政府が23日に発表した4月の月例経済報告は、「景気は、新型コロナウイルスの影響により急速に悪化しており、極めて厳しい状況にある」という判断を示している。

感染症の拡大が続き、先が見えない中で、景気の悪化はさらに深刻化することが予測されるが、そんな中で医療費や介護給付費を含めた社会保障財源の確保のために、さらなる国民負担を求めることは出来るのだろうか?景気動向を無視した国民負担増は難しいと考えるのは、甘い考えなのだろうか。

今の厳しい経済状況を考えるならば、ウイルス感染症の収束が見込まれるまでは、国民負担増の議論は一度凍結したほうが良いように思う。この状況で国民の痛みを求める改革案が示されたならば社会不安は広がるばかりだ。ここは政府の決断を待ちたいところだ。

来年4月は介護報酬の改定も予定されており、そのスケジュールも3/16の介護給付費分科会で示されている。しかしそれ以降分科会は開催されておらず、次回の開催予定日も示されていない。感染予防のために会議自体を自粛している影響だろうと思うが、ネットを利用したオンライン会議に切り替えて議論が進むのかも今のところ不透明だ。

スケジュールでは、すでに主な論点の整理に向けて、事業者団体ヒアリングが進められていなければならないが、それもできないのが現在の状況だ。次期報酬改定では自立支援介護を本格導入するということで、成果報酬を様々なサービスに導入するとされているが、そのための検証作業も進んでいるとは思えない。

次期介護報酬改定は、2040年を見据えて新たなステージに向かってどうスタートを切るかを問う、「抜本的な仕組みの議論になるだろう」という意見が日本医師会の江澤委員から出されているが、そのような抜本議論の結論を出すことができる時間はもう無くなっているように思う。

改定の度に加算・減算が追加されて複雑な報酬体系になった介護報酬を、今一度整理してわかりやすい報酬体系にしていくことも必要だが、そんな議論は全く進んでいない。

しかも新型コロナウイルスの感染が広がっている現在の状況を鑑みると、介護事業者の感染予防に関する費用負担は、今後ますます増えることが予測され、それに対応する報酬体系は議論されなくてよいのかという大問題が新たに生まれている。ここをきちんと議論しないと、介護事業者は存亡の危機に立つし、感染の不安から介護人材確保はさらに難しくなる恐れがある。

中長期的にみれば、この感染拡大が及ぼす人材確保のためのリスク対応も議論されなければならない。考えるべきこと、検討されるべきことは山ほどあるが、会議さえまともに開けない現況を鑑みると、もう議論には時間が足りないのではないだろうか。

ケアマネジャーの処遇改善も、次期報酬改定時の重要課題になっているが、その可否や財源を議論する時間もほとんどなくなっている。

適当なデータを拾い集めて、おざなりな議論でアリバイ作りをして、国の意図する既定路線でそのまま次期介護報酬を組み立てるなんてことがあってはならないはずだ。

ここは腹を括って早い時期に、報酬改定時期の1年引き延ばしを宣言するべきではないのだろうか。

現行の報酬体系で2022年まで経営と運営ができるという安心感を、早めに介護事業者に与えることによって、感染症対応の更なる充実を図りながら、利用者の福祉の向上を実現する介護事業経営に専心させることが、今一番求められていることではないのだろうか。
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