新型コロナウイルス感染症の感染予防対策が長期化している。
そのため介護施設等の居住系施設での面会制限も1月以上の長期間に及んでいることが予測される。その対応策として、ICT機器を利用した利用者と家族の方々との非接触型のコミュニケーションを導入する事業者が増えている。それはある意味当然しなければならない対策だ。
感染拡大が止まらず面会制限がこれだけ長期間に及べば、利用者のストレス対策は必然の対策である。逆に言えばいまだ利用者と家族が顔を見ながら意思疎通ができる対策を全くとらずに、漫然と見解制限を続けるだけの施設があるとすれば、そういう施設対応はいまや虐待・人権抑圧を行っているのと同じである。そうした人権意識の低さは糾弾されてよいことである。
しかしICT技術等を使って、テレビ電話機能を使った非接触型コミュニケーション対応を行っただけで満足してくれては困る。その方法は施設を訪ねてこなくともできる方法なのだから、その利点を最大限に生かして、家族が暮らしている場所で利用者とのコミュニケーションを取れるように支援すべきである。(参照:施設を強制収容所に化す工夫のない面会制限)
そのことは利用者の家族等の不要・不急の外出抑制にもつながり、感染予防対策としても求められることである。そんなふうにこの危機的状況の中で私たちは、様々な新しい対策が取られていることを逆手にとって、時代を一歩先に進めることが出来ると考えようではないか。
例えば、こうした工夫を今回の感染予防対策として行って終わらせるのではなく、新型コロナ対策とし行ったことをスタンダードに変えて、時代を一歩進めるという意識が求められるのだと思う。具体的に言えば、顔の見える非接触型コミュニケーションを特例ではなく、スタンダードに変えていくことも重要ではないのだろうか。
日常的な介護事業者と利用者や利用者の家族とのコミュニケーションも、電話ではなく顔の見える非接触コミュニケーションが主流になることで、今まで以上に意思疎通がスムースになることは、事業者のみならず利用者や家族にとっての利益にも繋がると思う。
僕は長い間、相談援助職として利用者や家族に接していた経験があるが、一度も逢ったことがない家族との電話対応では、しばしばこちらが意図していない印象を相手に与えて、予想外の反応に戸惑うことがあった。それらはほとんどネガティブな方向にケースを導く結果につながっていった。
そんなふうに生活習慣も感性も全く異なる様々な人と応対せねばならない電話対応では様々な誤解が生じてトラブルに発展することがある。そんな経験をまったくお持ちではないという相談援助職の方がいるとすれば、それは尊敬に値するし達人だと思う。しかし誰しもがそういう結果を得ることは難しい。電話というコミュニケーションツールは、顔が見えないだけに血の通ったコミュニケーションと感じてもらえずに、誤解されやすいのである。
逢って話をすれば感じの良い人が、電話では横柄で態度が悪く思えたりする例は多いだろう。しかし対人援助の場面での誤解は致命的になることもあり、それはすべからくサービス提供側の責任に帰される問題でもある。
そんなつもりはなかったという言い訳は通用しないのだから、誤解を受ける要素はできるだけなくしていったほうが良い。
さすればテレビ電話機能を使った、顔の見える非接触型コミュニケーションは、こうした誤解を防ぐ効果が期待できることに着目すべきではないだろうか。初対面でも顔が見える状態で会話を行うことで、相手の表情やしぐさを確認できるし、私たち相談援助職はそのことを意識して、言葉だけではなく表情やしぐさで、私たちの真心を伝えるという技術も使えるはずだ。
そうであれば私たちには、今まで以上に礼儀を意識した対応が求められる。言葉だけではなく服装や表情にも注意した対応が必要になるかもしれないが、それはある意味、知らない第3者に直接向かい合うことが多い対人援助の専門職にとって求められるプロのスキルだ。その意識が低い今の状態がおかしいのである。新たな一歩とは、そうした意識の進化と深化をも含めたものである。
親しみがあるとは、相手に対する思いやりや尊敬の気持ちがあり、礼儀正しい振舞いができる態度のことであり、無礼で礼儀に欠ける、「タメ口」が親しみにつながることがないことを改めて理解すべきである。
言葉づかいは心づかいである。一度口に出した言葉は元には戻らないことを肝に銘じて、相手を敬う気持ちを表現することが大事になる。顔の見える非接触型コミュニケーション機会が増えることは、そうした意識付けを深化させることにもつながるのではないだろうか。
そうした意味においても、顔の見える非接触型コミュニケーションは求められていると思うし、この方法をスタンダードにすることで時代は一歩進むのである。
そしてそれは求められる未来像につながる一歩なのである。
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