北海道の自宅を経ち、博多の顧問先での4月の業務のために来福してちょうど1週間過ぎた。今回の来福の直後に福岡市が緊急事態宣言の対象地域になったために、その前後で街の様子は大きく変わった。
緊急事態宣言前に通常営業していた飲食店で、自主休業するお店の数が日に日に増えている。休業して改修工事などを行うホテル等も目につく。劇的に変化しているのが博多駅構内である。駅直結の商業ビルがすべて臨時休業して、駅の様相が全く変わってしまった。
昨日は日曜日ということで、僕も顧問先に出社せず、ホテルに籠って1日PC作業をしたが、お昼ご飯を食べるときだけ駅の近くで飲食店を探したが、街は閑散としており博多駅構内もこんな様子だ。


いつもの日曜日なら人でごった返すはずの博多駅の姿がこれである。一番人通りが多いはずの博多口から筑紫口への連絡通路を歩く人の姿が少ない。駅周辺で営業している飲食店も数が少ないのだから、お昼時はそこに人が集中して混むのではないかと心配したが、そのような気配もない。
このような状況は日本経済に大きな影響を与えるのは間違いのないところだが、飲食店やホテルで働いている労働者にとっても深刻な問題だ。仕事がなくなる人もいる。
そんなふうに新型コロナウイルスの影響で失業する人は確実に増えている。そんな人達にとっては介護業界はとりあえず仕事先として選ぶことのできる職業の一つになっている。こんな状況でも仕事が減らず、むしろ対応のための人員をさらに必要とする介護業界に転職する人が間違いなく増えてくるのである。実際にすでに他業種から介護業界に転職した人もいる。
しかしこの状況が介護人材不足を補い、介護業界にとって追い風になると短絡的に考えることはできない。
今まで介護の経験が全くなかった人が職場を失って、新たな仕事を探しているときに、たまたまたどり着いた職業が介護の仕事であっても、そこで隠れた適性が発揮されて、そのまま介護業界に定着して貴重な人材に育っていく例は過去にもたくさんあるのだから、そのことに期待を寄せることはあって良いと思う。
しかし我々が過去から学んだことは、そうしたケースは決してマジョリティになったことはないということだ。
社会の不景気で失業者が増える際に、介護の職業への転職者が増えるとしても、その中に良い人材がいる以上に、介護の職業への適性に欠けて、教育効果も上がらない人物の方がいつも多いというのが過去に見られた現象であり教訓だ。このことを十分理解し、覚悟しておく必要がある。
応募に人が集まってくることを喜んで、闇雲に採用してはいけないことを、このブログでは繰り返し警告している。仕事がないから介護でもしておけと考えている人が、そこにはかなりの数交っているし、その中にはとりあえず介護事業者に就職して、給料をもらいながら、状況が変化したら元の職業に戻ろうとか、さらに別の仕事を見つけようと考えて、介護の仕事を、「腰掛け」程度にしか思っていない人が一定数いるのだ。
そうであってもその人たちが、介護の仕事に就いている間だけでも、介護事業者の戦力になってくれれば良いのだが、なかなかそううまくはいかない。
その人たちのなかには、真面目に仕事を覚えようとも、介護の職業を通じて自分のスキルアップを図ろうとも思っていない人が混じっておりことを覚悟したほうが良い。そういう人たちを採用してしまうことで職場全体が混乱し、職場の秩序や人間関係といった職場環境全体がぎくしゃくし、元に戻せなく例はたくさんある。職場環境はあっという間に悪化するが、元の状態に戻すのには、その数倍のエネルギーと期間が必要になるのである。
特に仲間同士が複数で募集に応募してきて、それらの人を一斉採用する際には注意が必要だ。「一斉退職者をまとめて雇用なんて、あり得んだろうという話」のような状況に陥らないように、経営者や採用担当者は、慎重に職員選考を行わなければならない。
またせっかくこの機会に、介護の職業への隠れた適性を持った人が転職してくれたとしても、その人達が、自らのスキルを発揮する機会やスキルアップの機会がないと、適性を持ったことに気づかぬうちに辞めてしまったり、介護の現実に幻滅して他の職業に転職してしまうというケースも多々ある。
そうしないための唯一の方法は、未経験者・他業種からの転職組を中心とした新人教育の徹底しかない。未経験者が安心して介護の仕事を続けられることが出来る基礎教育と、基礎教育を実践の場で確認できるOJTが何より求められるのだ。
感染予防対策に集中しなければならないから、職員教育は後回しだと考える職場に、人材は定着していかない。それはコロナウイルス禍が治まりを見せた後、深い爪痕・後遺症として介護事業者に禍根を残す結果となるのである。
他産業での失業者から適性のある人材を取り込み、そうした人材を定着させ職場の戦略に変えるための戦略が求められるわけで、各事業者の人事管理部門の力の見せ所が今である。
こんな時だからこそ人材を見極め選ぶ目と、選んだ人を育てる視点が不可欠だ。
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