現在試験が免除されている介護福祉士の「養成校ルート」は、2022年度から国家試験が義務化されることになっており、現在はそれに向けての猶予期間とされている。
この経過措置に関して、12/10に行われた自民党社会保障制度調査会・介護委員会でも猶予期間の延長を求める意見が相次ぎ、その意見をまとめた期間延長を求める提言が行われることになった。
この件に関しては、11/6に書いた「介護福祉士養成校ルートの国試合格義務化は見送りへ」でも猶予期間延長の機運が高まっていることを情報提供したところだ。その流れは今回の動きでさらに強まったと言えよう。というより猶予期間延長はほぼ決定といってよいと思う。
僕は猶予期間延長に賛成であるし、延長しても何ら問題がないと思っており、リンクを張った記事でもその考えを示しているところだ。
これに対して日本介護福祉士会だけが猶予期間を延長することに反対している。同会の石本淳也会長は、「介護福祉士の資格の価値を落とす。もっと本質的な手を打たなければ、中心となって介護現場を支える人材を確保していく効果は薄い」と主張するが、その意見に賛同する人は少ない。
そもそも介護福祉士の資格の価値を落としている本質は何だろうか。石本会長はそれを見誤っている。
世間一般的には、介護福祉士の資格取得のルートなんて知っている人は少ないし、そんなことに関心のある人はほとんどいない。試験合格しない介護福祉士が存在するから介護福祉士の価値が高くはないと考えている人なんてほとんどいないのである。
しかし介護福祉士の資格の価値が看護師と比較しても低いと考えている人が多いのも事実だ。それは他に理由があるからだ。
その理由の最たるものは、介護福祉士が業務独占資格ではないということだろう。介護福祉士だから可能になる職業も業務も存在していないことが、看護師と比較して専門職という感覚を薄める要因になっている。
介護福祉士が行う業務は、介護福祉士以外の人が行ってよい業務であるだけではなく、その行為自体は、特別な教育を受けなくとも誰もができる行為である。食事介助も排泄介助も、移動介助だって見様見真似で誰もだできる行為だ。そこに専門性を付け加えるのであれば、誰が見ても無資格者とは違うと感じられる一線がなければならない。
それがなければ資格取得ルートのハードルをいくら引き上げたところで、介護福祉士の資格の価値なんて上がらない。世間はその価値を認めないのである。
心身に障害を持つ人に対して、介護福祉士が家族ができることと同じ行為しかできていないとすれば、そんな資格に価値を見出すことなんてできないわけだ。
家族が家族に対して使う、「タメ口」でしか利用者に接することが出来ない介護福祉士がどれだけいるだろう。そんな介護福祉士にプロ意識を感じ取ることはできるだろうか。そんな資格に価値を見出すことはできるだろうか?
誰しもができる行為でお金を稼ぐ仕事であるからこそ、資格のない人との差別化を図らねばならない。そうであれば介護という行為を資格を持つ者が行うに際して、有資格者という矜持をもって顧客に接するというプロ意識がもっと前面に出されてよいのではないか。
プロとして顧客に接するに際し、誰よりも丁寧に介護という誰しもができる行為に携わる必要があるのではないのか。顧客に対するサービスマナーに徹した仕事が行えるようにすべきではないのか・・・。
介護福祉士という資格の価値を貶めている者とは、プロ意識に徹しない介護福祉士の存在そのものである。日本介護福祉士会は、そのことに何らかの警鐘を鳴らしたことがあるか?・・・ない!!一度たりとも、介護福祉士が利用者に対してプロ意識をもって、適切なマナーをもって接しなければならないと提言したこともない。
そういう意味では介護福祉士の資格の価値を貶めているものとは、介護福祉士会という資格価値を高めようとしない職能団体の存在しのものであるともいえる。
そこを改革しなければ介護福祉士の資格価値など上がるわけがないのである。
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