北海道の中でも新型コロナウイルス感染者がゼロだった胆振中部・西部地域で昨日、感染者が1名出た。患者はハワイから帰国したばかりの20代女性で、室蘭市内の医療機関の受付事務をしていたとのこと。
室蘭市長が発症者が出たことを報告する記者会見では、「公共性がある機関であり、医院名を公表すべきではないか」という記者からの質問が相次いだが、「医療機関のご意向」として、市長はこれを拒否した。
しかし市民の間では当該医療機関名は既に、「情報」として広がっており、室蘭市内の小児科医療機関であることが特定されている。それにしても当該医療機関が医院名を公表しないという態度は全く納得できない。市民に対していたずらに不安与える無責任な態度であると批判されて当然だろう。秘密にするという危機管理はあり得ないことを自覚しているのか疑問である。おそらく数日中に、ネット上では当該医療機関名が広く流布されると思えるが、その時この医療機関が、どう対応するのかが注目されるところである。市民に対して真摯に説明しなかったつけは、どこかで必ず支払わねばならないだろう。
このような状況だから、登別・室蘭地域の介護事業者も一層の警戒が必要だ。
特に介護施設やサ高住・GH等の居住系施設住む高齢者は、新型コロナウイルスに感染すると重篤化するリスクが高いだけではなく、場合によってそれは死に直結しかねないのだから、そうしないために面会制限をするのは、この時期であれば至極当然のことである。
しかし制限だけして終わりではあまりに無責任である。本来介護施設をクローズして、家族と会わせない権利は誰にもないはずであり、例外的に医学的見地から一時的な制限が認められているに過ぎない。
感染予防は施設を社会から隔離した密室と化すために行うものではなく、感染を予防して安全な環境を保つために行うものであるのだということを忘れないでほしい。居住系施設を外部の家族とのコミュニケーションさえ取れない場所にしてしまえば、それは冷たいブラックボックスでしかなくなる。
特に特養は介護施設であると同時に、利用者のとっては暮らしの場であることを標榜しているのだから、制限と配慮はセットで考えられねばならない。
今の時代はICT技術で、対面しなくてもコミュニケーションをとる方法はいくらでもあるのだから、そうした工夫をしないで面会制限だけを行うのは、いかにも知恵と配慮のない施設運営だというべきだろう。
例えばネット環境さえあれば、Google等でビデオ会議・チャットサービスの無料アプリが提供されているので、簡単に画面を通じて相手と対面しながらコミュニケーションが取れるのである。そうした技術はすでに特殊技術ではなく、スマホやタブレットを日ごろから使い慣れている人にとっては一般的なアプリ利用に過ぎない。誰でも使える方法なのである。そうしたアプリを活用しないで、面会制限だけをダラダラと続けている施設は、強制収容所と同じである。
施設の利用者の姿かたちが見えない状態で、情報だけ送っても家族にとっては不安が大きい。それは幻の音信にしか過ぎず、真実とは異なるものだ。面会を制限している密室で自分の親がどのように暮らしているかを見て、本当の姿を確認したいと思う家族は多いだろうし、その気持ちはあって当然である。そうした思いにも寄り添うのが対人援助として求められるサービスの品質である。
各サービスステーションに、PCもしくはタブレットやスマートホンを置いておくだけで、それを通じて自宅にいる家族と簡単にコミュニケーションをとれるのだから、面会制限中は施設側から積極的に家族の持っている末端と施設をつないで、画面を通じて姿が見える形のコミュニケーションをとれるようにすべきだ。
しかしこうした方法を、わざわざ施設に訪ねてとらせるのもどうかしている。
チャットサービスは、距離が離れていても可能なのに、施設の受付に末端を置いて、そこに訪ねてきた家族が、館内に入らない状態で、施設内の利用者とコミュニケーションを取らせているような馬鹿げた使い方をしている施設がある。デジタル機器をアナログ化しているような使い方だ。
勿論、たまたま面会制限を知らずに訪ねてきた家族にそういう方法を取ることはあってよいだろうし、ITやICT利用が苦手である人にサービスとして、施設の玄関口でそういう対応をしていただくことはありだろう。しかしそれで終わってどうするのかと言いたい。
それはごく限られた人に対するサービスにすべきで、それを広げて利用者家族が自宅から施設利用者とコミュニケーションを取れるように支援するのが本当の意味での行き届いたサービスではないのか。なぜなら施設利用者の家族の大半が、スマホもしくはPCを使いこなしているからである。
施設利用している人自身は、それらの機器を使い慣れておらず、画面の前で緊張するかもしれない。そんな方には、僕の顧問先である、「ワーコン」が見守りシステムでも活躍している、「在宅医療用対話ロボットanco:アンコ」を利用してはいかがだろう。


見守り看護師に緊急通報もできるアンコを通じてのコミュニケーションなら、愛らしいスタイルに緊張も覚えることなく、自然に家族との会話が可能になるかもしれない。
各サービスステーションに備品としてアンコを1台置いておくだけで、複数の家族とつなげてコミュニケーションが可能になるというものだ。
なお面会制限に関して注意してほしいことは、制限を行う場合は、必ず医師の指示もしくは意見をきちんと記録にとって、面会制限を行う理由や時期などを明らかにしておくべきだ。
これを行っていない場合、制限に不満を持つ家族とトラブルから訴訟になった場合、施設側は根拠のない権利侵害もしくは逮捕・監禁罪の疑いを問われて損害賠償を命じられるリスクがある。それを防ぐために、医師の判断を明確に記録しておく必要がある。
特に問題なのは、老健施設等では看護師の指示命令において面会制限を行っているケースがあるが、看護職員にはそのような指示・命令ができるという報的根拠はないので、それは大問題であるし、やってはいけないことだということを肝に銘じてほしい。
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