ショートステイ(短期入所生活介護及び短期入所療養介護)について、「認定の有効期間のおおむね半数を超えた短期入所は保険給付対象にならない。」と考えている人がいるとしたら、それは間違った考え方である。

ショートステイの介護報酬告示や基準省令等の法令ルール上、認定期間の概ね半数を超えたショートステイ利用を制限するルールは存在していない。

唯一の制限ルールは、「指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準」(厚生省令第三十八号)の第13条21項であり、そこでは「介護支援専門員は、居宅サービス計画に短期入所生活介護又は短期入所療養介護を位置付ける場合にあっては、利用者の居宅における自立した日常生活の維持に十分に留意するものとし、利用者の心身の状況等を勘案して特に必要と認められる場合を除き、短期入所生活介護及び短期入所療養介護を利用する日数が要介護認定の有効期間のおおむね半数を超えないようにしなければならない。」とされているのである。

つまりこれは居宅介護支援事業所に課せられているケアマネジメントルールの範疇を超えるものではなく、制度全体の給付制限ルールとは言えないのである。よって法令原則から考えれば、セルフフランにこのルールは適用されないので、セルフプランでショートステイを計画する場合、認定期間の半数を大幅に超えたショートステイの利用に対し、保険給付を制限することは不可能であるため、理由の如何を問わず認められることになる。(参照:ショート認定期間の概ね半数超えは保険給付対象外なのか?

そもそも省令第三十八号第13条21項の定めは、ショートステイの長期利用という、入所サービスと区分のできない利用を制限していることと同時に、認定期間中、十分にアセスメントを行わずに、ショートステイという一つのサービスしか利用しない計画に対して、保険給付するということに一定の制限を加えたものであると解釈している。

ところでこのルールは今も、本当に必要なルールであると言えるだろうか。この制限ルールが作られた当時と、現在の状況を比べると大きく変わっているものに、「介護認定期間」があることを考えると、このルールはすでに機能不全であり、廃止しても良いルールと言えるのではないだろうか。

この制限ルールができた理由は、30日を超えるショートステイの連続利用制限について、利用31日目を全額自己負担利用すれば、一旦自宅に戻ってショートステイを利用しない日をつくらなくとも、連続利用カウントがリセットされるというルールができたという背景がある。連続利用のリセットルールを使って、入所と区分できないショートステイの利用を防いだものである。

その当時は、認定期間延長の最長期間は12か月であったため、概ね半数を超えない期間は、最長でも6カ月という期間が目安になっており、年単位のショートステイの連続利用を制限できたという意味がある。

しかし現在の認定期間の最長期間は36カ月である。これが来年の制度改正では、48カ月まで延長されることが検討されており、その実現可能性は極めて高まっている。

すると現在でもショートステイを18カ月連続利用するケースは、居宅介護支援のルールでも可能とされているわけだ。それが来年以降、24カ月まで可能となるかもしれないのである。そうであれば、「認定期間の概ね半数まで制限するルール」の意味や理由は、極めて薄いものとなっていると言わざるを得ない。そんなルールで何が担保できているのだろう。意味がないとしか言えない。

そもそもショートステイのルール自体が変化しており、短期入所生活介護については、リセットルールを使って連続利用する場合でも、連続して30日を超えて同一の指定短期入所生活介護事業所を利用する場合は、30単位/日を減算しなければならないために、相当の必要性がない限り連続利用は回避される傾向が強まっている。

よってこの部分は、規準省令第13条21項の制限ルールを廃止したとしても、適正なケアマネジメントの視点のみで十分対応可能なのではないのか?そもそも現在でも認定期間36カ月の人は、その期間に概ね18カ月ものショート利用を行なえるが、そのような利用を続けるメリットは、利用者・ショート事業所の双方とも薄く、そのような長い期間になる途中で、ショートステイから入所への切り替えが行われるのが一般的であり、そういう意味でも認定期間の半数ルールはいらないと言えるわけである。

まあこれだけ認定期間延長のケースが増えている現状から言えば、省令第13条21項の定めがあったとしても、居宅介護支援事業所のケアマネジャーの仕事に不便や制限が生ずるわけではなく、そのようなルールがあることに、さして目くじらを立てる必要はないと思っているケアマネの方が多いのかもしれない。

そうであれば、このルールの廃止のソーシャルアクションなんて言うことに、エネルギーを使う必要はないわけであるが、一応この制限ルールの意味と、すでに役割を終えたルールであるということだけは、ここで改めて指摘しておきたい。

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