今日4/1は新年度の初日であり、多くの介護事業者で新入職員が入職初日を迎えていると思う。

新型コロナウイルスの影響で、入社式を取りやめている事業者も多いが、式典は行われなくとも、新入職員は朝礼などで挨拶をし辞令を交付され、新しい職場で就業第一日目の業務に就いているわけである。

それらの職員は今、何をしていることだろう。

事業者によっては入社日を前に、事前に入職前研修として新入職員の基礎的研修を行っている場合もあるだろう。その場合は入職前に行われた基礎講座をベースに、就業初日からOJTに入っているのかもしれない。そうであればOJTも意味を成すだろう。

しかし就業前の事前研修であっても労働対価は発生するし、労働対価を渡していない事前の義務研修は労基法違反にも問われる。また新人職員の中には学卒者が多いことを考えると、その身分との絡みで3月中の事前研修はなかなか難しく、可能だとしても多くの日にちは割けないのが現状である。

よって多くの場合入職前研修は、基礎研修の体をなさないないような内容に終わることが多く、それを受講したからと言って、就業初日からいきなりOJTというのは厳しく難しいと言わざるを得ない。

そもそもOJTというのは、on-the-job trainingの略で、「職場での実務を通じて行う従業員の教育訓練」である。教育と訓練だから、当然その根拠となるOJTツールに基づいて行う教育でなければならない。単に先輩職員のあとに金魚の糞のようにくっついて、見よう見まねで先輩職員の行っている動作を真似するのがOJTではないのである。

OJTにおける指導者の禁句は、「見て覚えろ。」である。それを言ってはいけない。「これは〜だから、こうしているんですよ。」と説明できる教育・訓練法がOJTとして行われなければならないのである。

このOJTを根拠に基づいてしっかりできている事業者と、そうではない事業者では職員の定着率に大きな差が生まれてくる。当然、前者の定着率が高くなるのだ。

介護福祉士養成校の卒業生を対象に、新卒で就業した職場を1年以内に退職した理由を調査すると、次のような理由がワーストスリーである。

1.介護技術を教えてくれない。根拠のない指導に終始する先輩しかいない
2.経験則だけで仕事の手順を教えるだけの先輩しかいない
3.感情的に怒ることを指導と勘違いしている人が多い


しかしこれらはすべて退職理由としては、「人間関係」と括られてしまうので、教育・訓練の問題とは別問題と捉えられがちである。しかしこれは間違いなく、教育・訓練のシステムが存在していないか、システムがあってもその具体策が現場の職員に丸投げされて、労務管理されていないことに起因する問題なのである。

だから・・・今日、入社式や朝礼で紹介された新入職員を、一定期間現場と切り離した場所で実施されるべき座学による基礎研修を行わないまま、いきなりOJTと称した教育指導にもならない方法で、先輩職員と一緒に介護の真似事をさせている職場には明るい展望は開けない。

そこは近い将来、人材から見放され、顧客からも見放される運命をたどらざるを得ない。介護事業経営に直結する人材育成をおざなりにしている事業者には、人が集まらず定着せず、事業継続ができなくなるのは必然なのだ。それだけ職員教育が重要なのだ。(参照:ウイルス対策を理由に職場内研修をおざなりにできない理由

新型コロナウイルスで大変な状況である今日も、そのことをしっかりと自覚して、新入社員教育に取り組んでいるか、そうでないかで、その事業者の将来性が見えるわけである。

今この日・この時点で、しっかりとした新人教育を行っていない事業者の職員は、今日仕事を終えた瞬間に、きちんと職員教育を行っている事業者を探して、転職準備を進めたほうが賢いだろう。
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