2006年に大手菓子メーカー「不二家」の埼玉工場(埼玉県新座市)が、消費期限切れの牛乳をシュークリームの製造に使っていたことが発覚して大問題となったことがある。

その直前には雪印乳業が青色ブランドを捨て、メグミルクに変わらざるを得なかった、「雪印集団食中毒事件」が起こっていたので、国民の口に入る食品を販売する大手企業としての不二家の不正には多くの批判が寄せられ、営業自粛をせざるを得なくなるなど、一時的に大きな経営危機に陥った。

しかし同社の違反とは、食品衛生法などの関連法に触れる違反ではなく、「社内規定の使用期限」が切れたという問題であった。それでも企業の責任が問われて経営危機に陥ってしまったわけである。

こんなふうに道義的責任が広く問われる現代社会では、法令遵守と職業倫理とは表裏一体とみなされており、コンプライアンとは単に、「法令遵守」を意味するものではなく、企業等がルールに従い、公正・公平に業務を遂行することを指す言葉として、法令だけではなく、社会規範や企業倫理、就業規則といった内容もすべて遵守すべきものとして捉えられている。

さらにこれからの時代のコンプライアンスとは、「社会的要請」へ応えることもより強く求められてくる。介護事業であれば、人の尊厳を護っているかという部分で、より深く・より強くその遵守を求められてくるわけで、その意識が無い事業者は、いつ社会からの糾弾を受け、経営危機に陥らないとも限らない。

だからこそ介護事業者においても、社会の要請や環境変化に素早く対応できる組織として存在していくことを考えるべきである。事業者内のシステムを強化して、コンプライアンスに反する行為を予防する必要があり、「コンプライアンス対応部署」を定め、担当職員を置くことは当然と考えなければならない。

先週の金曜日に書いた「介護福祉事業者に求められるコンプライアンスの視点」で紹介した講演では、そういう話をしてきた。具体的に言えば介護保険法等、我々の仕事の根拠になっている法令等を解説しながら、コンプライアンスの視点を伝えてきたが、先日事務局から受講者アンケートの結果が届いたので以下に紹介したい。

日本生活協同組合連合会・日本医療福祉生活協同組合連合会の合同研修会アンケート結果
・非常にわかりやすく、また何をすべきか提示いただいた 。法令順守の上に、倫理の大切さを感じた 一度お話を伺いたかったのでとてもよかった。
・ 単なる法令遵守のみならず、就業規則や企業倫理等にまで話が及び、大きな課題であると感じた 。
・内部監査や違法性を見抜く重要性を感じた。管理部門の早期立ち上げが課題。
・倫理を含めた広い意味を学べた。とても大切な内容で、もっと介護現場に近い者が話を聞ければよかった。
・終末期ケアの考え、接遇マナーに至るまで帯を締めていただいた コンプライアンス管理部署の必要性を感じた 。
・コンプライアンスを理解していたつもりだったが、幅広いものであった。
・ 事業所の理念をわかりやすい言葉で伝え、やるべきことを明確化すること、とても参考に なった 動画に魂(ソウル)を感じた
・コンプライアンスについて、ここまで詳細に学習したことはなかった。至らぬところ、見直すべきところを洗い出して改善していきたい。
・「腐ったミカン」への対応は、今まさに自法人でも課題としているところ 法律、ルールを守ってさえいればいいというわけではなく、(週 2 回入浴⇒毎日入浴の事例など)さらに利用者を第一に考えたコンプライアンス遵守が大切だと実感した
・サービスマナーについて、話し合う機会を設けようと思う。熱い講演に心の奥まで響いた。
・実際に現場で介護に携わる職員にも聞いてもらいたい
・物事をフラットに見ることが大事だと教わった
・職員が一定の常識を持ち合わせているか、採用時のチェックが困難。 内部の常識は一般の常識ではない、改めて痛感した 法令遵守とは質のレベルアップである事が学べた
・企業理念の理解、強化につなげていきたい 広い知識と現場の経験からのお話、とても理解しやすかった
・法を知らないと利用者も自分も、組織も守れないと感じた
・コンプライアンスに対する考えが変わった。事業所に戻って対応すべき課題が明確になっ た。
・サービスマナー、ルールつくりは急務であると認識できた。
・捉え方のポイントが分かりやすかった。今回書籍も購入でき、理解を進めていきたい
・腐ったミカンは放り投げる。とても衝撃的な内容であった。参考にしたい部分が多かった
・胸に詰まる話だった。言葉使い、人材育成…できることからやっていきたい

以上である。こんなふうに職業倫理・コンプライアンスに関する講演も行っているので、事業者内研修でそうしたテーマの講師求めている方も、ぜひ一度お気軽に声を掛けていただきたい。連絡は、「北海道介護福祉道場あかい花」の文字リンクに、連絡先を載せているので、そちらからメールもしくは電話でお申し込みいただきたい。

話は変わるが、今僕はこの記事を沖縄に向かう空の上から更新している。昨年から新千歳空港から那覇空港までの直行便がANA便で復活したので便利である。

今日のフライト予定時間は約4時間だが、帰りは3時間5分となっている。偏西風の影響だろうが、北海道〜沖縄間だと、風の影響でそれほど時間が違ってくる。今日は天候も良いが、航路の混雑で出発が20分遅れたため到着も遅れるが、フライト自体に問題はなく、快適な旅になるだろう。

沖縄では今日の夜と、明日の午後の2講演を予定している。夜は連日のオフ会で大好きな沖縄料理を堪能する予定だ。

ということで今日から3日間、氷点下の北海道から脱出して、最高気温がまだ20度を超えている沖縄でつかの間の温かさを愉しんできたい。(といっても観光ではなく仕事であるが・・・。)

沖縄の皆さん、よろしくお願いします。

※もう一つのブログ「masaの血と骨と肉」、毎朝就業前に更新しています。お暇なときに覗きに来て下さい。※グルメブログランキングの文字を「プチ」っと押していただければありがたいです。ンに共感できない職員は、組織の秩序は壊す要素にしかならないのだから、寄ってこなくてよいと割り切って考えるべきである。


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