新型コロナウイルスの感染予防対策で、介護の場も大変な状況が見て取れる。
利用者に感染者が出た通所サービス事業所では、サービスを休止するにあたって他のサービス利用者の行き場がなくなったり、訪問サービスの利用も拒否されるなど、過剰な拒否反応が広がっている。
しかしいくら身の回りに注意していても目に見えないウイルスに感染してしまう人はいる。介護サービス利用者が感染してしまったのも決して個人の責任ではなく、それはもはや災害レベルだ。だからこそ同業者は、感染者を出した事業者を非難中傷するような行為を一切取ってはならないと思う。むしろこうした危機状況だからこそ助け合うという考え方が必要だ。明日は我が身かもしれないのだ。
そういう意味で、感染者と同じ事業者を利用していた方々を差別的に扱うのはどうかしている。しかるべき感染予防策を取って訪問対応するのはやぶさかではないし、一定の観察期間を取った後に他の事業者が、通所サービス利用を受け入れることあってよいと思う。今こそ共助の精神が必要ではないのだろうか。
このウイルス騒動があと数週間単位で治まるとは思えない。もっと長期化することを踏まえて、みんなが協力し合って、その対策を考えていただきたい。それは、「暮らしやすい国とはどういう国か。」という大きな視点から考えるべきことのような気がしてならない。
さてそんな状況で年度末を迎えた各事業所は、新年度に備えた準備もままならないと焦っているのではないだろうか。
しかし時間は待ってはくれない。事務手続きは先送りできるものがあると言っても、介護事業が向かい合っているのは、「人の暮らし」そのものであり、日常に付随する待ったなしの問題は、ウイルスを理由にして滞らせて良いわけがないのである。
そんな問題の一つとして、『新入社員教育』がある。それに向けて、現在就業している職員に新人教育・指導の心構えを伝えておく必要もある。
このブログで何度も書いているが、今後の介護サービス利用者の主役は、スマホを使いこなし、外食に訪れる場所をネット情報で選ぶ、「団塊の世代」の人たちになっていくのだ。その人たちは介護サービスも、「選んで利用する」のである。
介護給付費全体が伸び続けるメガビジネスの介護事業であるからこそ、そこに参入しようとする新規の企業は増える中で顧客単価は減るのだ。選ばれなければ生き残っていけないのである。
しかも介護事業に新規参入を予定している民間営利企業は、他産業で得た接客ノウハウを介護事業にも生かして顧客を取り込もうとしている。職員のタメ口対応がフレンドリーな関係を生むと勘違いしている経営者や管理職がいる職場から本気で顧客を奪い取ろうと戦略を練っているのだ。
タメ口で利用者対応している事業者は、新規参入事業者に顧客を取られて立ちいかなくなるのである。
だからこそこの時期に、新人教育を行うべき今いる職員に危機意識を持ってもらい、自らの日ごろの態度を振り返り、改めてサービスマナーの重要性を自覚して実践できるように教育する必要があるのだ。
それができないまま新入社員を迎える事業者では、先輩職員の荒々しい態度と言葉遣いに侵されて、サービスマナーの欠片もない職員が増殖するだけの結果に終わり、そこは近い将来、サービスマナーを徹底して顧客確保の戦略を練る民間営利企業に顧客を奪われ、事業廃止に進むしかなくなるわけである。
コロナウイルス関連で言えば、ウイルス不況で採用取り消しになった人が、介護事業に職を求めるケースが増えることになる。しかしそれらの人が、当初目指していなかった介護の仕事をずっと続けてくれるだろうか?
進路として希望していなかった介護の職業に就いた人が、その仕事を一生の仕事と考えてくれるためには、そこに職業としての誇りや、おもしろさを感じなければならない。しかし素人まがいのマナーのない対応に終始する職場では、そんな誇りも面白さも感じられないだろう。そこでは人材確保は一時的な現象にしか過ぎなくなる。
高齢者介護の仕事は、排泄の介護をはじめとした清潔支援は不可欠で、決して楽できれいな仕事ではないわけである。そういう仕事に誇りを持てる環境とは何かということを改めて考えてほしいと思う。
僕は今、そんなサービスマナーを新人に教育しようとしている事業者のリーダー研修の講師を務めるために、北海道新幹線に初めて乗り、その車中でこの記事を書いている。
今日の夕方から講演を行なうがそのテーマは、「リーダーが創る介護事業のサービスマナー〜生き残りをかけた事業戦略」である。この時期にしっかりそのようなテーマの研修を行う事業者の未来は明るいだろう。
この後僕の予定としては4/6〜4/10の期間、福岡に滞在予定である。その間に近くで職員教育のお手伝いを希望する方は気軽にご連絡ください。時間をとって参ります。
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