日本全国のどこの介護事業者も人材不足が最大の経営リスクだ。

だからこそ人材が集まり、人材が定着し、やがてそれらの人たちが人財となり得る組織作りが求められている。この部分を他の事業者に先駆けてシステム化していかないと、やがて事業経営は行き詰まらざるを得ない。

しかし逆に言えば、他事業者との差別化を図ることのできる人材確保と定着率の向上につながるシステムをしっかり作り上げた事業者は、地域の中で勝ち組になっていくのである。

なぜなら全国のすべての介護事業者で、人材が充足される見込みはないからである。人材確保の勝ち負けが、事業経営に直結してくるからである。

今年は団塊の世代の人たちが、すべて70歳に達するが、それらの人たちは元気で、介護支援を要しない人が多数派である。しかし加齢という自然現象こそが、それらの世代の人々のマジョリティーが、要介護・要支援者となっていく最大の因子であり、団塊の世代の人々の多くが何らかの介護支援を要すことになることは必然の結果である。

しかもその数が途方もなく大きな数であることは間違いのないところで、それらの人々を支える介護支援の量的充実が最も必要となる。でも本当にその量は確保できるのだろうか・・・。

だって、それらの人々を支える塊は団塊ジュニア世代しかなく、その次の塊の世代はこの国には存在していないのである。

そして団塊の世代は2040年に全員90歳に達する。その時に団塊の世代を支えてきた団塊ジュニア世代は、すべて65歳以上となるのである。その時に団塊ジュニア世代が、介護支援のマンパワーとしていつまで頼ることができる存在なのかという問題が噴出してくる。

どちらにしても我が国では、団塊の世代が減る時期に、団塊世代で介護支援を要する人と団塊ジュニア世代で介護支援を要する人を、セットで支えていかねばならないのである。その時期がすぐそこに来ているのである。

だからこそ介護事業者には様々な対策が急がれている。外国人労働者を戦力に組み込んでいくということは極めて当然のことであり、それらの方に選んでいただき、それらの方々が定着できる職場環境づくりや、システム変更も必要不可欠である。

ただし外国の人たちが、将来何年にも渡って職場の戦力になり続けるかと言えば、それは不透明だ。EPAで受け入れた当初の外国人人材には、優秀な人材がたくさんいて、それらの方々にふさわしい賃金を支払っている事業者も多かったが、その方々の多くはもう日本に残っていない。母国に帰ってしまっている現状を見ると、外国人の方の多くは、永住より一定期間のスパンの中で出稼ぎをしたいと思っていることがわかる。

だからこそ、テクノロジーが人に替わることが出来る部分は、どんどんそれを取り入れていかねばならない。見守りはICTが人に替わることが出来る部分である。その部分の省力化を図らない職場からは、人材は逃げていくと覚悟しなければならない。(参照:居住系サービスの一部もアウトソーシングできる時代

この機械化を嫌って、人海戦術に頼ろうとする人が多すぎる。特に元気高齢者をはじめとしたボランティアという資源で人材不足や社会資源不足を補おうとする考え方は間違っている。ボランティアも資源不足が深刻化するのは目に見えているからだ。

そもそも年金等の社会保障不安は、高齢になってもリタイヤせず働き続ける人が増えることにつながっていくのであるし、定年の延長によって、リタイヤした後は自分のために時間を使いたいという人が増えるのだから、年金をもらいながら悠々自適にボランティアに生きがいを求める高齢者は、今後大幅に減ってくるのだ。

そもそも対人援助の仕事は、個人のプライベートな部分に深く介入し、誰かの人生の一部に踏み込んでいく責任がある仕事だ。ボランティアをここに介入させるとしても、ケアの質に直接影響を及ぼさない間接的な働きかけに限定すべきである。責任が強く求められる部分へのボランティアの介入は避けるべきだ。日本ではまだそこまで高度で豊かなボランティア精神は育っていないのである。

本人のやる気と善意に頼り切ったボランティアを主戦力にしてはならないのだ。ボランティアを充てにした事業戦略など成り立たないのである。

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