介護の崩壊ではなく、人間社会の崩壊であり国の滅びである。
サザエさん一家がアニメの中で行楽に出かけて何が悪いのだろう?私たち自身が行動に気を付けなければならないからといって、架空アニメの世界まで自粛と規律を求める世界は息が詰まる。世の中あまりにもギスギスしすぎていないだろうか。
こんな時期だからこそ、人に優しくする方法論を考えたい。いつもなら気が付かなかった人の心の動きをわかるようになりたい。その心に寄り添う方法を探していきたい。
私たちの専門性とは、そんなところにあるのではないだろうか。さくらびとのように、今この時期にも、「右上がりの介護」を目指したい。
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