はっきり言うが、登別市にはいまだに地域包括ケアシステムは存在していない。少なくとも登別市の住民が、その存在を実感しているという事実はない。

昨年の6月にも、「登別市に地域包括ケアシステムは存在しておりません」という記事を書いて、そのことを指摘しているが、その状況から登別市は一歩も進んでいない。

にもかかわらず市の担当者は(市社協)、他市の研修会などで、登別市が地域包括ケアシステムの先進地であるかのようなレクチャーをしていると聴く。

地元の市民に、登別の地域包括ケアシステムのビジョンや実施状況の説明が行われていないのに、他市でそのような幻想的な話をしてどうなるというのだろうか。住民不在の地域包括ケアシステムに何の意味があるというのだろう。

そもそも地域包括ケアシステムとは、ニーズに応じた暮らしの場が提供されることが前提になっており、心身の状態に応じた、「住み替え」意識が、住民自身や地域住民を支援する関係者の間に意識として浸透しておらねばならない。そんな意識は全く浸透していないし、他市で地域包括ケアシステムを語っている当事者にその意識があるのかさえ疑問符が付く。

そして住み替えが行われた先には、医療や介護のみならず、福祉サービスを含めた様々な生活支援サービスが、「日常生活圏域」の中で適切に提供できるような地域での体制を構築されていることが前提なのに、そんな体制はどこを見回してもない。

地域包括ケアシステムが作られていれば、一人暮らし高齢者や虚弱な長寿高齢者、認知症高齢者を地域(住まい)で支えているという結果が出されていなければならない。そして死ぬためだけに入院しなくともよい結果が出されていなければならない。

登別市ではそんな結果が出されているケースは極めて少ない。

結果が出ないのは何故かということは、本来地域包括ケアシステムの肝と言ってよい、「地域ケア会議」で検討されなければならない。地域ケア会議で個別ケース検討を行ったうえで、課題解決が困難となっている原因となっている、「地域課題」が抽出され、その課題快活に向けたソーシャルアクションが行われる必要がある。それさえも行われていない。地域ケア会議がお飾りになっている登別市が、地域包括ケアシステムを構築しているなんて口が裂けても言えない。

例えば、登別市には在宅療養支援診療所がないため、お隣の室蘭市の在宅療養支援診療所がカバーする地域でしか、「在宅での看取り介護」の体制が組めないという課題もある。そもそも24時間巡回サービスをはじめとした、夜間対応の訪問介護がないために、一人暮らしの要介護高齢者が住み慣れた地域で暮らし続けることが難しいという課題もある。

そうした課題を地域住民や関係者に明らかにして、何らかのアクションにつなげようとする対応が行われているかと言えば、それは全くない。

地域課題も抽出せず、地域住民の暮らしぶりが豊かになっているという結果も出していないのだから、登別市の社協職員などが他市で、あたかも登別市が地域包括ケアの先進地のごとく語っている姿は恥でしかない。頼むからやめてくれ。

地域包括ケアシステムを語るのならば、地域包括ケアシステムとは何かという概念と、それによって何ができるのかというビジョンを自身の口から、自身の言葉で語る程度にはなってくれと言いたい。そうした勉強もしていない人間が、地域包括ケアという言葉を口にするなと言いたい。何をか言わんやという心境である。

それにしても登別市だけではなく、他の市町村でも行政職員が声高らかに叫ぶほど、「地域包括ケアシステム」が存在していることを実感できない地域は多いのではないだろうか。そもそもこの言葉が浸透しているのは、制度改正や報酬改定の目的として、地域包括ケアシステムの構築・深化と語られるためではないのか。

実態がなくともその言葉を使えば、国民の痛みを伴う負担増や給付抑制も、すべて正当化さえる傾向にある。だから地域包括ケアシステムという言葉と文字だけが先行して、実態が伴わないのではないだろうか。

本当に空しい、「地域包括ケアシステム」である。

※もう一つのブログ「masaの血と骨と肉」、毎朝就業前に更新しています。お暇なときに覗きに来て下さい。※グルメブログランキングの文字を「プチ」っと押していただければありがたいです。

北海道介護福祉道場あかい花から介護・福祉情報掲示板(表板)に入ってください。

・「介護の誇り」は、こちらから送料無料で購入できます。


masaの最新刊看取りを支える介護実践〜命と向き合う現場から」(2019年1/20刊行)はこちらから送料無料で購入できます。
TSUTAYAのサイトからは、お店受け取りで送料無料で購入できます。
キャラアニのサイトからも送料無料になります。
医学書専門メテオMBCからも送料無料で取り寄せ可能です。
アマゾンでも送料無料で取り寄せができるようになりました。