先週の火曜日から始まった松山市〜久万高原町〜京都の旅を終え、今日は一旦北海道に帰ってきた。

昨日までの京都講演2日間は、看取り介護について基礎的な考え方から、実践論まで10時間に及ぶ研修であったが、90人を超える参加者の皆さんから、積極的な意見もいただき大変有意義な研修であったと思う。会場で販売した僕の著作本も、用意した冊数すべてが売り切れとなる盛況ぶりで、大変ありがたかった。この場を借りて改めてお礼を申し上げたい。

会場で本を買えなかった方は、このブログをPC画面で見ると、右サイドバーに取り寄せ購入先がリンクできるようにしているので、そちらで購入いただきたい。購入した本を僕が講演を行っている会場に持ち込んでいただくと、いつでもサインをさせていただくので、よろしくお願いします。

それはさておき本題に移るとしよう。

介護業界を取り巻く状況はますます厳しくなっているが、次期制度改正議論が佳境に入り、12/16に開催された社保審・介護保険部会では次期改正等の全容が明らかにされた。(参照:第88回社会保障審議会介護保険部会資料

介護保険制度制度改正を巡っては、「これまでの検討と議論の整理の方向性」が示されている。

そこでは、「被保険者範囲・受給者範囲の拡大 」・「室料の自己負担化がされていない老健等の多床室の室料負担 」・「ケアプラン(居宅介護支援費)の自己負担導入」・「軽度者の生活援助サービス等の地域支援事業への移行」・「3割負担及び2割負担の対象者の拡大」については見送られることが示されている。

おそらくこれは、先の消費税引き上げに伴う国民の痛みが増大されている情勢下での政治的判断だろう。社会保障費財源でもある消費税を引き上げたのに、なおかつ社会保障の国民負担増となる一連の利用者負担の増加は、国民から理解を得られる可能性が低く、逆に反発が起きることを懸念し、ソフトランディングを目論んで先送りしただけであり、次のまた次の制度改正では、それらが実現されていくことは間違いのないところだ。

一方で、高額サービス費の上限引き上げと、補足給付の見直しが提案されている。それはあたかも国民全部をカバーしない層の負担増を目論んだもので、痛みを感じる当事者を絞って、批判をできるだけ抑えようとする策に思えてならない。

このうち補足給付の見直しについて考えてみよう。

介護保険施設の食費と居住費は、保険外費用で全額利用者負担とされている。ただし所得の低い方については負担額を所得に応じて減額し、減額した不足分が「特定入所者介護サービス費(補足給付)」として施設側に支給される。補足給付が支給されるのは、1段階から3段階に該当する非課税世帯等で、第4段階は食費・居住費ともに全額自己負担とされている。

今回の改正案では、この給付段階の第3段階を 80万円超120万円以下)と、◆120万円超155万円以下)に細分化し、第3段階△凌費を22,000円上げて、補足給付が適用されない第4段階と同じ水準とするというものだ。

なおかつショートステイの食費についても段階区分ごとに上げる案が示されている。

加えて2015年8月以降、一定額超の預貯金等(単身者1000万円超、夫婦世帯2000万円超)がある場合は補足給付が支給されなくなっているが、このうち単身者の預金額基準を第2段階「650万円以下」、第3段階「550万円以下」、第3段階◆500万円以下」として、それ以上の預金がある人について補足給付の対象外とする案も示されている。

いずれも利用者にとっては厳しい負担増となっているが、ここで思い出してほしいことがある。

6/3に金融庁が、「老後に年金収入以外に2000万円の資金が必要」とした報告書について、年金の信頼性を揺らがせるなどとして金融担当大臣が受け取らないという事態に発展したことは記憶に新しい。だがその報告書については、「老後の生活は年金収入だけでは成り立たない」ということを示した正直な内容だったという意見も根強い。

その影響もあって、高齢者の預貯金は暮らしの破綻を防ぐための命綱であると考える人はますます増えているわけである。

そんな中で一定額以上の預金がある第3段階と第2段階の方々は、その預金を切り崩して介護保険施設における食費と居住費を支払わなければならないのである。預金が一定額以下になれば、補足給付は再支給されると言っても、それらの人々は実質、補足給付の支給基準以下の預金しかできなくなるという意味だ。

その支給対象となる預金の基準額をさらに引き下げるという意味は、低所得者が補足給付を受けるために、さらに預金を削り取られるという意味だ。しかもその額は金融庁が老後に必要だとした2000万円よりはるかに低い500 万以下(第3段階△両豺隋砲泙撚爾欧茲Δ箸靴討い襪錣韻任△襦

この提案は、そのまま次期介護保険制度改正案として1月の通常国会に法案として提出され、そのまま新ルールとして制度に位置付けられることになりそうだ。

しかしその対象となる人は、市町村民税が非課税の所得の低い人たちであり、将来の生活により強い不安を持つ人である。その人たちが生活費を削って貯めた預貯金を根こそぎ持っていくような改悪がされようとしている。

それはまるで所得の低い人が預貯金をたくさん抱えるのはけしからんとでも言うかのようなものだ。所得の低い人は生活水準が低レベルで我慢しろとでもいうのだろうか。

これでは現役世代の間に貯金をして老後に備えようという意欲は益々減退するだろうし、預金などせずに老後は生活保護に頼ろうと考える人が増えて、社会保障費は逆に増えてしまう恐れさえある。

どちらにしても補足給付の見直しとは、低所得者層を狙い撃ちして、その痛みをさらに増すものとしか思えず、到底納得できるものではない。

社会保障とは本来、「社会の財」の再分配機能があるはずなのに、介護保険制度改正はその機能をどんどん失う方向で行われている。制度維持のための、「痛み」はすべて国民が負わされて、政治家や官僚は無傷のまま何もしないという制度改正はいったいつまで続くのだろうか。それを国民はいつまで許し続けるのだろうか。

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