リーダーがきちんと丁寧な接遇を行い、職員に日常的に接遇指導をしている場所では、サービスマナーが浸透している。
そういう職場では、特段新人に対してサービスマナー教育を行わなくとも、OJTの中で丁寧な言葉遣いの指導がされて、接客から接遇への昇華が自然と行われていく。そういう事業者に就職した新人職員は、顧客である利用者に対し、当然のように丁寧語で接している。
なぜそんな風になるのかといえば、サービスマナー意識が浸透している事業者では、新入職員が利用者に対してマナーのない接し方をした際に、先輩から日常的にごく自然に業務指導としての注意がされて、不適切な態度が都度修正されているからだ。だからこそ現場にマナー意識が浸透して、節度のある態度と丁寧な言葉遣いで顧客に接するのが、『当たり前』になるのである。
しかしそうした職場の従業員は、それがサービスマナーであると思っているわけではなく、顧客対応として当然の態度だと思っているだけのようにも見える。だからその姿も態度も自然である。そしてそういう態度ですべての職員が接している態度を見て、そこで働きたいと介護福祉士養成校の卒業生が殺到している。そこには人材難という言葉がなくなりつつある。
一方で、介護事業経営者が従業員のマナーのない態度を修正しようとして、いろいろな試みを行っているにもかかわらず、「笛吹けども踊らず」という状態が続いて、サービスマナー意識が職場に浸透しないところもある。
先日もそんな介護事業経営者の方が、「和歌山の情けない通所介護経営者の姿が示す恥の文化」という記事にコメントを書いている。それは次のようなコメントである。
『言葉使いが直らない。マナーがない。生まれや育ち、本来の性格など色々原因はあるかもと思いますが。。。仲良しクラブのような声かけを聞くたびにストレスがたまります。何度も繰り返し指導していますが、利用者だけでなく、利用者家族、先輩や地域の人にも同じ対応です。社長である私にもタメ口です。その他のことに対してはやる気がないわけでなく、どちらかと言えば前向きです。接遇マナー研修を行ったり、外部研修にも行ってもらいましたが、なかなかです。三つ子の魂100までなんでしょうか。頭を悩ましている方は多いと思いますが、介護とはなんぞやを理解されてないデイサービス、聞くだけで気分が悪いです。』
こうした従業員の存在に悩んでいる介護事業経営者も多いと思うが、それらの方々に考えていただきたいことは、サービスマナー教育で意識改革ができる事業所と、そうでない事業所ではいったい何が違うのだろうかということである。
まず問題は、『接遇研修』である。その内容が問われるのである。医療・介護以外の一般企業向けの接遇研修に、職員をいくら派遣しても無駄だということに気が付かねばならない。
医療・介護以外の業界で顧客に対し、「タメ口」を使わないのは常識中の常識なので、それはレクチャーする範疇にはない。介護事業者の職員に対するマナー研修では、『利用者は顧客である。』というレクチャーから始め、顧客に対する、「タメ口」は許されないというレベルから講義を展開する必要があるのだ。そんな低レベルである介護業界の実態をわかっていない講師による講義を、いくら受講させたからと言って、職員のマナー意識が改善されることはない。
だからどんな講師が、どんなサービスマナー研修を行ってくれるのかということを、きちんと調べて改善実績のある講師を選ばねばならない。
次に考えなければならないのは、新人職員をいくら教育しても、先輩の態度が悪いと新人も影響を受けしまい、何も変わらないということだ。
意識を変え、態度を変えるべきは、新人を教育する先輩職員であり、特にリーダー職の意識と態度が良くならねば何も変わらないことを知るべきだ。だからこそサービスマナーに関する外部研修には、現場で影響力のあるリーダー職員から先に参加すべきである。
その際に研修参加するリーダーには、経営者から、「職場内のサービスマナーを向上さえるのが事業者方針。その先頭に立つために研修に参加させるが、その指導的役割を果たせないならばリーダー職から降りてもらう場合もある」などの覚悟を促さねばならない。
さらに考えねばならないことは、鉄は熱いうちに打つことと、熱くなる分子を増やさないと全体に浸透しずらいということだ。
外部研修に職員を幾人ずつか参加させるだけでは意識改革につながりにくい。リーダーの意識が変わりつつある時期に、きちんとしたマナー講師を招いて職場全体で、「介護事業におけるサービスマナー研修」を行うべきである。ここで従業員の改革に向けた温度を一気に高めなければならないのである。そのためには温度を高めることが出来る講義内容が求められるので、講師選びは一番重要な課題である。
最後に必要なことは、『事業経営者の覚悟』である。
変わろうとしない、変えようとしない職員は辞めていただいてよいという覚悟を持ち、そうした職員が辞めていった時期には、事業を一度縮小して収益が下がっても良いという覚悟を持つことである。人が足りないからといって、『注意・指導したら、辞めてしまう』ということを恐れて、適切な指導もできない場所で、意識改革ができるわけがない。そもそも適切な指導を恨んだり、根に持ったりする人間は、事業者の財産になるどころか、トラブルの発火点になる危険性が高いので、早いうちに辞めてもらった方がよいのである。
仕事がいくらできても、節度ある態度に徹しようという事業経営方針を護ろうとしない従業員を、業務命令違反で罰則も与えられない事業経営をしている場所で、改革などできるわけがないのである。
しかし事業方針を護ろうとしない人員を切り捨て、一時的に人が足りなくなった時期を耐える先・意識改革の成果が現れた先には、必ずそこで働きたいという人材が集まってくるはずだ。
なぜなら丁寧な対応ができる職場で働きたいという動機づけを持っている人は、考えられている以上に多いという事実があるからだ。
人財となり得る可能性を持つその人たちは、今きっとどこかで、サービスマナーに満ちた職場を探しているはずなのである。現に僕は過去においても今現在も、そういう人を数多く知っている。
そんな人たちが集まる職場を創るために、介護事業者で実践できる本物のサービスマナー研修講師を探している方は、是非気軽にご一報願いたい。連絡は、「北海道介護福祉道場 あかい花」のサイト上部に表示しているメールアドレスまでお願いしたい。
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