昨年度の介護支援専門員実務研修受講試験は、一部地域で台風の影響により今年3月まで延期されたが、その結果を含めた合格率は19.5%(前年10.1%)、合格者数は、8.018人(前年4.990人)であることがわかった。

前々年度の大幅な合格率低下と合格者数減と比べると改善がみられるとは言え、合格者数が1万人を切っているという数字は、人材確保面では大きな不安要素であることに変わりはない。特に受験者数は41.049人と、前々年度の49.332人よりさらに減っているのだから問題は深刻だ。

特定加算の影響で、経験のある介護職員の方が介護支援専門員より年収が高くなっている事業主体も増えていくので、今後もその影響が懸念される。介護支援専門員に対する処遇改善の必要性を訴える声は、こうした背景によってさらに高まっていくだろう。

そうした状況であるからこそ、今回新たに資格を得た方には大いに活躍を期待したい。「やはりケアマネジャーがいないとだめだ」という声が大きくならない限り、処遇改善の実現性は高まらないからだ。

逆に「ケアマネジャーがいても何の役にも立たない」という声が大きくなれば、処遇改善どころか、ケアマネジャーの存在意義が問われて、ケアマネが行うことができる仕事がどんどん減らされていく結果になりかねない。具体的には軽介護者のケアマネジメントをなくする方向に進むという意味だ。

ところで昨年度試験に合格した方は、すでにケアマネ実務に就いているかもしれないが、新型コロナウイルスの感染拡大が止まらない中で、ケアマネ業務に就いた矢先から大変困難な状況に直面していることと思う。

特に感染予防対策として、訪問介護事業所や通所介護事業所等の休業が相次いでいる状況下では、利用者に必要なサービスを結び付けることが困難となっているとケースが続出していることだろう。そのために新任のみならず、経験のある介護支援専門員の方も苦労が多いのではないだろうか。

4/20時点で全国の通所・短期入所系で858ヵ所、訪問系で51ヵ所が休業しているそうである。しかし都道府県の休業要請を受けて休止している事業所は6件だけだそうであるのだから、それ以外は自主休業しているということになる。

感染者が増えている地域では、通所サービスやショートステイが、クラスター感染の温床になりかねないので、自主休業や営業自粛(自粛の場合は休むとは限らず、サービスの一部を停止したり、短縮したりするという意味)という判断もやむを得ないことと思われるが、それらのサービスが休止されたとしても、利用者にサービスが必要なくなるわけではない。しかし代替サービスを探すことは非常に難しいと言われている。

ショートステイに替わるサービスは特に見つけるのが難しく、結果的に家族等のインフォーマルな支援者に頼る以外方法がないというケースもある。だがインフォーマルな支援者がいない人には、どのような支援がされているのだろう。ここが心配だ。新任のケアマネの方は、一人でケースの責任を背負い込まずに、先輩や管理者の適切な助言を受けていただきたい。経験のある先輩たちは、新人ケアマネに困難ケースを丸投げせずに、真摯に相談に乗って、新人を支えて育ててほしいと思う。

ところで介護サービス事業者の立場からこの問題を考えると、デイサービスも特例として訪問によるサービスができると言っても、そのような訪問サービスを行った経験がない職員がほとんどだから、実際に訪問ができている事業所の方が少ない。というか代替訪問サービスができている事業者はごくわずかである。

多くの通所サービス事業所は電話による安否確認のみで報酬を算定してしのごうと考えている様子だが、ケアマネジャーからすれば、そんな安否確認は何の意味もないと感じていることだろう。利用者からしても、一本の電話を受けるだけで自己負担費用が発生するというのは、その額が少額でも納得できないと思う人が多いのが実情だ。そのため電話での安否確認による報酬算定をあきらめる事業所も多いと聞く。

しかしこの特例は、通所サービス事業が感染症対策の休業で廃業してしまわないための方策の一つなので、そこは理解して、ケアマネジャーは通所サービス事業者の安否確認情報を、自らのケアマネジメントに生かす努力をして、利用者に必要なサービスであると説明するような協力があっても良いのではないかと思ったりする。是非ご一考願いたい。

ただし表の掲示板にも書いたが(貼り付けたリンク先のスレッドのNo.12 )、訪問による報酬算定や電話による安否確認による報酬算定を、「ローカルルール」で認めていない自治体が数多くあるようなので、報酬算定に先駆けて、担当行政課への確認は忘れないようにしていただきたい。

それにしても今全国から、通所介護利用ができないことのデメリットの声が聴こえてくる。身体機能の低下、認知症の方の認知機能の低下、家族の休養ができないetc.・・・こうしたデメリットについて、担当ケアマネジャーは細かく検証していただきたい。

なぜなら計画されたサービスが使えなくなったことによって生じたデメリットとは、サービス利用で生活課題が解決されていた証拠にもなるわけだからである。この部分検証作業をきちんと行い、サービス利用が制限されている間に生じた、利用者の身体的・精神的変化の記録が、生活課題を解決するケアマネジメントのエビデンスにつながる可能性があるし、ケアマネジメントの有効性を世間にアピールできる根拠にもあり得るからだ。

通所介護の場合は、制度開始当初は通所リハビリがあればいらないサービスではないかとか、レスパイトケアに保険給付してよいのかとかいう疑問声が数多くあった。今でこそそうした声は聞こえなくなってはいるが、この機会に改めてその存在意義を問い直す評価がされる必要もあるように思う。

2040年に向けた介護保険制度の在り方が、この状況でしか行えない課題分析の中で見えてくるかもしれないのである。
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