台風の影響で長崎に1日足止めされたために、仕事の予定もなかった昨日は、長崎市内を少しだけ散策した後、ホテルに籠って原稿書きに専念できた。

そんな風に考えると、足止めの一日も決して無駄ではなく、短い人生の中で神様が意味のある日として創ってくれた日であると思える。人生に無駄なことなど何もない。

しかもそんな一日の終わりには、うれしいことがあった。長崎の友から素敵な連絡をいただいて、夜ご一緒させていただいたのである。

連絡いただいた方は、2017年に研修講師として僕を招いてくれて以来、僕が長崎市内で講演を行うたびに、時間があれば会場に駆けつけてくださり、僕が1人呑みを予定していると知ると、仲間を集めてにぎやかに慰めてくださる素敵な人である。

一昨日も飛行機が欠航して一日滞在が延びたことをインスタグラムでつぶやいたとたん、「明日の夜、ご一緒させて頂けたらと思ったのですが、如何でしょうか?〜私の縄張りで不自由はさせません!笑」と温かいメッセージを送ってくださり、「かぶ膳」という日本酒が豊富にそろい、料理がおいしい店で懇親会を行った。その模様は、「masaの血と骨と肉〜固いもの苦手ってあなたの、歯はさび、てませんか?」を参照いただきい。

さて今回の長崎講演の初日は、長崎県老健協会主催市民公開講座での基調講演。とはいっても受講者のほとんどは老健関係者で一般市民は、400人を超える受講者のうち1割にも満たないようだった。その中で、「住み慣れた場所で自分らしく過ごすためには〜その時、老人保健施設の役割とは〜」というテーマで講演を行った。

関係者の中には医師の方々の姿も数多く垣間見られたが、それらの方々にも僕のメッセージを伝えられるようにするには、老健誕生の経緯から、介護保険制度に根拠法に変わるまで、そして現在に至るまでに、老健を巡ってどのような議論が行われ、どのように報酬体系や運営基準が変えられてきたのかという方向から、今後の役割を考えたほうがわかりやすいと思ったし、それはおそらく老健経営者でもある医師の皆様より、僕の方が知識と情報があると思ったからである。

例えば老健は中間施設と呼ばれるが、それは居宅と医療機関をつなぐ中間施設という意味だと考えている人が多い。

しかし老健創設のきっかけとなった社会保障制度審議会の意見書(S60.1.24) では、「重介護を要する老人には、医療面と福祉面のサービスが一体として提供されることが不可欠で、医療機関と特別養護老人ホームを統合し、それぞれの長所を持ちよった中間施設を検討する必要がある。」として、当初の中間施設の意味とは、「医療機関と特養の中間的機能を持った施設」と明記されているわけだ。

それが全国7カ所のモデル事業の成功の結果を受けて、徐々に社会的入院と言われる長期入院を続ける高齢者を家庭に復帰させるための新し い施設=医療機関と居宅をつなぐ中間施設という概念の確立という方向に変わっていったという歴史を知ることも重要である。

さらに老人保健法から介護保険制度に根拠法が変わった際の役割混乱として、長期入所者が増え在宅復帰機能の低下がみられたことも知っておいてほしい。

そのため2002年8月に剛腕と呼ばれた、中村秀一氏が老健局長に就任した際には、「在宅復帰機能のない老健は、老健の看板を下ろせ!!」と批判されるという、「中村ショック」というトピックスがあった。

そうした状況を踏まえて、在宅復帰機能を補完するために、老健からの訪問リハビリが新設されるなどの歴史を経る中で、いくつかの役割混乱を乗り越え、さらに介護医療院の誕生により、療養型老健が歴史的使命を失いつつある中で、昨年度の介護報酬改定において、在宅復帰・在宅療養支援等指標による機能分化が進めあっれるという改革につながっていった点を解説させていただいた。

さらにそのことを踏まえた上で、老健に課せられた新たな課題、今後の経営戦略などを示させていただいたつもりである。

そこではここは老健は医療機関ではなく介護施設だと言いながら、同じ口で都合に合わせて、老健は生活の場ではなく在宅復帰を目指した滞在施設だという使い分けを行っている人がいることについて批判させていただいた。そして在宅復帰を目指す施設だとしても、そこにも暮らしはあるのだから、暮らしの質を無視した治療的関わりのみの視点は介護施設とは言えないという辛口批判もさせていただいた。

老健関係者の皆さんにとって、そんな僕のメッセージはどのように耳に届いたろうか?

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