2020年は介護保険制度がスタートしてちょうど20年目にあたるが、それを機に共同通信社が都道府県庁所在市区と政令市の52自治体にアンケートを実施したところ、介護保険制度の存続について51自治体が、「懸念する」と答えたそうである。

その理由はまず第一に現場の人手不足であり、さらに利用者の増加に伴う費用の膨張の先行きを不安視する意見が多かったそうだ。

しかし考えてみると、介護保険制度があろうとなかろうと、この制度に変わる新たな制度ができようとできまいと、人手不足については何も変わらないのである。高齢者の数自体が徐々に減る時代に入ってきたが、それ以上に生産年齢人口が減って、今より高齢者介護サービスを支える人の数は減るのである。

介護事業の人手不足への対策は、介護保険制度を変えてもどうしようもなく、それは他の様々な制度を総動員したり変えたりしながら、社会構造自体が変わらないとどうしようもない問題だ。しかもその効果的処方は見えていないのが現状だから、介護事業主体がそれぞれ工夫を凝らして、厳しい現実の中で人手を確保して事業を継続していくしかない。

このことに関連して今朝の北海道新聞朝刊では、ニッセイ基礎研究所の三原岳主任研究員の、「処遇改善は確かに必要だが、誇りを持って働ける職場づくりも人材確保につながる。」というコメントが掲載されている。(※コメントは記事より一部抜粋。掲載コメント全文ではない。)

その内容は、僕が普段からこのブログなどで主張している内容と同じである。

将来介護の場のリーダーとなり得る人材は、自分の仕事に誇りを持ち人の役に立てる介護サービスの場で働きたいと考えている。介護サービスの品質が高く根拠ある方法論が実践され、顧客に対するサービスマナー意識も高くて顧客から選ばれる職場を求めているのだ。そういう職場環境を創ることで人材確保の勝ち組になれるのである。

しかしそれはとりもなおさず介護事業経営の勝ち組になることでもある。財源不足が懸念されているが、だからと言って国が高齢者の介護を放棄出来るわけがない。それは国が亡ぶことである。制度続こうと変わろうと、高齢者介護に必要な費用はなくならないのだから、給付は続き、それは莫大な金額なのである。事業を継続できれば、この費用を獲得することが可能になるのである。

だからこそ、「介護の誇り」を今一度見つめ直してほしい。

記念すべき介護保険誕生20周年の年に、新型コロナウイルスによる感染症が世界中に蔓延し、日本でもその猛威は止まらず、あの志村けんさんまで命を取られてしまった。何とも悔しい限りである。

介護現場でもその影響は甚大である。マスクや消毒薬が不足する中で、介護事業に携わるすべての関係者は大変な思いをしておられるだろう。

そもそも介護サービスの場は、常にだれかと濃厚接触しなければならない場所である。感染を恐れて接触を少なくするという訳にもいかないのが介護だ。しかしそんな場所から逃げ出さずに日々支援行為に携わるあなたがいてこそ、救われる誰かがいることを忘れないでほしい。

感染予防対策に最大限の注意を払いながら、そこで汗するあなたの存在によって支えられている命と暮らしがあることを誇りに思ってほしい。

今日も介護の場では、様々な高齢者や障がい者の方々が誰かの支援を受けながら暮らしを支えられている。中には看取り介護の真っ最中で、人生の最終ステージを生きている人もいるだろう。そうした人たちを支える一人ひとりの介護関係者が、自分の仕事に使命感と誇りを持って働くことができる介護事業であってほしい。

僕の著作、「介護の誇り」もそんな願いを込めて3年前に上梓した本である。不要不急の外出自粛で、休みの日に家に閉じ籠っている人は、この機会に改めてこの本を読み返して、誇りある介護とはどういうことか、介護の誇りとは何かということを改めて考えてほしい。

この本に書かれている内容にフィクションは一切ない。これは僕がやってきたこと、僕の仲間や後輩たちが今も実践していることである。理想論など存在しない実践論の中に、どんなふうにプライドが存在しているのか、どんなふうに僕多たちの仲間がプライドを見出しているのかを実感してほしい。

特に介護事業経営者の方々は、従業員が誇りを持って働き続けられる職場環境という観点から、この本の中にちりばめられている介護の具体的方法論と、自分が経営する場所の方法論がかけ離れていないかを確認していただきたい。

それは介護の実践論であるだけではなく、事業経営に直結する問題でもあると言えるだろう。
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